語句を後をぼかすような意図で使われる「云々」という表現。普段は意識もせず口からうっかり飛び出す言葉ですが、正確には一体どのような意味があるのでしょうか?
今回は脇役として活躍している「云々」に密着し、意味と読み方、ビジネスでの使い方、また複数ある読み方(ふりがな)について解説しています。
「云々」の意味とは?
「云々」の意味は”批評や議論をすること”
「云々」の意味は、“長々とあれやこれ批評したり、議論じみたことをゴチャゴチャと言うこと”です。
- 試験で落ちたことを云々するのだけは控えたい。
- 誰が当選するのか、云々しても仕方がない。
- 彼からの手紙について、云々するのはよそう。
「云々」は”うんうん”の連声
「云々(云云)」とは、「うんうん」の「連声(れんじょう)」です。「連声」とは、たとえば「三位(さんみ)・観音(かんのん)・天皇(てんのう)・陰陽師(おんみょうじ)」などのように、音節の末尾の音が後続する音節の頭母音に作用し、変化を伴うことを指しています。(※さんい、かんおん、てんおう、おんようじとは読まない)
ちなみに「連声」は平安時代末期から存在する音韻現象であり、実際的もなめらかに発声することができるのが特徴です。
「云々」の使い方とは?
「云々」の基本的な使い方は”伝聞や引用であることを示す”
「云々」は”〇〇と云々”のように、伝聞や引用であることを示す時に使われます。つまり、「〇〇ということである・〇〇というように聞いた」という意味で用いられます。
- テニスの試合中に怪我をしたと云々。
- 仕事が長引いて、接待に行けないなど云々。
- 風邪をひいて薬を飲みたいけど、ちょうど切らしてしまったと云々。
「云々」は語句をぼかしたり省略する際に使う
文章内の語句の後に続くものをぼかしたり、省略をする際に使われます。例文を挙げてみましょう。
- 私が言いたいのは問題云々ではなく、むしろ改善策である。
- デザインは水玉、花柄云々と色々ありますが、やっぱり無地柄が一番好きだ。
- 親としてはお金云々の話ではなく、息子がこの大学で何を真剣に学びたいかが知りたい。
「云々」は内容を伏せたい時に使う
内容の詳細についてぼかしたり、正確な事柄を伏せたい時に使われます。
- あれから、云々の事情があって会社が倒産してしまった。
- 二人は、云々の間柄であるが、周囲からは全く気付かれていない。
- この先、云々の問題が降りかかってくるが、チーム一丸となって戦っていこう。
「云々」を使った熟語表現とは?
「云々じゃなく」は本当のことを知りたい時に放つ表現
社会人になってから見聞きするようになるのが「云々じゃなく」という言い回しです。「云々じゃなく」は、言葉を濁すようなニュアンスで「云々」を使ったことに対して、「そうではなく、はっきりとした正しい内容を伝えてほしい」という意味合いで、相手が話し手に返す表現の一つです。
つまり、「云々」を使った実際の物事に対して知りたい、という気持ちから放たれる表現となります。場合によっては「はっきりしてよ!」と相手が不快に感じてしまうこともあるかもしれません。相手がこのように返した時は、納得するように正しい情報を与えるようにしましょう。
「云々かんぬん」は同じような音を重ねた表現
「云々かんぬん」は、同類の音を後続させ、語調を整えた表現です。「云々」ほぼ「云々」と同じような意味で使れますが、文脈では「云々」の意味を強調する時に用いられます。
「云々」のビジネスでの使い方と3つの注意点とは?
「云々」を目上の人や上司に使わない
「云々」は目上の人や上司に使わないようにしましょう。「云々」は語句を省略したり、内容を伏せるような時に使う表現のため、「私に向かって内容を省略したり、伏せたりするとは…」と相手が失礼に感じてしまうことがあります。
「云々」をむやみにビジネスメールで使用しない
仕事先や顧客にビジネスメールを送る時は「云々」を使用しないほうが賢明です。ビジネスではものごとを明確に伝えることが第一であるため、言葉の意味をごまかすような不正確で意味に幅があるような書き方は求められていません。
「云々」はできるだけ会議の席では避ける
「云々」は全体会議や貴重な話し合いの場でも避けたほうが良いでしょう。会議は皆が真剣に意見を出し合って、前向きに議論を進める場所です。言葉を端折ったり、事柄を隠すような話し方は好まれません。
「云々」の読み方と誤読の例とは?
「云々」は読み方とふりがなを合わせるとで8通り?
多少、極端な話になりますが、「云々」は読み方やふりがなを全部合わせるとで8通りあるのをご存知だったでしょうか?最もよく知られているのが「うんぬん」ですが、その他に「しかじか」や「うんうん」などと読むこともできます。以下に、全ての読み方とふりがの例を挙げてみましょう。
<読み方の例>
うんぬん
しかじか
うんうん
<云々のふりがなのおくり方の例>
しか/″\
うん/\
うんねん
しか/\
ウンヌン
一般的に読まれるのは、「うんぬん」と「しかじか」で、「うんうん」は言いにくいという点もあることから好んで読まれることは少ないようです。
また、「云々」のふりがなのおくり方に関しては、古い書物や漢文などにしか使用が見られないため、実用的ではないかもしれません。とくに「/″\」や「/\」は日常生活ではほぼ見かけることはなく、前にある言葉を繰り返す意図で使われる特殊表記となります。ぜひ、知識の泉として覚えておきましょう。
くれぐれも「でんでん」とは読まないように
「云々」は職場や日常生活で何気なく放つ言葉ですが、いざ活字を読むとなると戸惑ってしまうことがあるでしょう。最も多い「云々」の誤読は「でんでん」のようですが、くれぐれもそう読んでしまわないように気を付けるようにして下さい。
「云々」の英語表現と例文とは?
「云々」は英語で”yada yada yada”
日本独特の言い回しであり、また4つの異なる意味を持つ「云々」をストレートに英訳することは難しいです。しかし「云々」を”何やかや・しかじか”という意味で、取るに足らない内容を省く意味で使う時は、口語表現となりますが「yada yada yada 」を使うことがあります。
「云々」を使った英語例文
「云々」を使った英語例文をご紹介しましょう。
- She kept on whinging how her boyfriend lied or did not turn up for dinner yada yada yada.
彼が私に嘘をついたの、食事をすっぽかしたの云々聞かされた。 - We have been through heaps yada yada yada but now everything is back to normal.
云々あったが、今は元通りになった。
まとめ
「云々」は「うんうん」の連声です。4つの意味があり、それぞれ使い方も異なってくるため、文脈のどの位置に置き、どのように機能するのか、正しい理解を深めておく必要があります。
また、ビジネスにおいては上司や年長者に使うのは失礼にあたることがあります。もちろん口語でうっかり口から飛び出してしまうこともあると思いますが、会議やビジネスメールでもできる限り使用は避けるようにし、同僚や仲間、また部下との間だけに使うようにしましょう。