「零細企業」の定義とは?社長の年収と退職金・転職での注意点も

企業には大企業や中小企業など、会社のスケールを表す名称がありますが、規模の極めて小さな企業を指す言葉に「零細企業」があります。ニュースや新聞などで見聞きする言葉ですが、意味や定義とはどのようなものなのでしょうか?

今回は「零細企業」を取り上げ、意味と定義、社長の年収や退職金、零細企業に転職する時の注意点などを紹介していきましょう。



「零細企業」の意味と定義は?

はじめに「零細企業」の意味と定義について解説します。

「零細企業」の意味は「非常に小規模な企業」

「零細企業」とは中小企業の中でも「非常に小規模な企業」のことを指します。「零細企業」はごくわずかな資本や設備で経営を賄うため、従業員をできるだけ少人数で抑えたり、家族経営で運営を切り盛りしていることが多くみられます。

また「零細企業」は中小企業のカテゴリーに含まれないことがあります。そのため、別枠で「零細企業」を含むことを明確にする「中小零細企業」という表現を用いることがあります。

「零細企業」は法律で定められた言葉ではない

「零細企業」は法律によって定められた言葉ではありません。ごく一般的に小規模である企業に対して使われ、法的な観点から見ると、該当する区分は「小規模企業」となります。そのため、「零細企業」は「小規模企業」とイコールであると解釈できます。

「零細企業」の定義と判断基準

前述でもお話したように、「零細企業」は「小規模企業」のことです。そうすると、「零細企業」における定義や判断基準は以下のようになります。

  • 卸売業・小売業などの商業やサービス業:従業員5名以下
  • 製造業・建設業・運輸業・その他業種:従業員20名以下
  • 宿泊業・娯楽業:従業員20名以下

補足ですが、2013年に「小規企業活性化法」が施行され、小規模企業に該当する企業範囲の変更を政府が「政令(内閣が制定する命令)」として行えるようになりました。

実際に変更となったのが、宿泊業・娯楽業です。この2つはかつてサービス業に該当していたため、従業員5名以下という規定がありました。しかし、政令により小規模企業の範囲が改められ、宿泊業・娯楽業が新しいカテゴリーとなり、従業員20名以下まで「小規模企業」という名目で扱われるようになった経緯があります。

「零細企業」の社長の年収や退職金は?

それでは「零細企業」の社長の年収や退職金について、一般的な例を紹介します。

「零細企業」の社長の年収はピンキリ

「零細企業」の社長の年収は企業によってもピンからキリまであります。一概に「これくらい」という数字を出すことは厳しく、時には年収がマイナスを記録してしまうこともあるほどです。

たとえば、カフェやレストラン、雑貨店など小さな店を経営している場合も、店主は社長のという名目があります。そうなると、やはり個人の事業展開によっても年収に大きな幅が出てしまうことは否めません。

しかし、「零細企業」の社長でも仕事がコンスタントに継続できる状態であれば、年収はだいたいの範囲で1,000万円クラスになることも多いでしょう。「零細企業」ですから、億単位に達することは厳しいかもしれませんが、それでも経営手腕の座っている零細企業の社長は数多くいます。

「零細企業」の退職金は一般的に「500万円~700万円程度」

「零細企業」の退職金も、やはり企業によって違いが出来てきます。おおむね経営が順調であれば、500万円~700万円程度となる場合が多いようですが、零細企業という性質柄、退職金を出すことで、企業が倒産に追い込まれることもあります。そういったリスクを回避するために、あえて退職金を出さない企業もあるため、入社時に確認が必要です。

「零細企業」に転職する際の注意点は?

最後に「零細企業」に転職する際に気を付けたい点を挙げてみましょう。

社会保険に加入できない可能性がある

「零細企業」の場合、法的に社会保険に加入する義務がない場合があります。そうすると必然的に従業員も社会保険の被保険者として適応外となってきます。

法律ではフルタイム、もしくは週30時間以上の就業があれば、社会保険には加入できることになっていますが、例外もあるということです。

法人事業主の場合は、社会保険加入が義務付けられていますが、従業員が5名以下の個人事業主や、美容院や飲食店、また農林水産業などの定められた業種では、従業員が5名以上でも社会保険加入の義務はありません。

有給休暇の取得が実質的に難しい

零細企業は従業員数が極小であるため、一人で多くの業務を抱えることは珍しくありません。そのため、年間の有給休暇がありながら、実際的には取得できないことがあります。

大量の業務を限られた少数のメンバーでこなすためには、もちろん有給休暇などをとっている暇はない、ということも挙げられます。しかし、何より零細企業の中には「名ばかりの有給休暇」という認識が風土として定着しているケースも無きにしも非ずのようです。

労働時間が44時間と長めである

従業員が10名以下の法人事業主、または個人事業主は、労働基準法により一週間44時間まで労働時間が拡張されます。

通常は一日8時間で一週間40時間という法的規定がありますが、従業員が10名以下の零細企業の場合は、通常の労働時間プラス4時間で、合計44時間の労働時間が課せられます。また、それに対しては割増料金が適用にならないということも忘れてはなりません。

まとめ

「零細企業」は、中小企業の中でも、非常に規模の小さい企業を意味する企業の総称です。場合によっては中小企業でも「零細企業」が含まれない場合があるため「中小零細企業」と表現することがあります。

「零細企業」にも「アットホーム」や「社長がきさく」など、従業員が良いと感じるメリットは多くあるでしょう。しかし「零細企業」に就職する時は、就業規定や業務内容、労働時間、社会保険の有無などを確認し、企業に対する理解を深めてからにすることをおすすめします。

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某私立大経営学部卒、大手旅行会社、商社を経て、豪州へ移住。米国PCメーカーのカスタマー部に勤務後、カンガルーやエミューのいるNSW州の片田舎で生活を開始。田舎暮らしをきっかけにフリーランス(ライター・翻訳)に転身し現在に至る。趣味はゴルフ、料理、ローカルとのゴシップ、キャンプ。