「寂寥感」の意味と使い方は?類語・対義語と英語フレーズも紹介

もの悲しい様子を表す言葉に「寂寥感」があります。心が寂しく、気持ちが虚しくなる様子を指しますが、正しい意味や使い方への理解を深めれば、適切な場面で自信を持って「寂寥感」を用いることができます。

今回は「寂寥感」の意味と使い方を中心に、類語や対義語とあわせて英語フレーズをまとめています。一般的にはどのような状況を「寂寥感」と呼ぶのでしょうか?

「寂寥感」とは?

「寂寥感」の意味は”寂しい・侘しい”

「寂寥感」の意味は、“寂しい・侘しい(わびしい)”です。心が寂しい気持ちであふれ、心に穴が開いたような侘しい状態を指しています。

「寂寥感」の「寂」は「寂しい」、「寥」は「がらんとして広い」、「感」は「気持ちや感覚」というそれぞれの意味があります。まるで、自分が広くガランとした場所に理由もなく放り出されたかのように、虚しく、一人ぼっちで、心が寂しい状況とも受け止めることができます。

「寂寥感」の読みは”せきりょうかん”

「寂寥感」の読み方は“せきりょうかん”です。「寂寥感」はテレビやラジオなどのメディアで聞くことはあっても、なかなか漢字表記そのものを見る機会は少ないと言える表現です。

「寂寥感」は訳もなく何だか寂しい気持ちを表す

「寂寥感」を正しく理解するポイントは、何か理由や訳があって気持ちが寂しいのではなく「何となく訳もなく心が寂しい」という点です。目に見えない「空虚」が心にあるような状態を指し、何とも言えない「メランコリックな感情」を表す言葉とも言えるでしょう。

「寂寥感」が強いと、裏悲しいだけではなく、遠くを物憂げな目線でぼんやり眺めるような状態になることが多いようです。寂しさや侘しさにおけるグレーゾーンとも言うべき表現なのかもしれません。

「寂寥感」の適切な使い方と例文とは?

「寂寥感を感じる」と二重表現をしないようにする

「寂寥感」は虚しく心悲しく感じることを指す言葉です。そのため、「寂寥感を感じる」というように「感」を重ねて表現するのは間違いとなります。

文章にすると語句が目に飛び込んでくるため「二重表現」であることに気づきやすいですが、会話をしているときは無意識のうちに放ってしまうため、誤りに気づきにくいことがあります。この点に気を付けて正しい表現を使うようにしましょう。

「寂寥感」は物悲しげな風景に対しても使う

「寂寥感」は人が虚しく侘しいと感じることを表現する言葉ですが、それ以外に、殺風景で物悲しい風景や、寂しさに溢れる絵画や芸術を見た時にも使われます。たとえば、枯葉が舞い、空き家がポつんとあるだけの、人里離れた村を見て「寂寥感がある場所」と言ったりします。

「寂寥感に襲われる」は突然虚しい気持ちになったときに

「寂寥感に襲われる」は、虚しく悲しい気持ちが突如として自身に降りかかってくる様子を表します。つい先ほどまでは何の変哲もない、普段と変わらない心のあり様が、突然虚しさと寂しさに襲われることを指しています。

  • 人の少ない山里に到着した途端、突然の寂寥感に襲われた。
  • 寂寥感に襲われたのは、きっと昔の彼女の写真を見てしまったからだろう。

「寂寥感に苛まれる」は心苦しい状況を指す

「寂寥感に苛まれる(さいなまれる)」は、空虚な心や物悲しい感情がとりついて離れず、心苦しい気持ちや追い詰められた状況を指す表現です。「苛まれる」とは「悩み苦しめられる」ことで、心理的に切迫した様子を表しています。

  • 定年退職を無事迎えることができたが、なぜか目に見えぬ寂寥感に苛まれた。
  • 寂寥感に苛まれながらも、年老いた祖母に会いに行くことにした。

「寂寥感に囲まれる」は寂しい環境にいるときの表現

「寂寥感に囲まれる」は、悲しく心虚しい環境の中に自分がいると気づいた時に放たれる表現です。自分の周囲が空虚や物悲しい景色で溢れ、暗くシーンとした世界に身を置いていると感じる時に使うのが良いでしょう。

  • 憂いを秘めた絵画が多く展示されていたため、どこか寂寥感に囲まれたようだった。
  • 寂寥感に囲まれながらも、旧友と静かに昔の思い出を語った。

「寂寥感」の類語と対義語とは?

「寂寥感」の類語(同義語)は”欠落感”や”空虚感”など

「寂寥感」の類語にあたるのは「欠落感」「喪失感」、また「空虚感」「空白感」「虚無感」などです。それぞれ微妙にニュアンスが異なりますが、下記で意味を挙げてみましょう。

  • 欠落感:必要な何かが欠けてしまったことを感じること
  • 喪失感:大切なものを失ったという悲痛な心境
  • 空虚感:空しく感じてしまう感情
  • 空白感:あるべきものを無い時の空しさのこと
  • 虚無感:いつもあるものが無く、寂しい感じ

また、文学的なニュアンスを強めた文章を構成したい時は、「ぽっかり穴の開いた」や「埋めようのない空白」なども良いでしょう。

「寂寥感」という表現が文脈で堅苦し過ぎたり、文脈に合わない場合は、適切な類語に言い換えてみることをおすすめします。

「寂寥感」の対義語は”充実感”や”安心感”など

「寂寥感」の対義語になるのは、心が寂しくない、つまり満たされた心境を表す言葉となります。例を挙げると「充実感」や「安心感」、「連帯感」などがあります。

その他、慣用句で表現したい時は「気が休まる」「平穏な感じ」「うららか」なども、虚しさや物悲しさがない心の様子を表現しています。

「寂寥感」の英語表現とは?

「寂寥感」は英語で”forlornness”

「寂寥感」の意味に最も近い言葉は“forlornness(フォーローネス)”です。寂然とした物悲しい気持ちや様子を表し、望みの無い儚さや孤独で寂しい侘しさを表すなら「forlornness」を使いましょう。

また、純粋に悲しい気持ちや孤独な感情を表す時は、カタカナ語でも知られる「lonliness(ロンリネス)」を使うこともできます。実際、英語圏では多くの場合で「lonliness」を「寂寥感」の意味で使っています。

「寂寥感」を使った英語例文

「寂寥感」を使った英語例文をご紹介しましょう。

  • I have found the scenery of forlornness.
    寂寥感のある風景を見つけた。
  • I have been attacked by sudden feeling of loneliness.
    私は突然の寂寥感に襲われた。

まとめ

「寂寥感(せきりょうかん)」の意味は「虚しく、寂しく感じること」す。気持ちが侘しく、心に風が吹きすさぶような寂しい感情を表す時に使いましょう。

「寂寥感」は心がズキズキするような痛烈な悲しみを表すのではなく、そこはかとなく物寂しく、何となく虚しい気持ちを表す言葉です。どちらかと言えば、どんな訳だか知らないが、心に何故かポッカリ穴が開くような不思議な虚しさを伴います。

使い方が優しい表現とは言い切れませんが、ぜひ「寂寥感」への理解を深めて、会話や文章で適切に取り入れてみましょう。