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「口さがない」の意味とは?由来や使い方・類語「毒舌」との違いも

「口さがない」は「よんどころない」などと同じで、意味を知らない人にとっては、どういう意味なのか推測しにくい言葉です。今回は「口さがない」の意味や語源、使い方や例文などについて解説します。「口さがない」の言い換えに使える類語もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

「口さがない」とは?

「口さがない」の意味は”口うるさく批判すること”

「口さがない」の意味は、“他人のことをあれこれと批判したり、無責任な発言を繰り返す”ことです。慣用句のひとつです。「くちさがない」と読みます。

相手のことを思って口うるさく注意をしたり、指導をしたりすることは「口さがない」とは言いません。あくまでも自分の感情で人のことを批判する、ということを好む人を「口さがない人」と言います。

漢字では「口性無い」と書く

一般的な表記では「口さがない」と、「口」だけを漢字であとはひらがなで書きますが、漢字をさらに使って書くこともできます。「口さがない」は「口性無い」です。「性」は「さが」とも読む漢字で、その人の生まれつきの性質を表します。

ただし「口性無い」は、現代で「口さがない」という言葉が使われるようになってからのあて字です。正式な漢字表記ではありません。人に見せる文章などでは「口さがない」という書き方を選んだ方が良いでしょう。

「口さがない」の語源と由来とは?

由来は「さがない」という古語

「口さがない」という言葉を耳にしたとき、気になるのは「さがない」の部分です。この「さがない」は古語でも使われていた言葉で、「たちが悪い」「意地が悪い」という意味を持っています。

その「さがない」に「口」をつけることで、「口(から出る言葉)のたちが悪い」という意味となり、現代の「口さがない(他人を自分勝手に批判する)」という意味になりました。

「口さがない」の語源は”口さがなし”

「口さがない」の由来となった「さがない」を使って、「口さがない」となったことは先で解説しました。しかしさらに厳密に言えば、「口さがない」は一度「口さがなし」という言葉を経由しています。

「口さがなし」の「さがなし」とは、「さがない」を形容詞にした言い方です。そのため、以前は同じ意味を「口さがなし」と表現していたと言われています。その後「口さがなし」が使い続けられる中で、「口さがない」という現代の形になったようです。

「口さがない」の使い方と例文とは?

「口さがない」は目上の言動には使わない

「口さがなし」という言葉は、良い悪いの意味で言えば、悪い意味の言葉です。「口さがなし」の意味である「他人を口うるさく批判する」が、良い意味とは捉えられないことが要因と言えます。

そのため「口さがない」という言葉で、目上の人の言動を表すことは失礼になります。心の中では「いつも人を批判して口さがない人だ」と思っていたとしても、相手には「いつも気にかけていただき」「ご指導いただき」など、別の言葉で「口さがない状態」を表しましょう。

  • 「部長にはいつもご指導をいただき、大変有難く存じます」
  • 「(相手が口さがないという言葉を使った場合)口さがないだなんてとんでもないことです、気にかけていただきありがとうございます」

「口さがない連中」は口うるさい人々のこと

「口さがない」は「口さがない人」「あの人は口さがない」など、特定の個人について使われます。しかし「口さがない連中(れんちゅう)」となると、誰ということではなく複数人に対して「口さがない」が使われます。

「連中」には「何人かいるあの人たち」というニュアンスがあり、複数人のことをざっくりと指すときに使われます。

  • 「あの口さがない連中を相手にすると思うと、先が思いやられるよ」
  • 「自分たちは正当な権利を主張したつもりだが、先方からは口さがない連中と言われていることがわかって怒りがこみ上げた」

「口さがない」の類語とは?

「不躾な」は悪意を感じる場面での言い換え

「口さがない」の類語として挙げられるもののひとつに「不躾な(ぶしつけな)」があります。「不躾な」とは「礼儀のなっていない」「失礼な」という意味です。

「口さがない」が持つ「口うるさく他人を批判する」という行為を、礼儀のなっていない失礼な行為と言い換えることもできるため、「口さがない」の類語として使うことができます。「不躾な言い方」「不躾に物を言う」など、いずれも「口さがない」と似た意味をもった表現とすることができます。

「毒舌」は憎めない様も含む

「口さがない」の類語として、比較的頻繁に耳にするのが「毒舌(どくぜつ)」です。「彼は毒舌だから」「あなたの毒舌には慣れた」など、日常的に使っている人も多いかもしれません。

「毒舌」とは「辛辣で皮肉な悪口」という意味です。この意味自体は「口さがない」とほぼ同義語と考えることができます。しかし「口さがない」と違うのは、「毒舌」という言葉には、相手を憎みきれない親しみのようなニュアンスを感じやすい点です。

「毒舌」という言葉自体に相手を憎めない様子までは含まれていませんが、「毒舌」という言葉は一般に広く浸透し、気軽な会話などでも使われやすいことから本来の意味とは違うニュアンスも含むようになっています。近しい相手や心を許している相手に対して「毒舌」を使うことで、言葉にしにくい気安さを表現することもできるでしょう。

「さがな口」は悪口の意味

「口さがない」と非常に似た言葉で「さがな口(ぐち)」があります。「さがな口」とは「悪口」という意味です。「彼女はさがな口が好きだから」は「彼女は悪口を言うのが好きだから」という意味になります。

「口さがない」はその人の性質を表す言葉、「さがな口」はその人が発している言葉の内容を指す言葉で、似ていますがイコールではありません。

「口さがない」の英語表現とは?

「口さがない」は英語で”gossipy”

「口さがない」という言葉を英語にする場合は、日本でもときどき耳にする単語を使います。「口さがない」は英語で“gossipy”です。

「有名人のゴシップ」などに使われる「gossip(ゴシップ)」を形容詞にした「gossipy」は、あれこれと人のことを噂して批判する様子を表し、「口さがない」と似た意味として使うことができます。

まとめ

「口さがない」という言葉は、日常で頻繁に見聞きする言葉ではないかもしれません。しかし、他人をあれこれと批判する人のことをビジネス感を持った言葉で表したい場面では有効でしょう。ぜひこの機会に「口さがない」という言葉について知り、適した場面ですんなりと口に出せるよう、語彙に含めておいてください。