「滞りなく」の意味と使い方は?類語や英語表現も併せて紹介

「滞りなく」は日常的によく耳にする言葉ですが、正しい意味や使い方を知っている人が意外に少ない言葉でもあります。ビジネスの現場で恥をかかないためにも、今回は「滞りなく」について正しい使い方を例文、類語、英語表現などと併せて解説していきます。

「滞りなく」の意味

「滞りなく」の意味は「遅れなく」

「滞りなく」とは、「遅れなく」という意味です。文字通り「滞り」が無い状態です。物事が遅れたり邪魔されたりすることなく、スムーズに進んでいる様子を指しており、「はかどる」、「順調に進む」などと似た意味になります。

「滞り」とは遅れのこと

「滞り(とどこおり)」とは、「ものごとがスムーズに進まないこと」「支障がでること」「期限を過ぎてもお金などの支払いがなされないこと」などを意味します。このように、「滞り」は「遅れ」と近い意味になりますが、「遅れ」と比べてより格調高い表現のため、ビジネス文書や各種の式典などのフォーマルな場面に適する表現になります。

「滞りなく」の場面別での使い方

「滞りなく」は格式ばった表現であり、日常会話などではあまり用いられません。「滞りなく」を用いる場面には以下のようなものがあります。

葬儀で使う「滞りなく」

「滞りなく」は葬儀の場面で用いられ機会が大変多い言葉です。「告別式が滞りなく終わりました」「葬儀が滞りなく進行する」のように使うことが多く、葬儀を主催する側に立つ場合はぜひ覚えておきたい言葉です。

結婚式で使う「滞りなく」

「滞りなく」は披露宴のスピーチなどでも多用されます。日常会話で用いると仰々しい響きのある「滞りなく」も結婚式などの晴れの舞台では違和感が生じません。「新郎○○、新婦○○の挙式を滞りなく執り行う」「披露宴は滞りなく終了しました」のように使うことができるので覚えておきましょう。

ビジネスの場面で使う「滞りなく」

「滞りなく」は式典以外では、ビジネスの現場で頻繁に使われています。メールや報告書でプロジェクトなどの進行状況を報告する場合などによく用いられ、「〇〇のプロジェクトは滞りなく進んでおります。」「〇〇については先方と緊密に連絡を取りながら滞りなく遂行する次第です」などのように使われることが多いです。

また、建物建設の起工式や自社ビルの初披露などの大がかりなイベントでの挨拶などで用いられることも多く、「当ビルの建設は滞りなく完了しました」などのように使われています。

「滞りなく」を使った例文

ここでは、実際に「滞りなく」を使った例文をいくつか紹介します。自分で使う際の参考にしてください。

例文6パターン

  • 皆様のご協力により、今回の行事を滞りなく開催することができ、大いに感謝いたします。
  • 独演会の書類の準備を滞りなく進めていただきありがとうございました。
  • 関係者各位の多大なるご協力を持ちまして、本日の葬儀は滞りなく終えることができました。
  • 本件に関してましては、先方と入念に打ち合わせをしながら滞りなく進めて行くつもりです。
  • 会議を滞りなく進められるよう、議事録を確認のうえ、きちんと事前準備をしておいてください。
  • 式典を滞りなく執り行うことが私たちに課せられた使命といえます。

 

「滞りなく」の類語と英語

ここでは、「滞りなく」の類語を紹介するとともに注意すべき使い分けについても解説いたします。

よく使われる類語「つつがなく」

「滞りなく」の類語でよく使われるものの一つに「つつがなく(恙なく)」があります。「つつがなく」の「つつが」とは「ツツガムシ」と呼ばれるダニの一種に由来するとの説もあり、「つつがなく」とは病気や事故などの災いに遭わずに物事が順調に進むことを意味します。

このため、「つつがなく」はこうした予測不能な事態を生じる可能性のあることに対して使う言葉であり、結婚式や葬式など1日で終了するような出来事に対して用いることは不自然にあたります。もっと長期的な出来事に対して用いるのが相応しい表現であり、「日々、つつがなく暮らしています」「今回の海外出張はつつがなく終了しました」のような使い方をします。

その他よく使う類語は「成功裏に」「遅滞なく」など

その他の「滞りなく」の類語には以下のようなものがあります。いずれも良く使う表現ですので一緒に覚えておくと良いでしょう。

  • 「成功裏に」
  • 「遅滞なく」
  • 「差しさわり無く」
  • 「支障なく」
  • 「円滑に」
  • 「首尾よく」

「滞りなく」の英語表現は「delay」「hitch」など

「滞り」は英語ではdelayやhitchなどと表現します。このため、「滞りなく」はwithout delay、without a hitch、with no delay、with no hitchなどと言うことができます。また、「滞りなく進む」は、go smootly、come along、proceed uneventfullyなどと言うこともできます。

「滞りなく」を「予定どおりに」という意味で解釈すれば、planを用いて、as we planned、 as plannedなどのように表現することもできます。

まとめ

「滞りなく」は読み方がやや難しく、難解な表現の印象があるかもしれませんが、一度使い方を覚えてしまえば意外と平易に使いこなせる表現です。イベントやビジネスなど、使用できる幅が広い言葉でもありますので、この機会にぜひ使い方をマスターしておきましょう。