「スケールメリット」の意味とは?「規模の経済」との違いや類語も

企業規模を拡大するとさまざまな変化が伴いますが、プラスの効果として企業が期待することの一つに「スケールメリット」があります。今回は「スケールメリット」の意味や英語表記、言葉の使い方をはじめ、「規模の経済」や「シナジー効果」との違いもまとめました。また、スケールメリットの事例と具体例、類語・反対語を含めて解説します。

「スケールメリット」とは?

「スケールメリット」の意味は「規模で得られる優位性」

「スケールメリット」の意味は、「規模を拡大することによって得られる優位性」です。わかりやすく言えば、「企業経営や生産、販売などの規模を大きくすることで、生産性や効率性が向上し、収益や利益のみならず知名度や認知度もアップするというものです。

また「スケールメリット」は日本語で「規模の優位性」と呼ぶこともあります。

「スケールメリット」は英語で「advantage of scale」

「スケールメリット」は正しい英語ではなく、日本語での解釈においてわかりやすく示した和製英語です。英語圏では「スケールメリット(scale merit)」と呼ばれることはなく、規模の大きさによって有利性を生むものという意味の「advantages of scale」という表現を使います。

「スケールメリット」の使い方とビジネス例文

「スケールメリットの優位性」など二重で言葉を使わない

「スケールメリット」という言葉自体が「規模の優位性」という意味を持ちます。そのため、「メリットの優位性」というように、同じ意味の言葉をダブルで用いるのは文法的にも誤りとなります。

「スケールメリット」を使ったビジネス例文

「スケールメリット」を使ったビジネス例文をご紹介しましょう。

  • スケールメリッで得られる人件費削減について話し合う予定だ。
  • 全国的にチェーン展開をし、大幅なスケールメリットの獲得に臨む。
  • 製造ロボットを導入することで、スケールメリットを得ることに成功した。
  • 大量仕入れでも、資材のクオリティが下がればスケールメリットは思うように得られない。

「スケールメリット」の関連用語との違いとは?

「規模の経済」は「規模の大小により有利・不利が生じること」

「スケールメリット」と同じようなニュアンスで使われる言葉が「規模の経済(economic of scale)」です。

「スケールメリット」は、規模を大きくすることで得られる効果や利益を指す言葉ですが、このような状況を含め、規模の大小に応じて有利であったり、逆に不利であったりする状況を総称して「規模の経済(economy of scale)」と呼んでいます。

具体的には同じ仕事を現在の規模より大きなスケールで行い、効率的に費用削減をすることを指します。つまり、生産数を増量して収益率を上げることを中心とする企業活動そのものでもあるのです。

「シナジー効果」とは「相乗効果」のこと

「スケールメリット」に似た言葉に「シナジー効果(synergy effect)」があります。「シナジー効果」とは「相乗効果」を指す言葉で、異なる性質を持つ別の事業や商品を同時に扱うことを意味しています。

たとえば、女性向けのブティック店に、男性専用の香水やネクタイなどを置いたり、子供服のお店に母親向けの雑誌や小物を並べたりすることを指します。

一方「スケールメリット」では、同じ事業や同じ商品の生産販売を増やすことによって得られる効果や利益を指すため、意味が異なります。これら二つの言葉を上手に使い分けて、相手に誤解を与えないように気を付けましょう。

「スケールメリット」の類語と反対語とは?

「スケールメリット」の類語は「規模利益」「規模効果」

「スケールメリット」の類語には「規模利益」や「規模効果」などがあります。どちらも規模の大きさによって利益や効果を得られる優位性を表し、規模拡大によるメリットそのものを示す言葉です。

また、経済紙やニュースなどでは「スケールメリット」のことを「規模拡大効果」と表現することもあるようです。

「スケールメリット」の反対語は「スケールデメリット」

「スケールメリット」の反対語は「スケールデメリット」です。「スケールデメリット」とは規模の拡大によって被ってしまうデメリットのことで、たとえば、材料の大量仕入れなどで一時的に「スケールメリット」を得ても、仕入れ先の倒産や経営不振によって、不益を逆効果をもたらすようなことを意味します。

また、工場などの大量生産ではプログラム破壊によってロボットが突然機能しなくなったり、生産ラインがパンクしてしまうことも考えらます。

もっとも、「スケールメリット」と比べ、「スケールデメリット」という言葉の使用頻度はかなり低いですが、「スケールメリット」に対局して起こりうるデメリットもあるということで、認識しておくと良いかもしれません。

「スケールメリット」を活かした事例とは?

事例①工場生産の場合のスケールメリット

製造業に関連する企業は、スケールメリットを最大限に活用するチャンスがある業種です。工場や作業場においては、すでに製造機器の設置やメンテナンス代、工場の家賃などが固定費用としてかかっていますが、稼働率や商品生産量を増やすことによって固定比率を下げることができます。

もちろん、製造過程を自動化し、ラインをフル活動させることによって大量生産は可能となります。製造ロボットを導入して人件費を削減したり、材料を大量に仕入れることで原材料のコスト削減を果たすことができるのが、製造業のスケールメリットの特徴でしょう。

事例②小売・飲食業の場合のスケールメリット

小売店や飲食業の場合、店舗数を広げたり、材料や部品を一括仕入れをすることで「スケールメリット」を得ることができます。

まず、店舗数を拡大することによって、ローカルでの知名度や認識度が上がり、求める商品やサービスの提供によって店舗への信頼度も向上することが期待されます。小売や飲食業の場合、クオリティーへの追及や顧客満足を徹底すれば、「スケールメリット」の実現は決して難しくありません。

また、資材の調達においても、問屋や卸業者を通して大量仕入れることで容易に実現できるため、大幅なコスト削減が可能となります。

まとめ

「スケールメリット」は和製英語で、英語圏では「advantage of scale」と呼ばれる「規模を拡大することで得られる効果や利益」を指す言葉です。

「スケールメリット」は、あらゆる業種の経営や生産、販売などの領域おいて、規模を大きくすることで獲得する優位性を意味しています。企業が成長するための基本的な概念であり、経営戦略としても欠かせない考え方ですので、この機会に言葉の理解を深めておきましょう。