「人となり」の意味や語源は?類語「人柄」との違いや使い方も解説

「人となり」という言葉は、「人となりを教えてください」といったようにその人の人間性を尋ねるときによく使います。類語の「人柄」とは、意味に違いがあるのでしょうか?

今回は「人となり」という言葉について解説します。「人となり」の意味や語源となった漢語、言葉の使い方や類語、英語表現も紹介しますので、参考にしてみてください。

「人となり」の意味とは

「人となり」の意味は「その人の人間性」

「人となり」という言葉は、日常生活やビジネスシーンなどで広く使われています。「人となり」とは「その人の人間性や、性格・性質」などを意味する言葉です。

「その人の人となりを教えてください」とは「その人がどんな人か教えてください」という意味です。「どんな人か」ということを、敢えて「人となり」という言葉で表す場合の多くは、聞いた人がその対象となっている人に、何らかの思いがあることが多いでしょう。

古語の「人となり」は背格好や天性も含む

「人となり」という言葉は、古くから使われており、古語でも出てきます。昔の「人となり」は、現代の「人となり」よりも、広い範囲の特徴や性質まで含んでいました。

昔の「人となり」は、人間性や性格・性質だけでなく、その人の背格好や持って生まれた天性や才能のことまで指していました。

「人となり」の語源と由来

語源は漢語「為人」の訓読み

「人となり」の語源は、漢語にあると言われています。漢語では「為人」という言葉が頻繁に使われており、意味は「人としての在り方」です。

この「為人」を訓読みにしたものが、現在の「人となり」であると考えられています。この「為人」に、その人の背格好や天性などが含まれていたことから、昔の日本でも「人となり」に見た目の特徴などが含まれていたようです。

漢文では「人と為り忍びず」が有名

古代中国の「孟子」の言葉に、「人となり」の意味を含んだ有名なものがあります。それは「人と為り忍びず」です。

「人と為り忍びず(ひととなりしのびず)」とは、現代の日本語に訳すと「かわいそうなことができない人柄」という意味になります。これは、その人が残忍なことができない、優しい人であるということを言っている言葉です。

「人となり」と「人柄」の違いは?

「人柄」は誰にでも伝わりやすい同義語

「人となり」を他の言葉に言い換える場合に、使いやすいのが「人柄」です。「人柄」も、「その人がもつ性質や品格」を意味します。よって、「人となり」と同義語として使えます。

また、「人柄」は日常生活でもよく耳にする言葉で、誰に向けてもわかりやすく伝えることができます。ビジネスシーンなど基本的には私情を挟まないことが望ましい場面では、「人となり」よりも「人柄」の方が好まれるかもしれません。

「人となり」の使い方と例文

「人となりが好き」は人間性を好んでいることを表す

「人となり」は、その人の人間性を表す言葉です。そのため、「人となり」の後には「好き・嫌い」という、個人的な感情が来ることがあります。

「人となりが好き」と言えば、その人の外観ではなく、人間性そのものを好んでいるという意味です。反対に「人となりが嫌い」と言えば、その人の人間性そのものが好みではない、という意味になります。

例文
  • 「私は彼の人となりが好きで、結婚することを決めました」
  • 「仕事とは言え、人となりを好きになれる人でなければ、上手くいかないと思います」

「人となりを知るほどに」はどんな人かを知る度に

「人となり」は、その人との付き合いが長くなるにつれて、または関係が深くなるにつれて、さらにわかるようになるものです。そのため「知るほどに」という言葉で、付き合いの時間が経過していることや、関係が深くなっていく過程を表すこともできます。

「人となりを知るほどに」と言えば、その人とたくさんの時間を過ごすほどに、その人のことをより知るほどに、という意味です。

例文
  • 「最初はただの知り合いでしたが、彼の人となりを知るほどに、これからもずっと友人でいたいと思うようになりました」
  • 「課長の人となりを知るほどに、課長を頼る社員が増えていく」

「人となりが表れる」は性格がわかる言動

「人となり」は、その人がどんな人であるか、ということを表します。そのため「表れる」という言葉と一緒に使うことで、「その人がどんな性格であるかがわかる」という意味にすることもできます。

例文
  • 「あなたの字は本当に美しくて、人となりが表れているね」
  • 「彼女の人となりが表れたのは、私が困ったときに手を差し伸べてくれたときでした」

「人となりを表すエピソード」は人柄をイメージできる話

「人となり」は、自分がその人と接していく中で感じとる印象です。この自分が感じた印象を、他人に伝える場合には、「人となりを表すエピソード」が語られることがあります。

「人となりを表すエピソード」とは、その人のことを知らない人が聞いても、そのエピソードだけで、その人の人となりを想像できるような話のことです。

例文
  • 「彼の人となりを表すエピソードはたくさんあるけれど、新しいものでは、私が仕事でミスをしたときに残業までして助けてくれたことだ」
  • 「人となりを表すエピソードと言われても、すぐには思い浮かばない」

「人となり」の類語

性格よりもさらに深い本質を表す「気質」

「人となり」と似た言葉に「気質(きしつ)」があります。「気質」とは、その人の性格の元となる、根幹の性質のことです。

「人となり」が、その人の性格や人間性を指すことに対して、「気質」はその人の性格を形成する元となっている、考え方などを指します。

その人特有の性質を指す「個性」

「人となり」と似たニュアンスを持つ言葉に「個性」があります。「個性」とは、その人にしかない特徴のことです。その人特有の性質を表す、とも言えます。

「個性」は「人となり」の一部として語られることも多く、一概に意味が同じ・違うとは言い切れません。「個性」が「人となり」として語られることもありますし、「人となり」とは別のものとして「個性」が語られることもあります。

「人となり」の英語表現

「人となり」は英語で「personality」

「人となり」を英語で表す場合は、「性格・人柄」という意味の「personality」を使います。「personality」は、人の性格や人柄を広い意味で表す英単語です。そのため、気質や個性なども、「personality」で表すことができます。

また、同じ「人となり」を表す英単語に「character」もあります。「character」は「personality」に比べて、口語的に使われる言葉です。日常会話でカジュアルに「人となり」を表したい場合は、「character」の方が良いでしょう。

まとめ

「人となり」という言葉は、使いなれていない人にとっては、どういうときに使えば良いのかわかりにくいかもしれません。まずは、自分が良く知る人のことを、誰かに話す場面などで、「彼の人となりは」などと使ってみると良いでしょう。ぜひ、この機会に「人となり」を語彙に含んで、実際に使ってみてください。