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「労務」の意味とは?「労務管理」の仕事内容や人事との違いも解説

「労務」とは労働者を管理するための必要な業務ですが人事と混合されやすく、会社によっては人事部または総務部が労務の所轄となることもあり、具体的にはどのような業務内容なのかがわかりにくい職務です。

今回は「労務」の意味や労務管理とその業務内容に人事との違い、さらには労務に関わる資格や英語表現を紹介します。

「労務」とは?

「労務」の意味は”報酬を受ける目的で労働する勤務”

「労務」の意味は、“報酬を受ける目的で労働する勤務のこと”です。「労働」とほぼ同義です。しかし「労働」は報酬を得られるとは限らず、人間が生存を維持するために行う活動全般のことを指すのに対して、「労務」は報酬を受けることが目的とされています。

企業においては「労務」とは「労働力の管理についての事務処理」のことであり、「労務を担う事務員」を意味することもあります。

「労務者」とは”主に肉体労働をする人”のこと

「労務者」というと、単に報酬を受ける目的で働く労働者という意味ではなく、主に肉体労働に従事する人のことを指します。「労務者」という言葉には、肉体労働に従事している人を差別する意味合いも含まれているため、使い方には注意が必要です。

第二次世界大戦中には、日本の占領下で強制的に肉体労働に従事させた外国人のことを「労務者」と呼んだこともありました。当時の東南アジアでの労務者のことをカタカナ表記で「ロームシャ」と書き表し、インドネシア語にいたっては「労務者」という言葉が残りアルファベットで「romusha」と書き表します。

「労務」を使った例文

「労務」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 「会社に雇われた時から、従業員は労務を提供するのが義務だ」
  • 「彼は交通事故後に療養が必要なため、労務に服することができなくなった」
  • 「労務課の仕事に慣れてきて、少しずつ労務を担当することがおもしろくなってきた」

「党務管理」の仕事と「人事」との違いとは?

「労務管理」とは従業員の労働環境を整える仕事

「労務管理」とは、従業員の賃金や労働時間などの労働条件や福利厚生を管理する仕事です。生産性の向上など企業の経営目的に沿いながら、従業員のリスクを減らすことが要となるのですが、同時に労働基準法などの法令も順守する必要があるため、法令への理解と従業員個人への配慮の両方が求められる業務です。

「人事」は社員の採用から能力開発まで

「人事」とは、新規または中途の社員採用の計画を立てて実施します。加えて、社員の配置や処遇さらには能力開発にまで仕事が及びます。

労務では社員管理が主な業務内容ですが、人事でも給与から健康面への配慮など社員を管理する業務が含まれるため、労務と人事は混合されやすくなります。

「労務管理」の主な仕事と所属する部署

労務管理の主な仕事内容は、従業員の労働条件や就業規則の管理、社会保険や労働保険の手続き、勤怠の管理のほかに従業員の健康管理などが挙げられます。従業員が気持ちよく仕事ができるように職場管理・改善も労務管理も行います。給与計算については労務課が行うこともありますが、経理部が担う場合もあります。

また労務管理を人事部の一課として見なしている場合もあれば、労務管理と人事業務が混合している場合、または労務管理を人事部ではなく総務部で行う場合など、労務管理をどの部に所属させて、どのような形態で進めるかは企業によって様々です。

「労務管理」と「人事管理」が企業運営を円滑に進める

労務管理の仕事が従業員の管理という特徴から、採用や配置を主な業務とする人事管理と混同されることがあります。しかし本来ならば、労務管理と人事管理は区別されます。

労務管理により従業員の労働条件等を管理し、人事により適切な配置などが行われることで、企業は経営目的を果たすために円滑に業務を果たして生産性を上げ利益を得ることができるからです。

労務に関係する資格とは?

「社会保険労務士」とは労務と社会保険の専門家

「社会保険労務士」とは、労務管理と社会保険に関するエキスパートで国家資格者です。労務関係の相談に応じ、社会保険の手続きを代行、年金相談や会社と社員の間で起きる問題の解決のお手伝いなどが主な役割です。略して、労務士や社労士とも呼ばれています。

弁護士や税理士と同じ士業のひとつで、社会保険や労働保険の手続きに必要な書類作成や提出、就業規則の作成、提出などは、社会保険労務士しかできない仕事です。

「労務管理士」とは労務に関する民間資格者

「労務管理士」とは、雇用契約書の作成や就業規則の管理に加えて労務に関する相談も請け負います。また従業員の勤怠管理や給与の計算なども行う民間資格者です。

労務管理士と社会保険労務士が混合されやすいのですが、違いは労務管理士が民間資格であり社会保険労務士は国家資格であることと、労務管理士は社会保険労務士のように就業規則の作成や社会保険等の書類作成などはできない点です。

「労務」の英語表現とは?

「労務」は英語で”labor”または”work”

「労務」は英語で「labor」または「work」と訳されます。ただし「labor」(イギリス英語:labour)は肉体労働をイメージすることが多く、賃金の派生する事務などの就労ならば仕事という意味の「work」の方がいいでしょう。

また「労務管理」は「personal management」と英訳されますが、「personal」の意味には労務のほかに人事という意味が含まれるため、「personal management」には労務管理と人事管理の両方の意味が含まれます。

「労務」を使った英語例文

「労務」を使った英語例文をご紹介しましょう。

  • “I am in charge of work.”
    「労務を担当する」
  • “The price of repairs includes a labor and parts.”
    「修理費用には労務と部品も含まれる」
  • “The labor cost becomes clear by checking the working time.”
    「労働時間を確認することで、労務賃金が明らかになった」

まとめ

「労務」とは給与を得るために行われる労働のことで、肉体労働を意味することもある言葉です。企業における労務管理は人事と重なる業務もあることから混合されやすいのですが、従業員の労働条件や福利厚生などの管理を担っています。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。