「コーポレートガバナンス」とは?目的や問題点をわかりやすく解説

「コーポレートガバナンス」という言葉がよく聞かれますが、どのような意味でどのように活用されているのでしょうか。

今回は「コーポレートガバナンス」の意味や歴史的背景、さらには目的や問題点を整理して、「コーポレートガバナンスコード」や「コーポレートガバナンス報告書」などの用語についても解説します。



「コーポレートガバナンス」の意味とは?

「コーポレートがバナンス」とは「企業統治」

「コーポレートガバナンス」(Corporate governance)とは「企業統治」と訳されますが、「会社に投資をしている株主に利益が得られるように企業が経営されているかを監視するという考え方」という意味です。

その一方で「コーポレートガバナンス」は、株主の利害関係だけに注目するのではなく、「従業員、顧客、取引先の金融機関などの株主を含むステークホルダーそれぞれの利害関係を守りながら企業を運営するために、企業が効率的に運営されているかどうかを監視する仕組み」という意味で解釈されることもあります。この考え方の「コーポレートガバナンス」は特に1955年体制で経営されてきた日本企業で見られます。

アメリカで発展した「コーポレートガバナンス」

「コーポレートガバナンス」という企業経営の概念は、1980年代からアメリカで発展しました。70年代から企業の非倫理的および人道的な企業経営に対して、政府の介入もあり「会社は経営者のものではなく株主のもの」という考え方が生まれました。この考え方を基礎とした企業監視体制である「コーポレートガバナンス」は徐々に世界的に広まり、日本でもバブル崩壊以後に取り入れられるようになりました。

「コーポレートガバナンス」を使った例文

  • 「株主を経営者との関係がうまくいっているA社は、コーポレートガバナンスが保たれている」
  • 「各ステークホルダーとの友好的な関係を築くために、コーポレートガバナンスの充実に取り組む」
  • 「より高い収益力を得るために、コーポレートガバナンスのあり方が重要だ」

「コーポレートガバナンス」の目的と問題点

「コーポレートガバナンス」の目的は「不祥事防止」

「コーポレートガバナンス」の目的は「不祥事防止」と「収益力の向上」です。経営者が利己的な判断をして不正を働くような不祥事を防ぐために監視することと、健全に企業が経営されたうえで企業価値が高まり利益を増やすために、「コーポレートガバナンス」が活用されます。

コンプライアンスはコーポレートガバナンスの目的

コーポレートガバナンスが話題に上るときに聞かれることの多い「コンプライアンス」とは「法令遵守」という意味です。ビジネス用語としては「法令を遵守しながら経済的な効果を生み出しつつ業績を向上するための業務運営」という意味で使われています。

コーポレートガバナンスが株主もしくはステークホルダーの利害を得るための企業体制であるのに対して、利益を生むための業務運営という意味で「コンプライアンス」が使われます。したがって、「コンプライアンス」はコーポレートガバナンスの目的になります。

内部統制と監査によるコーポレートガバナンスが実施

コーポレートガバナンスの実施は、「内部統制」と「監査」によります。「内部統制」とは、企業が業務目的を達成するために、適正に及び効率的に業務に取り組むためのシステムのことで、経営者や監査役などの企業内部の人間によって組織化されます。さらに内部統制が正しく行われているのかを審査するのが「監査」です。

コーポレートガバナンスの具体的な取り組みとしては、事業運営のための優秀な人材の確保にはじまり、法令の明確化や取締役と執行役の分離、取締役などの報酬の開示、社外取締役の設置などが挙げられます。

問題点は業務遂行にストップがかかること

コーポレートガバナンスの問題点は、業務運営にコーポレートガバナンスの監視機能が働くため迅速に業務を遂行できなくなることです。またコーポレートガバナンスやコンプライアンスを意識するあまりに、企業内の改革を進めにくくなります。

株主及びステークホルダーの利益を追求するあまり、短期的な利益ばかりを求めて、長期的な利益を得にくくなるという傾向もあります。

「コーポレートガバナンス」を使った用語

ここでは「コーポレートガバナンス」を使った二つの用語「コーポレートガバナンスコード」と「コーポレートガバナンス報告書」について解説します。

「コーポレートガバナンスコード」とは「企業統治の指針」

「コーポレートガバナンスコード」とは安倍政権のもとに金融庁と東京証券取引所により取りまとめた「上場企業が守るべき企業統治の指針」です。2015年6月から実施されています。

コーポレートガバナンスコードの内容は、株主の権利やステークホルダーとの関係、情報開示などに重点が置かれ、具体的には社会取締役を2人以上置き社外からの意見を聞くことなどが定められています。

「コーポレートガバナンス報告書」は証券取引所に提出される

コーポレートガバナンス報告書とは証券取引所が上場企業に義務付けている報告書で、各企業がコーポレートガバナンスに関する情報をまとめています。投資者の要望により始まった制度で、適時開示制度が定められていて、2006年より取引所のウェブサイトに掲載されます。

書式には、監査役を設置している会社用と委員会を設置している会社用の2種類が用意されていて、記載要領は、コーポレートガバナンスの基本的な概要などの共通事項がある一方で、監査役の説明や委員会の説明など会社の体制によって記載内容が異なります。

まとめ

「コーポレートガバナンス」とは企業監視の取り組みという意味で、経営者主体の企業経営ではなく、株主が利害を得るための企業経営を行うための企業の監視システムです。日本ではステークホルダーそれぞれが利害を得られるためのコーポレートガバナンスという考え方もあります。