「栴檀は双葉より芳し」の意味とは?語源や類語・対義語も紹介

花の名前にちなんだ慣用句やことわざは数多くありますが、「栴檀は双葉より芳し」は人が持つ才能について例えた言い回しです。

ここでは「栴檀は双葉より芳し」について、言葉の意味と語源、使い方と例文、類語と対義語についてまとめています。この機会にぜひ語彙力UPを目指しましょう。

「栴檀は双葉より芳し」の意味・読み方や語源とは?

意味は「大成する者は小さい頃から優れているものだ」

「栴檀は双葉より芳し」の意味は、“大成する者は小さいときから優れているものだ”ということです。成人してからあらゆる分野で大きな功績を残したり、人並外れた成果や名声を挙げる人は、幼いころから他と比べて遥かに抜きん出てているという意味を持ちます。

つまり、幼いころから人並優れた素質や才能を見せる子供は、成人してからも同じように大成し大人物となる、大きな成功を収める、ということを表す言葉となります。

読み方は「せんだんはふたばよりかんばし」

「栴檀は双葉より芳し」の正しい読み方は“せんだんはふたばよりかんばし”です。読み方で気を付けたいことは「栴檀」を「栴」を「梅(うめ、バイ)」と読み違いをしてしまうことです。似たような漢字ですが、「梅」という漢字ではありません。この点も含めて読み方にも留意しましょう。

語源・由来は「白壇が美しい香りを放ち始める時期」

「栴檀は双葉より芳し」の語源・由来は、香木の一つ「白壇(びゃくだん)」にありました。もともと「栴檀」とは「白檀」のことで、まだ目が出たばかりの双葉の頃から、とても良い香りを放つ木として知られています。

白檀は成木となってからも素晴らしい芳香を放ちますが、実際は双葉の頃からよい香りを放出するため、これを人になぞらえ「成人して大成を得るものは、幼少期から他人を逸する何かを持つ」という意味で使われるようになりました。これが「栴檀は双葉より芳し」の語源であり由来となります。

「栴檀は双葉より芳し」の使い方と例文とは?

「栴檀は双葉より芳し」の使い方と例文について解説します。

育ちが良いから大成するという意味ではない

「栴檀は双葉より芳し」は、成人になってから大物になるような人は、「幼少期から桁違いの能力や驚くような素質を見せる」という意味です。これは、幼いころの環境が良く、裕福な家庭に育ったことが理由で大成したという意味ではありません。

「栴檀は双葉より芳し」は、まだ年の功で一桁ほどの幼少期に、大人が愕然とするような才能を見せることを指します。つまり、これは親の教育が良いから、また親が教育にお金をかけたから大成したという意味で使うのは正しくないということになります。白檀が高級な香木ということもあり、意味を誤って理解してしまうことがあります。正しい意味を把握して相手に誤解を与えないようにしましょう。

「栴檀は双葉より芳し」を使った例文

「栴檀は双葉より芳し」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 幼少期からピアノの才能が飛びぬけてあった彼女は、栴檀は双葉より芳しのごとく、世間を魅了する国宝級のシンガーソングライターとなった。
  • 栴檀は双葉より芳しとは言うが、彼のスケートの才能はすでに3歳から目立っていた。
  • 昔から分析肌で論破好きの兄。今じゃ立派な政治家となり、栴檀は双葉より芳しであることを証明したかのようである。

「栴檀は双葉より芳し」の類語と対義語とは?

「栴檀は双葉より芳し」の類語と対義語について解説しましょう。

類語は「実のなる木は花から知れる」や「蛇は寸にして人を呑む」

「栴檀は双葉より芳し」の類語はいくつかありますが、日常会話やビジネスシーンで比較的使いやすいことわざは「実のなる木は花から知れる」や「蛇は寸にして人を呑む」などです。

「実のなる木は花から知れる」とは、実の良くつく木というのは花が咲いた時にわかるということから「大成する人は幼少のころから凡人と格段に異なるところがある」という意味で使われています。

また「蛇は寸にして人を呑む」は、蛇がまだ一寸ほどの小さな身丈にして、人を呑み込もうとする勢いを持つことから、「優れた才能を持つ人はほんの小さな時から、すでに気迫と力が備わっている」というたとえで使われています。

言い換えをする時は、その人が秀でた部分が才能や素質なのか、それともむしろ迫力や気迫なのか、文章でのニュアンスに合うものを選ぶようにしましょう。

対義語は「大器晩成」や「氏より育ち」

「栴は双葉より芳し」の対義語になるのは、「大器晩成」や「氏より育ち」です。

「大器晩成」は幼少期の頃には革新的な芽生えを示さなかったものの、晩年になってから徐々に実力や素質を表し、やがて実を結ぶようなニュアンスで使われます。

また「氏より育ち」は名家の出身でなくても、著名な人の子供ではなくても、育った環境や学習・努力の糧などによって成功を収めるというニュアンスで使われます。つまり、大成するのは親の名前ではなく育ちのあり方であるということをたとえることわざです。

小さい頃に素質が見えなくても、成人し、晩年になってから大成成就する人に対しては「大器晩成」、無名でも努力や周囲の環境によって見事に成功を収めた人を表すなら「氏より育ち」を使うのが適切です。

まとめ

白檀はまさに唯一無二のかぐわしい芳香を放つ木です。高級で品のあるその香りは、発芽をしたころから楽しむことができますが、背が低くまだまだか細い姿でありながら、数年後に成木となった頃を彷彿とさせるパワーも感じるほどです。

なるほど、「栴檀は双葉より芳し」のように、周囲の幼き子供たちに目を向けると、大人顔負けの素質と気迫を持つ双葉たちは多くいるように思えます。

「栴檀は双葉より芳し」は「大成する人は幼少期から凡人とは違う異彩を放つ」という意味です。ぜひ、会話に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか?