「妄言」の意味とは?類語・対義語表現や英語のフレーズも解説

根拠もなく、でたらめ言葉を意味する表現に「妄言」があります。憶測でものを言う時などに使われますが、意味や使い方を正しく理解していますか?

今回は「妄言」の読み方と意味をはじめ、使い方とその例文、類語と対義語、また英語フレーズを含めて解説しましょう。

「妄言」とは?

「妄言」の意味は”でたらめな言葉”

「妄言」の意味は、“でたらめな言葉”です。根拠がなく、でまかせから口に出る言葉を指し、事実に基づかない道理に外れたことを言うことを意味しています。つまり、憶測やでものを言っているようなニュアンスのある言葉です。

もともと「妄」には「妄想」や「虚妄」というように「誠がない」「嘘いつわり」「でたらめ」という意味があります。そういった背景からも「言」と組み合わせて「でたらめな言葉」という意味になることが理解できるでしょう。

「妄言」の読み方は”もうげん”や”ぼうげん”

「妄言」に「もうげん」と「ぼうげん」の二つの読み方があります。どちらも正しい読み方ですが、たいていの場合「もうげん」と読むことが多いです。そのため、一般的に浸透している読み方は「もうげん」となります。

漢文「三国志」にも「妄言」が登場

中国の興亡史として知られる「三国志」にも「妄言」を使った会話文が登場しています。内容をかいつまんで紹介しましょう。

曹操である太祖が馬の鞍を置いていたところ、ネズミにかじられてしまいました。前もってネズミ退治をしておかなかったことに罪を感じ、自分で両手を縛り服従の意を示しました。ネズミが衣服を着ると不吉なことが起こるという言われることから、自身の衣服に自ら穴を開け、ネズミがかじったと見せかけようともしました。

ところが、文帝は「此妄言耳,無所苦也。(それは妄言に過ぎない、苦に思う必要はない)」と言いました。これが文帝が太祖の罪深い心を救った一説です。

「妄言」の使い方と例文とは?

「妄言」と「虚言」の違いを理解する

「妄言」の使い方で気を付けたいのは「虚言」との意味の違いです。どちらも似たようなニュアンスを持ちますが、「妄言」の意味が「でたらめでいい加減な言葉」ということに対し、「虚言」は「他人をあざむく言葉」つまり「人をだますための嘘」となります。

「妄言」と「虚言」では、無意識のうちに使い方を混同してしまいがちですが、あらためて二つの言葉が持つ意味の違いを把握し、使い方に誤りがないか確認しましょう。

「妄言多謝」は”正直に言ってごめんなさい”

「妄言多謝」は、でまかせを言ってしまったことを深く詫びる時や、自分の思うことを正直に隠さず述べた後に「失礼とは知りながら、随分と色々言ってしまってごめんなさい」というニュアンスで使わます。また、手紙やメールなどの最後の部分に付け足して添えられることが多い表現となります。

「妄言妄聴」は”いい加減なことを適当に聞いておく”こと

「妄言妄聴」は、「いい加減なことやでたらめなことを話す相手に対し、こちらも適当で真面目に聞かない」ということを表す四字熟語です。つまり、双方で会話が成立してながら、語り手もいい加減、聞き手もいい加減というような状態を指しています。

「妄言」を使った例文

「妄言」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 友達が言った話は、おそらく妄言だろう。
  • 妄言を吐くのはいいが、立て続けに言われてはこっちが不快な気分になってしまう。
  • 彼女の妄言に嫌気が指し、彼は部屋を出てしまった。

「妄言」の類語と対義語とは?

「妄言」の類語は”空言”や”虚構”など

「妄言」と言い換えのできる類語には「空言」や「虚構」、また「妄語」や「でまかせ」などがあります。

  • 空言:口先だけで言う話
  • 虚構:実際にないことを、まるで事実かのように作り上げること
  • 妄語:偽りや嘘を言うこと
  • でまかせ:いい加減で憶測めいたことを言うこと

それでは、下記で言い換えの例を挙げてみます。

  • 彼は実に妄言が多い人だ。
  • 彼は虚構に満ちたことばかり言っている。
  • 彼は実に妄語が多い人だ。
  • 彼は実にでまかせの多い人だ。

類語を用いる時は文脈にフィットするように、前後の表現を適切な語句に変えながら、スムーズな文章となるようにしましょう。

「妄言」の対義語は”誠”や”真実”など

「妄言」の対義語は「誠」や「真実」「まっとう」などがあります。どれも、でたらめなや根拠のないことを言うことの反対を意味する言葉となります。

「妄言」の英語表現とは?

「妄言」は英語の口語表現で”ackamaracka”

「妄言」は英語で、でたらめやハッタリを意味する“ackamaracka(アカマラッカ)”と言います。しかし、皮肉にも「ackamaracka」は本当にある言葉ではなく、日本語で言う「ペラペラペラ」や「インチキチキ」のような、でっち上げ言葉となります。

誰かがでたらめやいい加減なことを言った時に、「ackamaracka…」と冷やかしたりすることがありますが、口語でのみ使われる表現となるため、正式な場所や公的な文書内では使わないようにしましょう。

「妄言」に対して”This is absurd”と顔をしかめる

たとえば、誰かが根拠のない憶測での話を始めた時、その「妄言」に対し「いい加減な話だ」「適当で根拠がない」という意で「This is absurd」を使います。ニュアンス的には「もう、聞いてられないよ」という意味で放たれるフレーズとなります。日常でもビジネスでも使われますが、相手と状況を見極めてから使うように気を付けましょう。

「妄言」と認知症の関係とは?

「妄言」は認知症の症状のひとつ

「認知症」は脳の機能に何らかの障害が現れることで進行する問題症状です。認知症の人が見る世界、済む世界は実際とはかけ離れたものとなってくるため、暴力や徘徊、また妄想による「妄言」と言った症状があらわれることが多いと言われています。

「妄言」には故意にでたらめを言う場合もありますが、認知症のように自覚がないまま根拠のないことを口から発してしまう場合もあります。

まとめ

「妄言」には「もうげん」と「ぼうげん」の二つの読み方がありますが、一般的には「もうげん」と読む場合がほとんどです。意味は「根拠のないでたらめな言葉」「憶測でもの言うこと」でまかせの言葉」となり、人をだますために嘘をつく「虚言」とは根本的に意味が異なります。

口からでまかせも時には許されるでしょう。しかし、あまり度が過ぎると場がしらけてしまい、周囲もドン引きしてしまうかもしれません。とくに職場での「妄言」はほどほどにしておきましょう。