「注意喚起」の意味や使い方とは?「促す」の誤用と類語についても

「注意喚起」という言葉は、街中やテレビや新聞などで頻繁に見聞きします。しかし「注意」とどう違うのか、「喚起」とは何か、ということについて知っている人は少ないかもしれません。今回は「注意喚起」の意味や使い方、類語などについて解説します。「注意喚起を促す」が誤用かどうかについてもご紹介します。

「注意喚起」とは?

「注意喚起」の意味は”注意を促すこと”

「注意喚起」の意味は、“誰かに何かの注意を促すこと”です。読み方は、「ちゅういかんき」です。

「注意をする」という言葉は、これから起ることについての注意を指すこともあれば、今現在の状態を咎める、または自分を戒めるという様子も表します。

対して「注意喚起」は「注意」を「促す」ので、基本的にはこれから起ることについて、注意をするよう、相手や人々に呼びかけるという意味です。

「喚起」とは”呼び起こす”の意味

「注意喚起」という言葉の意味を理解するポイントは、「喚起」です。「喚起」とは「呼び起こす」という意味を持っています。

「注意」と一緒に使うことで、「注意する気持ちや意識を呼び起こす」と考えると、「注意喚起」の意味が理解しやすくなるでしょう。

「注意喚起」の正しい使い方と例文とは?

「注意喚起する」で用心を呼び掛ける

「注意喚起」という言葉は、「注意喚起」だけでも使うことができます。しかし、日常では「注意喚起する」「注意を喚起する」などと使われることも多いようです。

「注意喚起する」や「注意を喚起する」は、いずれも正しい言葉であり、相手に対して用心を呼びかける、という意味にも変わりありません。

  • 「災害時に備えて、防災グッズの準備をしておくよう、注意喚起する予定です」
  • 「コスト削減のために、無駄な紙資料は使わないよう、注意を喚起してください」

注意を促されることは「注意喚起を受ける」

「注意喚起」という言葉は、注意喚起をする側しか使えない言葉ではありません。注意喚起をされる側も、「注意喚起」という言葉を使って、状況を表すことができます。

誰かから注意や用心を促された場合には、「注意喚起を受ける」という表現を使います。「注意喚起をされた」とすると、人によっては、注意を促されたことについて、不満を持っているような印象を持つこともあります。

  • 「先日、課長から注意喚起を受けた件については、課員へ周知済みです」
  • 「注意喚起を受けていたにもかかわらず、どうし用心をしていなかったのですか」

「注意喚起を促す」は誤り

「注意喚起」という言葉には、注意を「促す」という意味がすでに含まれています。そのため、「注意喚起を促す」という表現は、文法的に誤りです。

「促す」を使うのであれば、「注意を促す」とします。「注意喚起」を使うのであれば、「促す」は不要です。

ちなみに、「注意喚起」を強く伝えたい場面では、「注意喚起を徹底する」「強く注意喚起する」などが使えます。

「注意喚起」の類語とは?

類語①「警告する」は事前に注意を呼びかけること

「注意喚起」と似た意味を持つ言葉はたくさんあります。その中でも、比較的使いやすい言い換えの言葉は「警告する」です。

「警告する」には、「前もって知らせる」という意味があるため、事前に注意を促すという意味の「注意喚起」と似た使い方をすることができます。

ただし「警告する」には、相手が悪いことをしないように、前もって戒めるという、厳しいニュアンスも含まれています。単に注意を促したい場合は「注意喚起」、相手を戒めたり、強い印象での注意を促したい場合は「警告する」を使うと良いでしょう。

類語②「目を向けさせる」は注意や意識を向けさせること

「注意喚起」の意味を、少しやわらかく伝える場合には、「目を向けさせる」または「目を向ける」が使えます。

「目を向けさせる」とは、注意して欲しいことに、意識を向けさせるという意味です。相手や人々だけでなく、自分も含めて意識を向けたい場合には、「目を向ける」という表現にすることもできます。

「注意喚起」「警告する」などに比べると、言葉の印象がやわらかいため、使いやすい言葉と言えるでしょう。しかし、その分言葉が持つ緊急性はやや低めです。

「注意喚起」の英語表現とは?

「注意喚起」は英語で”Call to attention”

「注意喚起」という言葉の意味を、英語で伝える場合には“attention”という単語を使います。「Call to attention」とすれば、日本語の「注意喚起」と非常に近いニュアンスを出すことも可能です。「Call to attention」は、やや改まった表現であるため、ビジネスシーンでの注意喚起などに使うことができます。

反対に、カジュアルな「気を付けた方が良い」というニュアンスは、「Heads up」で表すことができます。

まとめ

「注意喚起」という言葉は、何となく「注意」と同じ意味として認識してしまいがちです。しかし、今回「喚起」の意味を知ったことで、どんなときに「注意喚起」を使うべきかということがわかりました。

今後、自分が何かの注意を発信するときに、「注意喚起」を思いだしてみましょう。そして「注意を促す」という状況であれば、ぜひ「注意喚起」を使ってみてください。