映画やドラマの中で何かを「画策」するシーンを見たことはありますか?「画策」には「ひっそり」「こそこそ」という印象がピッタリですが、正しい言葉の意味や使い方については不確かなところもあるでしょう。
さっそく「画策」の読み方と意味をはじめ、正しい使い方を類語や対義語、英語表現をご紹介しましょう。
「画策」の正しい読み方と意味は?
はじめに「画策」の読み方と意味を紹介します。
読み方は「かくさく」
「画策」は「がさく」ではなく「かくさく」と読みます。
漢字には音読みや訓読みがありますが、熟語の読み方にはさまざまな方法があるため困惑することも少なくありません。
まず「画策」の「画」を「が」と読む場合、「絵を描くこと」「絵や写真」のように「絵」を中心とする意味があります。一方「かく」と読む場合「区切り」「はっきりとした境目」そして「画策」の本来の意味にあたる「前もって順序や方法を決めること」があります。
つまり、この時点で読み方については「かくさく」が正しいということが理解できるでしょう。
ちなみに「画策」の「策(さく」には「札」「文章」の他「はかりごと」つまり「事がうまくいくように前準備を整えること」「相手を騙そうとするもくろみ」という意味があります。
「画策」の意味は「実現に向けて計画を努めること」
「画策」とは「実現に向けて計画を努めること」という意味です。その他にも、「はかりごとをめぐらすこと」「事前に計画を企むこと」「陰でこっそり準備をすること」という意味があります。
また「画策」という言葉を使う時は「好ましくない感情を持つ」ことが多く、裏でコソコソと動くという意味合いで使われることがほとんどです。いい意味で使われることは少なく、おおむね「悪い意味」で使われるほうが一般的だと言えるでしょう。
「画策」の正しい使い方と例文
「画策」の使い方と例文をみてみましょう。
使い方・例文①「画策している」
「画策している」ははかりごとを思いめぐらせ、「計画の実現に向けて努力をしている状態」を指しています。
- 復讐をしようと画策している
使い方・例文②「画策中である」
「画策している」と似ていますが、「画策中である」は今まさに計画をめぐらせ「はかりごとへの考えや準備が滞りなく進行しているさま」を表しています。
- 競合会社を倒すためのヒット商品を画策中である。
使い方・例文③「画策を練る」
「画策を練る」の「練る」はもともと「硬いものをこねたりたたくことで柔らかくする」という意味があります。つまり「画策を練る」は「はかりごとを熟考する」「事前に計画をあれこれと考える」という意味になります。
事前にいろいろな方法を考えて準備に余念のない様子を表現しているため、「画策する」よりも強い表現方法になります。
- 犯人逮捕への画策を練る必要がある。
「画策」の類語と対義語は?
それでは「画策」の類義語を意義別でみながら、対義語についてもみてみましょう。
類語①「企む」「仕組む」など
「ひそかに計画を立てる」の意義の類語には「企む」「仕組む」「目論む(もくろむ)」「企てる」「図る」「案ずる」「構想」などがあります。どの類語も「こっそりとバレずに計画を立てる」というさまを表していることが理解できるでしょう。
類語②「工作」「マヌーバー」など
「敵に対して上手に動く」の意義の類語には「工作」「マヌーバー」「劃策(かくさく)」などがあります。悪意のある相手に向かって、知恵や頭脳を使って上手に行動するさまがうかがえます。
どちらも言葉を、言い換える時は意味が通じるように状況に応じて正しい類語を選ぶようにして下さい。
対義語は「偶発的」「無計画」
「画策」が「ものごとが実現できるように事前に準備をすること」であるとするなら、対義語は「事前に何もしないこと」「突然準備もなくものごとを行うこと」を表す「偶発的」「突発的」「発作的」「無計画」などであると考えられるでしょう。
「画策」の英語表現と英文例
最後に「画策」の英語表現と英文例について紹介します。
構想は「plot」、企みは「scheme」で表現する
「画策」を広い意味で「計画」とするなら「plan~」「plot~」、また「うまくいくように試みる」なら「maneuver」が最も適切な英語表現でしょう。
加えて、近年ではテクノロジーを悪用したサイバーテロやウイルスの拡散などが問題となっていますが、外来語としても使われる「scheme(スキーム)」は悪意のある「画策」にあたる英語表現になります。
「画策」を使った英文例
- She is trying to plot to get rid of her trouble boy friend.
彼女は悪行の絶えない恋人を追い出そうと画策をしている - We schemed against each other for the fraud.
不正行為を免れようとお互い画策した
まとめ
あらゆる環境に育ったさまざまな人が一つの職場に集まりますが、ライバルの出現や仕事の成果で自分の立ち位置にコンプレックスを抱く人もいると思います。
あまり良い意味で使われることのない「画策」ですが、職場でも見えない「画策」が影を潜めて出番を待ち構えているかもしれません。周囲に漂う雰囲気と持ち前の勘で「画策」を上手にかわしていきましょう。