「懲戒解雇」とは?理由や手続き・退職金に関わる内容も解説

「懲戒解雇」は家族や周囲の人に多くの心配や迷惑をかけることになります。しかし懲戒解雇についてあまり良く知らないという人も多いでしょう。今回は「懲戒解雇」とは何なのか、その後どうなるのかなどについて解説します。雇用者が懲戒解雇をするために必要なことについてもご紹介しています。



「懲戒解雇」とは

「懲戒解雇」とは被雇用者へのペナルティ

「懲戒解雇(ちょうかいかいこ)」とは、簡単に言えば「クビ」のことです。雇用者が被雇用者に対して行うペナルティのひとつで、ペナルティの中ではもっとも重いものと考えることができます。

「懲戒」とは、不当あるいは不正な行いに対して制裁を加えて戒める、という意味です。通常ペナルティは、今後も勤続することを前提に行いますが、懲戒解雇については今後の勤続を認めません。

「懲戒解雇」は即日行うことができる

雇用者は、被雇用者に対して「○年○月○日をもって懲戒解雇とする」など懲戒解雇とする日付を知らせる義務があります。この「懲戒解雇の日付」は特に決まりがなく、即日有効とすることも可能です。

少し余裕を持った日付を言い渡されることもありますが、懲戒解雇となるような事を起こしているのであれば、即日の懲戒解雇となっても不思議はないでしょう。

公務員の懲戒解雇は「懲戒免職」

「懲戒解雇」と似た言葉に「懲戒免職(めんしょく)」があります。「懲戒免職」は公務員が懲戒されることを指します。「懲戒解雇」は公務員以外の職を解かれることです。

そのため、公務員以外の人が「懲戒免職」となることはありません。一般の企業であれば、「懲戒解雇」、公務員であれば「懲戒免職」と言葉が変わることを知っておきましょう。

「懲戒解雇」の代表的な理由

横領など業務上の立場を利用した犯罪を犯した

「懲戒解雇」の細かい定義は企業によって異なりますが、多くの企業に共通する懲戒解雇の理由はいくつかあります。そのひとつが「横領などの犯罪行為」です。社内での自分の立場を利用して、金銭を使い込んだり、虚偽の経費を計上したりすることが当てはまります。

過去に業務上の横領で懲戒解雇となった人のニュースはいくつもあり、その金銭が個人的な使い込みであるかどうかについて、裁判などに発展した事例もあるようです。

自らの雇用に際して虚偽の申告をしていた

被雇用者が、入社の際に虚偽の申告をしていた場合も懲戒解雇となります。たとえば、学歴の詐称をしていた、持っていない資格を持っていると申告した、年齢や名前が事実と異なった、などが主な例です。

入社時点での被雇用者の情報は、基本的には自己申告となります。そのため雇用者は、被雇用者を信頼して雇用するため、虚偽の申告が発覚した時点で、本来であれば自社に必要なかった人材だったことがわかり、懲戒解雇を言い渡すことができます。

重大なセクハラやパワハラを行った

懲戒解雇の対象となるものには、セクハラやパワハラもあります。特に重大なセクハラ・パワハラには、懲戒解雇という厳罰がなされることも珍しくありません。

セクハラやパワハラは認定が難しい内容ではありますが、証拠が提出されていたり、周囲からの証言などがある場合は、懲戒解雇となることもあるようです。

「懲戒解雇」のその後とデメリット

懲戒解雇は基本的には退職金・有給がない

「懲戒解雇」をされる人がもっとも困るのは、今後の生活です。退職金をあてにしたり、有給を消化しながら転職活動をしたい、という人も多いでしょう。

しかし、懲戒解雇となった場合は基本的に退職金はなし、有給も消滅します。これは企業や、懲戒解雇となった理由などによって変化することもあるようです。

懲戒解雇でも失業保険は受給できる

「懲戒解雇」をされた人が、次の職を探すまでの間、あてにしたいのが失業保険です。失業保険は、懲戒解雇となった人へも支給されます。

職業安定所などでしかるべき手続きをすれば、一定の失業保険を受給することは可能ですので、最低限の生活をしながら転職活動をすることができます。

転職時の履歴書に記載の義務はない

前職を「懲戒解雇」となった場合、転職の履歴書にそのことを正直に書くかどうかというのは迷いやすい点でしょう。結論から言えば、懲戒解雇となった事実を履歴書に書かなければならないという義務はありません。

「一身上の都合により退職」という、一般的な退職理由を書いて提出することも可能です。しかし、面接では「前職を辞めた理由」が聞かれることが多く、そこでどのように回答するのかも併せて考えておかなければ、辻褄が合わなくなります。また、企業によっては前職場へ問い合わせをすることもあるようです。

給与は支払われるが損害賠償請求の可能性がある

「懲戒解雇」を言い渡されても、その月の給与は支払われます。懲戒解雇になったからと言って、その月の給与が支払われないということはありません。

しかし、懲戒解雇となった理由や原因によっては、給与の支払いと同時に損害賠償の請求がされることもあります。特に、会社に多大な迷惑をかけ、損害を発生させた上での懲戒解雇であれば、損害賠償請求の可能性は高くなるでしょう。

「懲戒解雇」をする雇用者側の義務

就業規定に記載しておく必要がある

「懲戒解雇」は雇用者が自由にして良いわけではありません。あらかじめ就業規定などに、懲戒解雇となる条件を明記しておく必要があります。反対に考えれば、懲戒解雇となる条件が記載されていない場合は、懲戒解雇とすること自体ができません。

被雇用者の入社時点で、懲戒解雇について明記した就業規定を渡し、懲戒解雇なる条件について説明をしておくことが大切です。

正しい手続きを踏まなければならない

就業規定に「懲戒解雇」について記載をおり、その条件に被雇用者が該当したとしても、ただ口頭で懲戒解雇を言い渡すだけでは、懲戒解雇として認められません。懲戒解雇をするについての、正しい手続きを踏む必要があります。

書類上の手続きとしては、懲戒解雇を言い渡し、その内容に雇用者の同意をもらわなくてはなりません。また、そのときに懲戒解雇となる被雇用者に弁明の機会を与えることも手続きのひとつです。

必要に応じて「解雇予告手当」を支払う

通常の解雇は「解雇日30日前までに解雇の旨を本人に通知する」または「解雇予告手当(30日分の給与)を支払い、即日解雇とする」という労働基準監督署が定めたルールがあります。

しかし、横領・暴力・経歴詐称・長期間の欠勤については、解雇予告手当の対象外となります。解雇予告対象外の理由で懲戒解雇をする場合は、解雇予告手当の支払いが必要となることを知っておきましょう。

まとめ

「懲戒解雇」という言葉は、滅多なことでは使われない言葉です。しかし、だからこそ自分や身近な人が懲戒解雇の対象となったときに、わからないことが多いとも言えます。まずは懲戒解雇とは縁のない勤務態度を心が掛けることが大切ですが、もしもの場合に備えて知っておいても良いでしょう。