「責任転嫁」の意味と語源とは?使い方と例文・類語表現を解説

「責任転嫁」とは「自分に責任があるにも関わらず、責任を他に押し付ける」の意味を持つ言葉。ポジティブな意味では使われず、ネガティブな意味合いにのみ使われます。今回は「責任転嫁」という言葉の意味と語源を解説し、使い方の例文を紹介。類語と英語表現に加え、責任転嫁する人への対処についてもお伝えします。

「責任転嫁」とは?

「責任転嫁」の意味は”責任を他に押し付ける”

「責任転嫁」の意味は、“責任を他に押し付けること”です。自分に責任があるにも関わらず、他人や他のことに原因があると主張し、反省しないことを表す言葉です。「転嫁」という言葉自体にも、「自分が失敗したことなどの責任を相手に押し付ける」の意味が含まれています。

「責任転嫁」は”転嫁”の元の意味が語源

「責任転嫁」の意味は、「転嫁」がもとは「女性が再婚すること」を表す言葉であったことが語源となります。再婚するということは、他の家に移るということ。したがって、「責任転嫁」という言葉は、「責任を他に移す」の意味合いとして使われるようになりました。

「責任転嫁」の読み方は”せきにんてんか”

「責任転嫁」の読み方は、“せきにんてんか”です。「嫁」という言葉は「よめ」や「とつぐ」だけでなく「か」とも読み、「婚嫁」(こんか)や「降嫁」(こうか)などと使われます。

「責任転換」は”責任転嫁”の誤った表現

「責任転換」という表現を見受けることがありますが、「責任転嫁」が持つ意味合いからすると誤った表現となります。「転嫁」の意味は、「自分の失敗の責任を相手に押し付けること」。一方「転換」は「物事を異なる方針や方向へと変えること」の意味を持ちます。したがって、「責任転換」という表現では意味が成り立たなくなります。

「責任転嫁」の使い方と例文とは?

「責任転嫁」を使った例文

「責任転嫁」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 誰が見てもこの事態を引き起こした責任は君にあるのに、責任転嫁するなんて卑怯だ。自分の非を認めて、みんなの前で謝罪するべきだ
  • 彼は非常に優秀なのだが、うまくいかないときに責任転嫁するくせがあるのを治すことがない限りは、昇進させるわけにはいかない
  • たとえ責任転嫁の身代わりであったとしても、自分が非難を受けることで、事態が丸く収まるのであれば構わない

「責任転嫁」の類語と言い換え表現とは?

「責任転嫁」と似た意味を持つ言葉は多くありますが、そのうちのいくつかをご紹介します。

類語①「責任逃れ」の意味は”責任から逃れる”

「責任逃れ」(せきにんのがれ)は、「責任転嫁」の類語です。「逃れる」という言葉は、「他に押し付ける」の意味合いまでは持っていませんが、「責任逃れ」は結果的には他の誰かや何かに「責任転嫁」をしていると言うことができます。

類語②「責任回避」も”責任から逃れる”の意味

「責任回避」(せきにんかいひ)という言葉も、「責任から逃げる」の意味を持った類語です。「回避」とは「逃れる」「避ける」の意味を持つため、自分が原因であるにも関わらず責任を取らずに「責任から逃げる」というネガティブな意味合いとして使います。

しかし、「責任回避」はネガティブな意味合いではなくポジティブな意味合いとして使われる場合もあります。自分の責任でない場合や誰の責任かわからない場合に、責任を押し付けられそうになったとき、責任をかぶせられないよう回避した場合に使うことも可能です。

類語③「自己正当化」の意味は”自分は正しいと主張する”

「自己正当化」(じこせいとうか)とは、自分に非があるのに「自分を正しいと主張すること」の意味となります。「責任転嫁」は本来ある自分の非を他に押し付け、自分に責任がないとすることから、「自己正当化」は同じ意味の言葉ということができます。

「責任転嫁する人」の特徴と対処法とは?

「責任転嫁する人」の心理

「責任転嫁」をする人へ対処するには、まずは、相手が自分に「責任転嫁」をする心理を知っておく事が有効です。

責任を他人に転嫁する人の特徴のひとつは、「認められたい」という気持ちがあることです。自分が失敗したことについて他人から非難や否定されることを恐れるため、他人に責任押し付けていると考えられます。

「責任転嫁」されやすい人の特徴

「責任転嫁」されやすい人の特徴にもいくつかがありますが、そのうちのひとつは「意見をはっきりと言わない」こと。「責任転嫁」とは自分の責任を他人に押し付けることですが、相手が否定しないことを見越して責任を転嫁すると考えられるためです。

上司から責任転嫁された場合の対処

上司とは、本来部下を指導し責任をとる役割のはず。しかし上司から「責任転嫁」をされてしまうケースもないとは言い切れないでしょう。

上司の性格や、自分自身のポジション・トラブルの状況などにより、必ずしも有効な対処方法とは限りませんが、周りの力を借りることも解決方法のひとつ。上司の上長となる人や同僚などに、状況を客観的に判断し提言してもらうことで対処できる場合もあります。

また事前の対処方法としては「責任転嫁」されやすい人にならないこと。日頃から、求められた場合には自分の意見をはっきりと言えるようにしておくのがよいでしょう。

「責任転嫁」の英語表現とは?

「責任転嫁」は英語で”shift responsibility”が適している

直訳すると「責任を転嫁する」となる「shift responsibility」というフレーズは、「責任転嫁」の英語として使うのに適しています。「shift」は「転嫁する」「かぶせる」、「responsibility」は「責任」や「義務」の意味をそれぞれ持っています。

「pass the buck」も「責任転嫁」の英語として使う

英語で「責任転嫁」の意味合いを表現する場合、「pass the buck」というフレーズも使うことができます。「pass」は「ものを渡す」「回す」などの意味を、「buck」は「責任」の意味をそれぞれ持つ言葉です。「pass the buck」は直訳すると「責任を渡す」という意味になり、「他に責任を押し付ける」の「責任転嫁」の意味合いとなります。

まとめ

「責任転嫁」という言葉は、「自分に責任があるにも関わらず他に責任を押し付ける」という意味を持つ言葉です。「責任逃れ」「責任回避」など似た意味合いを持つ類語はいくつかありますが、いずれもネガティブな表現となります。