「輩」の意味と語源とは?使い方や類語・対義語も例文つきで解説

「輩」という漢字は「先輩」や「吾輩」などで使われますが、「輩」単体だと、あまり良い印象の言葉ではない…という認識がありませんか?

今回は「輩」の意味と語源をはじめ、使い方で気を付ける点と例文、類語・対義語、また英語表現についてまとめています。社会人になったら正しい言葉を使うのはマナーの一つ。ぜひ、この機会に「輩」の意味と使い方をマスターしましょう。

「輩」とは?

「輩」の意味は”一群の仲間・同じ血筋を引く人”

「輩」の基本的な意味は、“一群の仲間・同じ血筋を引く人”です。「一族・一門・同類の人」を指し、転じて「仲間、連中、同るの者たち」を意味する言葉として使われています。

しかし、「輩」を「ともがら」と読む場合は「仲間、連中、同類の者たち」だけを表すため、意味の範囲が狭まります。また、「はい」と読む場合は「仲間、連中、同類の者たち」の意味に加え、「列を成すように並ぶ」という意味をもち合わせます。

「輩」の読み方は”やから・ともがらい・はい”

「輩」の一般的な読み方は「やから」ですが、その他に「ともがら」や「はい」と読む場合もあります。おおむね世間で使われる「輩」は「やから」の場合がほとんどとなりますが、小説や詩の中などでは独特な言葉の雰囲気を出すため、あえて「ともがら」と読むこともあるようです。

もちろん、「やから」「ともがら」「はい」には、微妙ながら異なる意味をもち合わせています。続けて説明しましょう。

「輩」の語源は”戦争で並列した車”

「輩」の語源は「戦争で並列した車」となります。そもそも「輩」は上部に「非」、下部に「車」が入る「形声文字」です。「非」はお互いに背を向け合って左右に開く象形の意味があります。そして「輩」には「配」と同じ意味があり、加えて「車」の文字が下に入ることで「戦争の時に並列した車」を表しています。

ここから転じて「一族」「一門」「同類の者たち」「仲間」などの意味を持つ「輩」という文字が完成しました。これが語源となります。

「輩」の使い方で気を付ける点と例文とは?

「輩」の意味が理解できたところで、使い方や使い方の注意点を例文を含めて紹介します。

「輩」を「悪い人」の意味で使わない

「輩」と聞くと「どこの輩か知らないが…」や「輩がたむろしている」というなフレーズが頭に浮かびませんか?「輩」は本来の意味とは若干異なり、「悪い人たち」や「ガラの悪い連中」という意味で使われることが多いのです。

「輩」は、いつしか「ごろつき」や「素行のすぐれない者」を指すように使われるようになり、「輩」の意味として定着してしまった経緯があります。

加えて「輩」が意味する「連中」という表現も、良い人を表す時にはあまり適切な言葉ではありません。そうとは言え、「輩」は良しも悪しきも「同じ血筋を引く人」「仲間」を意味する言葉です。本来の意味を理解し、「悪い人を指す」使い方が先行しないように気を付けましょう。

「輩」を使った会話例文

「輩」を使った会話例文をいくつかご紹介しましょう。

  • デートの約束を破ってごめん。どうか失礼な輩だと思わないで。
  • 正体のわからない輩だって?一体誰と話していたんだ。
  • 小さい輩と呼ばれたって、根性と愛嬌だけは負けないよ。
  • いつも笑顔で助けてくれるチームの仲間は、私のかけがえの無い輩たちだ。

「輩」の類語と対義語とは?

「輩」の類語と対義語について解説しましょう。

「輩」の類語は”同志”や”同輩”など

「輩」の類語は、自分と同じ階級や同じ類の人を意味する「同志」「同輩」「会友」また「朋輩(ほうばい)」「傍輩(ほうばい)」などがあります。また、友達同士の会話や気軽な雰囲気で使う時は、これらの類語をくだけた表現にした「仲間」「友達」「友」などを使うと良いでしょう。

加えて「輩」でも「同じ一門」「同じ一族」というニュアンスが強い時は、「徒党」や「一党」などを用いると文章が引き締まってきます。状況と文脈に合わせて、正しい類語を選ぶようにして下さい。下記で言い換えの例を挙げてみます。

  • 私も同じ課の輩なので、責任はあります。
  • 私も同じ課の同志なので、責任はあります。
  • 私も同じ課の仲間なので、責任はあります。

「輩」の対義語は”敵”や”エネミー”など

「輩」と反対の意味を持つ言葉は「敵」や「エネミー」、「寄せ手」や「敵対」などです。どれも同じ血筋を引く人や一門、仲間などの意味とは真逆で、敵方にいる人を指す言葉となります。

「寄せ手」とは攻め寄せてくる敵軍のことです。「寄せる」という漢字が入るため「寄り集まる」と理解してしまうと「仲間」という意味で解釈しがちです。うっかり「輩」の類語として使ってしまわないように気を付けましょう。

「輩」の英語表現とは?

英語で「輩」を表現すると、どのようなるのでしょうか?状況にあわせて「輩」を意味する単語を挙げながら例文を紹介します。

「輩」の英語表現はたくさんある

「輩」を表す単語はたくさんあります。状況によって使い分けが必要となりますが、下記に例を挙げてみますので、参考にしてみて下さい。

  • 一門・一族:family
  • 同類:same kind,same class,fellow being
  • 仲間・友達:friend,buddy,associate
  • 共同体・仲間同士:fellowship

仲間や友達を意味する「buddy」は、口語でよく使う表現です。また、「associate」は「多くの時間を一緒に過ごす友達」という意味があります。

「輩」を使った英語の会話例文

「輩」を使った英語の会話例文をご紹介しましょう。

  • He is my best buddy who has shared joy and sorrow with me.
    彼は私と苦楽を供にした最高の輩だ。
  • I give a boost to our Sales Dep as I want to be someone who gets relied on.
    頼れる輩と呼ばれるように、営業部を盛り上げていくぞ。

まとめ

「輩」は一般的に「やから」と読む場合が多いですが、その他「ともがら」や「はい」と読むこともあります。意味は「同じ血筋を引く人、一門、一族」「仲間、友達」などの意味となりますが、「ともがら」には「仲間、友達」だけの意味となり、「はい」に至っては「列をなして並ぶ」という意味がプラスされます。

また、「輩」は「とんでもない輩」や「迷惑な輩」などのように、ごろつきを意味するような悪いニュアンスで使われることが多々あります。現状では世間一般に意味が通る解釈となりますが、実際的には、本来の意味から不本意に転じた意味合いとなります。ぜひ留意しておきましょう。