「便宜」の意味と使い方とは?例文や類語表現を詳しく解説

「便宜」は、「都合のよいこと」「特別な計らい」の意味を持っています。「便宜上」「便宜を図る」など使われ、新聞やテレビのニュースにおいて見聞きする機会も多い言葉です。今回は「便宜」の意味を詳しく解説。「便宜」を使った用語や、使い方の例文を紹介します。また類語に加えて、英語と中国語での表現もお伝えします。

「便宜」の意味や読み方とは?

「便宜」の意味①「都合のよいこと」

「便宜」の意味は、“都合のよいこと”です。「目的や必要なものに対して都合がよいこと」「役に立つこと」を表した言葉です。

「便宜」の意味②「特別な計らい」

「便宜」の2つ目の意味は、“特別な計らい”“適したやり方”です。「計らい」とは「判断」「処置」の意味合いを持つ言葉です。

ニュースにおいて「便宜を図った見返りとして」など耳にすることもあるため、「特別な計らい」は悪い意味合いという印象を持っている方も多いことでしょう。しかし、悪い意味合いだけでなく、よい意味合いの「特別な計らい」を表すときに使うこともできます。

「便宜」の意味③「音信」

「便宜」の3つ目の意味は、“音信(おんしん)”“たより”です。「音信」とは、「音信が途絶えた」「音信不通」(おんしんふつう)など使われる、「手紙」を意味する言葉です。

「便宜」の読み方は”べんぎ”が一般的

「便宜」という言葉は、“べんぎ”“びんぎ”の2つの読み方があります。しかし、一般的には「べんぎ」と読まれているので覚えておきましょう。

「便宜」の使い方と例文とは?

「便宜」を使った例文

「便宜」を使った例文をご紹介しましょう。

  • A社ではなくB社に便宜を与えることになったのは、トップ同士の付き合いなどを忖度した結果である
  • 彼と彼女が結婚したのは、親や親戚からのプレッシャーと社会的な体裁のためだ。便宜的な理由からで、愛情あって結婚したのではない
  • 我が社には一切の落ち度はなかったのだが、便宜上相手の要望を受け、再納品を行うことになった

「便宜を図る」を使った例文

「便宜を図る」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 何度会いに来てくれても、君にだけ便宜を図るというわけにはいかない
  • このままではどうしようもないので、なんとか便宜を図ってもらえるよう、銀行と債権者に頭を下げた
  • この度当店においては、お客様の便宜を図るため、現金での支払いに加え、クレジットカードや電子マネーの利用も可能とすることにしました

「便宜」を使った用語とは?

「便宜上」の意味は”その場では好都合であること”

「便宜上」(べんぎじょう)は、「その場においてはそのほうが好都合であること」を意味する言葉です。「便宜上やむを得ず」「便宜上の理由により」などと使います。「便宜上やむを得ず」とは、「本意ではなく都合を考えて仕方なく」という意味。また、「便宜上の理由」とは「本来の理由ではなくその場に応じてつけた理由」を意味しています。

「便宜的」は”その場しのぎで処理をすること”

「便宜的」(べんぎてき)とは、「一時的なその場しのぎで物事を処理すること」を意味する言葉です。本質的な対応をするのではなく、その場にのみ合わせた一時しのぎの対応をすることを表しています。

「便宜的」という言葉は、「便宜的に○○する」「便宜的な○○をする」などと使います。また、「便宜的処置」「便宜的手段」など「便宜的」とつく用語もあります。

「便宜主義」の意味は”便宜的な対応をする考え方”

「便宜主義」(べんぎしゅぎ)とは、便宜的な対応をしようという考え方のことです。本質的な対応をするのではなく、その場の状況に合わせた対応をするという考え方や行動自体を指した言葉です。

「便宜供与」の意味は”相手に便宜を与えること”

「便宜供与」(べんぎきょうよ)の意味は、「便宜を与える」こと。物や利益を相手に提供するなど、特別な計らいを行うことを表す言葉です。たとえば「労働組合に対する便宜供与」には、労働組合の運営のための経費の援助を始めとして、使用する事務所スペース・掲示板の貸与などが該当します。

「便宜」の類語・類義語とは?

類語①「好都合」の意味は”都合がよい”

「好都合」(こうつごう)という言葉は、「都合がよい」を意味しています。したがって「好都合」と「便宜」は、同じ意味を持つ類語となりますが、「特別な計らい」や「音信」の意味までは持ち合わせていません。

類語②「利便」も”都合がよい”を意味する

「利便」(りべん)も「都合がよい」の意味を持つ言葉です。しかし「利便」も「特別な計らい」「音信」の意味合いは持ち合わせていません。また、「利便」という言葉は「利便性が良い」「利便性が悪い」とどちらの意味合いにも使うことができるという点が、「便宜」と異なります。

類語③「重宝」の意味は”役に立つ”

「重宝」(ちょうほう)とは、「役に立つ」「便利なもの」の意味を持つ言葉で、「重宝する」「重宝だ」など使います。「重宝」は「貴重なもの」という意味も持つ点が、「便宜」とは異なります。

「便宜」の英語・中国語表現とは?

英語で便宜は「convenience」を使うのが適している

「便宜」を英語に翻訳すると、「convenience」となります。「convenience」は、「好都合であること」や「便利」の意味を持った名詞です。「便宜上」の意味合いを表現する場合には、前に「For」をつけた「For convenience」というフレーズを使います。

「expediency」も「便宜」の英語表現

「expediency」も「便宜」の英語表現として使うことができます。「expediency」は「便宜」「好都合」「急場凌ぎ」などの意味を持つ名詞です。

中国語でも「便宜」

「便宜」の中国語表現は、日本語と同じ「便宜」の漢字を使います。しかし、中国語における「便宜」という言葉は、日本語と同じ「都合がよい」以外の意味も持つため、どの意味合いとして使われているのかを意識することが必要です。「(値段が)安い」「目先の利益」「大目にみる」などの意味合いを持ちます。

まとめ

「便宜」という言葉は、「都合のよいこと」や「特別な計らい」を意味する、テレビや新聞のニュースなどで耳にすることもある言葉で、ビジネスの場面においても使われます。「便宜的」「便宜上」「便宜を図る」などの使い方を覚えておきましょう。