「宥恕」の意味と使い方は?類義語・対義語もあわせて紹介

裁判や示談の際に「許す」とニュアンスで使われる言葉に「宥恕(ゆうじょ)」があります。日常的に見聞きする機会はほとんどありませんが、特に社会人になるとさまざまな話題に触れることが増えてくるため、意味や使い方を把握しておくと良いと言えます。

今回は「宥恕」の意味と使い方をはじめ類語や対義語についてまとめています。「許す」との違いにも注目しながら進めて行きましょう。

法律用語「宥恕」の意味とは?

早速、「宥恕」の意味を解説します。法律の観点から見た意味に触れながら見て行きましょう。

「宥恕」の意味は「広く寛大な心で許すこと」

「宥恕」は「広く寛大な心で許すこと」という意味を持ちます。相手の良からぬ行為や言動に対して多めに情状酌量し、見逃してあげることです。

法律での「宥恕」は「罪を許すこと」

法律の世界で「宥恕」の主な意味は「罪を許すこと」です。

たとえば、刑事処罰や裁判のシーンで、加害者が「示談をしたい」と提案し、被害者も示談に応じる意向を見せたとします。この際「示談書」を提出することになりますが、示談書には示談金や被害弁償金の項目に加え、「宥恕の意思」という項目が追記されていることがあります。この時「宥恕の意思」とは、相手を寛大な心で許し、罪を見逃す意思を示すものです。示談書ですので、被害者は「宥恕の意思」に同意することになりますが、後に裁判での結果に影響を与えるため、大変重要な項目となっています。

また「相続」のシーンで、一同相続欠格となった人であっても、被相続人が「宥恕」されれば相続の権利が復活するというものです。つまり、相続欠格という立場の人を許す(法律的な罪はありませんが)ことを指しています。

「宥恕」の使い方のポイントと例文

続いて「宥恕」の使い方とその具体例を挙げてみます。日頃から日常的に使われる言葉ではありませんが、適切な使い方をおさえておけば、法律に絡む場面に遭遇した時に必ず役立ちます。

「宥恕」と「許す」の使い分けに気を付ける

「宥恕」を使う時は、裁判や処罰などのシーンで「加害者・被害者」という関係の元で使われます。つまり、法律に触れるような悪行や不誠実な行動をしたために、結果、被害者が生まれるような状況です。

一方、「許す」は約束の時間に遅れた時や、嘘がバレてしまったというレベルから、法律に触れなくても、それに充当するような悪行をしてしまったというレベルまで、幅広く使える言葉です。加害者・被害者レベルまで行かないような小さな問題に対しても使うことができます。

また「許す」には「差し支えないと認める」「不都合ではない」という意味もあるため、「宥恕」が持つ「相手の罪を許し、見逃す」というニュアンスとはやや異なります。「宥恕」の場合は「訳ありで罪を見逃す」という意味合いも含まれるため、心中で本当に相手を許しているかは判断できないでしょう。

「宥恕」の正しい使い方

  • 相手に金をだまし取られたが、全て戻ってくるということで相手を宥恕した。
  • 宥恕の意思とは別に、加害者への憎しみは消えることはない。
  • 宥恕を懇願するわけではないが、情状酌量の余地はあると思う。
  • 妻が車内で産気づいたのでスピード違反をしてしまった。宥恕してもらえないだろうか。

「宥恕」の類義語と対義語は?

最後に「宥恕」の類義語と対義語について紹介しましょう。

「宥恕」の類語は「寛恕」「海容」「ゆう面」など多数

「宥恕」が意味する過ちや罪を許し、それを見逃す行為を表す言葉として「寛恕」「海容」「ゆう面」、また「了見」「料簡」などがあります。これらの言葉は一般的な生活を送っている人にはあまり馴染みがなく、人によっては言い換えに一苦労してしまうかもしれません。しかし、これらの類語を覚えておけば、後に遭遇する事態やトラブルにおいて、素早く理解を進めることもできることでしょう。

「容赦」も類語の一つですが、どちらかと言うと「手加減する」というニュアンスが濃い表現です。たとえば、「本日は品切れのため閉店させていただきます。ご容赦下さい」という例文では「こちらの都合で閉店をする運びとなりましたが、どうぞ多めに見て下さい」という気持ちが強く表れています。

「堪忍する」は日常的に使うことが多い類語表現

「宥恕」の類語でも「堪忍」なら、日常的に使うことも多いでしょう。「堪忍」は被害に対しての怒りをおさえて過ちを許すという意味です。どちらかと言えば、よっぽど悪いことをしない限り「堪忍」を使うことはありませんが、悪質なイタズラや度重なるウソなどに対してなら、「堪忍」を乞うに値するかもしれません。

「宥恕」の対義語は「叱責」や「誚譲」など

「宥恕」の正式な対義語は見つかりませんが、反対の意味で「罪を見逃さず、罪を責めること」という観点から見れば、「叱責」や「誚譲(しょうじょう)」などが挙げられるでしょう。これら二つの言葉は純粋に責めるというニュアンスではなく「強くしかり責める」という色合いが強いのが特徴です。

また「譴責(けんせき)」も「過ちを許さない」「罪を問い続ける」と言う気持ちを持って文脈に登場する言葉となります。

まとめ

今回は法律用語の一つでもある「宥恕」についてご紹介しました。意味は「罪を許す」「過ちを見逃す」となり、裁判や処罰、示談などのシーンで使う言葉となります。似た言葉である「許す」は「不都合ではない」という意味合いが強いため、「宥恕」とは毛色が多少ことなることにも着目したいところです。

「宥恕」はニュースや報道番組でたまに見聞きすることがあると思うので、「宥恕」の意味をベースに、ぜひ内容の行方を注意深く追ってみて下さい。