「抽象的」の意味とは?「抽象的思考」や類語・対義語と例文も

「抽象的」という表現には2種類の意味があり、普段は何気なく使い分けています。また「抽象的思考」はビジネスに欠かせない思考方法です。「抽象的」にはどのような意味があるのでしょうか?

この記事では「抽象的」の意味と使い方や例文と、抽象的思考の使い方を解説します。あわせて類語・対義語と英語表現も紹介しています。



「抽象的」の意味とは?

「抽象的(ちゅうしょうてき)」には2つの意味がありますので、まずはじめにそれぞれの意味を解説します。あわせて違う視点の意味となる「抽象的な形」についても紹介します。

「抽象的」の意味1:共通なものを抜き出して一般化して考えること

「抽象的」の1つ目の意味は、「いくつかの共通なものを抜き出して、一般化して考えること」です。「現象を抽象的にとらえる」などと言い表します。

「自由とは何か」といった大きな問いが抽象的な表現です。「自由な社会」「自由な人生」「自由な教育」など、複数の共通する問いを一般化した表現が「自由とは何か」です。人生の目的を「幸せになりたい」と表現することも抽象的な表現です。

なお、「抽」は「多くの中から抜き出す」、「象」は「かたち、姿」の意味があります。

「抽象的」の意味2:事物の実際を離れ具体性に欠けること

「抽象的」の2つ目の意味は、「事物の実際を離れ具体性に欠けること」です。言っていることの内容がはっきりわからない時などに、批判的な意味で「抽象的な議論」「抽象的で意味がわからない文章」などと用います。

この意味で使うときの「抽象的」は、「具体的でない」という具体性を否定する意味で使われます。

「抽象的な形」とは「対象物を単純化して再構成した形」

言葉や思考についてではなく、物の形について「抽象的」と言うときは、具体的な対象をそのまま表すのではなく、単純化した形に分解したり、それを再構成したりして、対象物を別の形態として表現した形のことをを言います。

具体的な対象をそのまま描きうつさない絵画を抽象絵画と呼びます。カンディンスキーやモンドリアン、ピカソのキュビズムなどの絵画がその代表です。

「抽象的」の言葉の使い方と例文は?

次に「抽象的」の言葉の使い方と例文、およびビジネスにおける「抽象的思考」の使い方を解説します。

意味1:「抽象的に考える」「抽象的思考」の使い方と例文

物事を具体的に捉えるのではなく、一般化した広い視点で捉える考え方を「抽象的に考える」「抽象的思考」と言います。先に説明した「意味1」の使い方です。

例文:

  • 物事の本質をとらえるには、視野を広げて抽象的に考えることが大切だ
  • 要因が複数ある複雑な問題は、抽象的思考によって解決を探ることができる
  • 抽象的思考の利点は、些末なことにとらわれることなく、全体を俯瞰できることだ

意味2:「抽象的な言葉」「抽象的な質問」の使い方と例文

具体的な問題についての議論が必要とされるときなどには、「抽象的な言葉」「抽象的な質問」は歓迎されません。「意味2」においての使い方です。

例文:

  • 現実的な問題に対しては、抽象的な言葉では答えにならない
  • 具体性のない、抽象的な言葉だけが飛び交う議論は不毛である
  • 聞きたいことをはっきりさせるためには、抽象的な質問ではなく、具体的な事例を挙げて質問することが大切だ

ビジネスにおける「抽象的思考」の使い方

「意味1」で説明した、「共通なものを抜き出して一般化して考える」という意味の抽象的な思考は、ビジネスにおいて大切な思考方法です。抽象的思考では、物事を高い視点から俯瞰して見ることができるため、視野が広くなり、認識できるものを増やすことができます。

例えば、一つの課題に対して複数人で解決策を考える時など、抽象的な課題からブレイクダウンしていくことで、さまざまなアイデアが生まれます。「売上を上げる」「企業好感度を改善する」「チーム力を高める」などといった意義レベルの抽象的な課題を設定し、行動レベルの具体策に落とし込んでゆきます。

意義レベルの目標や課題は抽象的であっても、そこから行動レベルの目標や課題に移す時は、具体的であることが大切です。

「抽象的」の類語と対義語とは?

「抽象的」の類語と対義語を紹介します。

「抽象的」の類語は、大まかに把握するという意味の「概念的」

「概念的(がいねんてき)」とは、物事を大まかに捉えて把握することをいいます。「概念的に把握する」などと用います。「抽象的に」思考された事象を、思考の基礎として受け取ったものが概念です。

「抽象的」の対義語は、実際的な事象に即するという意味の「具体的」

「抽象的」の対義語は「具体的(ぐたいてき)」です。具体的とは、個々の実際的な事象に即しているさまという意味です。「具体的な提案を行う」「具体的に説明する」などと用います。

個々の事例にフォーカスしたい場面において、抽象的な発言が出たときなどに、「具体的な発言をしてほしい」というように、抽象的思考の対案として「具体的」の語が持ち出されます。

「抽象的」の対義語は、わかりやすい形を持つという意味の「具象的」

「抽象的」の対義語には「具象的(ぐしょうてき)」も挙げられます。具象的とは、対象物をそのまま写しており、作者以外にもはっきりとわかりやすい形という意味です。主に美術作品について用いられる言葉です。

「抽象的」の英語表現とは?

最後に「抽象的」の英語表現を紹介します。

「抽象的」は英語で「abstract」

「抽象的」「抽象」は英語で「abstract」と書きます。

「抽象的(な)思考」は「abstract thinking」、「抽象的な言葉」は「abstract words」と書きます。「抽象的思考をする」は「think in the abstract」「think in abstractions」です。

例文:

  • ビジネスで抽象的思考を鍛える:Train abstract thinking in business.
  • 目標は抽象的ではなく具体的な言葉で設定する:Set goals in concrete words, not abstract.

まとめ

「抽象的」とは、「具体的」の対義語で、共通なものを抜き出して「一般化して考えること」という意味です。「事物の実際を離れ具体性に欠けること」という意味で、否定的に使われることもあります。

物事を一般化して考える抽象的思考は、ビジネスで不可欠な思考の方法です。物事を高い視点から俯瞰して見ること、つまり抽象的に考えることを「抽象度を上げる」とも言い、あえて意識的に抽象的思考を行うことで、広い視野を得ることができます。

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趣味は読書とヨーロッパ旅行です。ドイツには5年余り滞在経験があります。某大学の人間科学部とデザイン学部を卒業。人生が豊かになる知識の探索を人生の糧にしています。