「柔軟性」の意味とは?「臨機応変」との違いは?類語なども解説

「柔軟性」は、物理的なことから、人の性格や特徴などを説明する時に用いられる言葉です。どちらの使い方にしても基本的に良い意味で使われます。今回はこの「柔軟性」の意味や使い方の例文、類語や英語表現などを解説していきます。似た意味を持つ「臨機応変」のと違いや、ビジネスシーンでの使い方もあわせて紹介します。

「柔軟性」とは?

「柔軟性」の意味は”しなやかな性質・適切な判断ができる”

「柔軟性」の意味は、“しなやかな性質・適切な判断ができる”です。他にも、「適切な対応ができる・さまざまな状況や環境に応じた行動ができる・柔らかい性質」などの意味があります。

「しなやかな性質・柔らかい性質」の意味は、筋肉や関節、動作など物理的なもののしなやかさや柔らかさを、「適切な判断・対応ができる」の意味は人の性格や特徴などを対象としています。どちらの意味も、基本的にはポジティブな印象を与えます。

「柔軟性がある」とは長所

「柔軟性がある」とは、「どんな状況・環境でも適応できる」という意味です。つまり、急なトラブルや変化が起きても、ルールや規則にとらわれ過ぎず物事を解決していける人という印象を与えます。

この意味の通り、「柔軟性がある」は基本的に長所として見られます。「君は柔軟性があるね」と言われた時は、あなたのことを褒めているので、「ありがとう」とお礼の気持ちを返すといいでしょう。

「臨機応変」は言い換え表現ではない

「臨機応変(りんきおうへん)」は「柔軟性」と同義語と思われがちです。意味は似ていますが、2つの言葉には以下のような違いがあります。

  • 「柔軟性」・・・適切な判断ができる

→決まった価値観やルール・規則にとらわれず、どのような状況や環境でも適応できる。

<例文>
「彼は文化の違う国に住んだとしても、柔軟性があるので早く現地の生活に慣れるだろう」

  • 「臨機応変」・・・状況や場面に応じて適切に処理する

→自分がしていることに対し、どんな状況になってもその時々に適した処置をする。

<例文>
「急な仕事が入ったが、臨機応変に対応し契約まで結んだ」

「臨機応変」は自分の行動範囲内を対応するのに対し、「柔軟性」はもっと広い範囲の状況や環境を対応しています。また「臨機応変」は「柔軟性」と違いどこか事務的なところがあるため、長所として扱われることはあまりありません。この2つは類語ではありますが、言い換え表現として使うにはこのようなニュアンスの違いがあります。

「柔軟性」の使い方と例文とは?

「しなやかな性質」を表す場合

物理的にしなやかな性質を表現する場合は、柔軟性である対象物の単語と組み合わせて使います。「柔軟性があるよね」と単体で使う場合でも、基本的に前の文章や会話の中で、何に柔軟性があるのかわかる状態であることが必要です。

例文:

  • 「毎日ストレッチすることで柔軟性のある体が保てる」
  • 「筋肉に柔軟性を持たせ、肩こりを解消したい」

「適切な判断ができる」という意味を表す場合

「適切な判断ができる」という意味を表す場合は、「柔軟性がある人」のように名詞や固有名詞と組み合わせたり、「柔軟性を身につける」などの動詞と組み合わせて使います。

例文:

  • 「〇〇さんは柔軟性があるから、すぐに出世するだろう」
  • 「柔軟性を養うつもりが、ただのイエスマンになってしまった」

ビジネスシーンでは自己PRによく使われる

「柔軟性」はビジネスシーンによく登場する言葉でもあります。とくに就職や転職時の面接・履歴書で、必ずと言っていいほど聞かれる自己PRの長所として使われています。

企業が求める人材に、「状況に応じた対応力」や「あらゆる環境や新しい分野に対する適応力」などがあげられている場合、非常に効果的に自分をアピールできます。“チームとして行動できる”、また“自己主張が強すぎない”といったように、相手に良い印象を与えるでしょう。

例文:

  • 「私は、常に柔軟性をもってお客さまに対応をするよう心がけています」
  • 「私は、どんな分野や変化も取り入れることができる柔軟性があります」

「柔軟性」を使ったさまざまな表現

「柔軟性」には、以下のようなさまざまな慣用句的表現があります。これらはよく使われる表現なので覚えておきましょう。

「柔軟性」を使ったさまざまな表現とその意味:

  • 「柔軟性のある」「柔軟性がある」・・・しなやかさや適切な判断ができる性質を持っている
  • 「柔軟性に欠ける」・・・しなやかさや適切な判断ができる性質が欠落している、または不足している
  • 「柔軟性の高い」・・・しなやかさや適切な判断ができる性質が水準よりも上、他のものよりも著しい

「柔軟性」の類語と対義語とは?

「柔軟性」の類語は”柔らかさ・フレキシブル”

「柔軟性」の類語には、「柔らかさ」「フレキシブル」があげられます。

  • 「柔らかさ(やわらかさ)」

意味は「ふっくらと堅くない」「融通がきく」「穏やか」です。「柔軟性」が持つ2つの意味どちらにも似ています。物理的なしなやかさを表現するなら、言い換え表現としても使えます。

  • 「フレキシブル」

意味は「(物が)しなやかなさま」「(精神や性格に)順応性があるさま」です。「フレキシブル」には「柔軟性」という意味もあるため同義語としても使えます。ビジネス用語として使われる機会の多い言葉です。

「柔軟性」の対義語は”強硬性・頑固・硬い”

「柔軟性」の対義語は、「強硬性」「頑固」「硬い」の3つがあげられます。

  • 「強硬性(きょうこうせい)」

意味は「意志が強く簡単に屈服・妥協しない性質」です。さまざまな状況や環境の変化に対応する「柔軟性」と違い、自分の意志が行動の中心にある部分が対照的だと言えます。

  • 「頑固(がんこ)」

意味は「頑なに意地をはること」「しぶとく除きにくい」です。「頑固」もさまざまな状況・環境に対応できる「柔軟性」とは対照的で、“自分を変えられない“というニュアンスがあります。柔軟性があることが長所と捉えられることに対し、頑固は短所として捉えられることがほとんどです。

  • 「硬い(かたい)」

意味は「簡単に形を崩さない」「しっかりしている」です。「硬い」は物理的にしなやかではない様子を表しているとも言えるので、「柔軟性」の対義語と言えます。

「柔軟性」の英語表現とは?

「しなやかな性質」の意味なら”softness”

「柔軟性」の「しなやかな性質」の意味を英語で表現するなら、名詞「softness」が適切です。 

意味:

  • 「softness」・・・柔らかさ、優しさ、穏やかさ

「適切な判断ができる」の意味なら”flexibility”と”pliability”

「柔軟性」の「適切な判断・対応ができる」の意味なら、名詞の「flexibility」と「pliability」で表現するといいでしょう。

意味:

  • 「flexibility」・・・しなやかさ、柔軟性、適応性
  • 「pliability」・・・柔軟性、順応

まとめ

「柔軟性」は、物理的なことから、人の性格や特徴などを説明する時まで使われる言葉です。「柔軟性がある人」と言われれば、それはあなたの長所として褒めているのでお礼の気持ちを伝えるといいでしょう。

「柔軟性」は、類語で紹介した「フレキシブル」という言葉で使われることも増えています。ビジネスシーンや就職の面接などではよく登場するので、どちらの言葉も覚えておくことをお勧めします。