相手を尊敬し大切に思うことを表す言葉「尊ぶ」。意味は何となく把握していても、読み方において「とうとぶ」なのか「たっとぶ」なのか、迷うことはありませんか?
ここでは「尊ぶ」の正しい読み方と意味、また「貴ぶ」との違い、類語や対義語、英語表現を紹介しています。「尊ぶ」という言葉の歴史にも触れながら解説していきましょう。
「尊ぶ」の意味と読み方とは?
「尊ぶ」の意味は”敬い大切にすること”
「尊ぶ」の意味は“相手を敬い大切にすること”です。「尊ぶ」は「尊敬」の「尊」ですが、「尊ぶ」の言葉を理解する上でも「尊敬」の意味に極めて近いことを把握しておくと良いでしょう。
「尊ぶ」の読み方は”とうとぶ・たっとぶ”
「尊ぶ」の読み方は“とうとぶ・たっとぶ”です。一般的に困惑してしまうのは、冒頭でもお話したように「とうとぶ」なのか「たっとぶ」なのかという点になりますが、どちらとも正しいというのが答えです。
「尊ぶ」の読み方は2つあり、どちらで読んでも間違いではありませんが、言葉の響きから受ける印象としては「たっとぶ」の方が昔風であり、「とうとぶ」より意味が強調される効果があると言われています。ちなみに「尊ぶ」は「たふとぶ」が促音化され「とうとぶ」に変化した背景があり、言葉自体が誕生したの中世以後と言われています。
「尊ぶ」と「貴ぶ」の違いとは?
「尊ぶ」は大切なもの「貴ぶ」は価値があるもの
「尊ぶ」と「貴ぶ」は読み方も意味もほぼ同じです。
しかしながら、ニュアンス的な観点から「尊ぶ」は平和や神の存在などに対し「尊さ」を表す時に使われ、一方「貴ぶ」の場合は貴重でかけがえのない存在、代替えできないもの、高貴なものに対して使われることが多いです。使い方の違いを以下の例文で見てみましょう。
<尊ぶの場合>
命を尊ぶ:命を大切にする
平和を尊ぶ:平和を大切にする
<貴ぶの場合>
身分を貴ぶ:身分や位の高さを敬う
税金を貴ぶ:税金は貴重である
「尊い」と「貴い」も同じような意味の違いを持つ
「尊い(とうとい)」と「貴い(たっとい)」も「尊ぶ」と「貴ぶ」と同様な意味の使い分けをする言葉です。使い方は次の通りです。
<尊いの使い方>
主に神、仏、命、平和などに対して大切にすべきものという意味で使われます。
例:平和は尊い、尊い仏の教え、人々の尊い命
<貴いの使い方>
主に存在、経験、目的(税金、サービス)など「高貴で価値が高い」という意味で使われます。
例:二度と味わえない貴い経験、CEOは貴い存在、国民のための貴い税金
「尊ぶ」の類語と対義語とは?
「尊ぶ」の類語は”崇める”や”敬する”など
「尊ぶ」と言い換えのできる類語は敬意と尊敬を表し、大切にするという意味を持つ「崇める」「敬する」「重んずる」などです。また、熟語での類語なら「尊信」「崇敬」「景仰」などもあります。言い換えの例文を挙げていましょう。
- 命を尊ぶ
- 命を崇める
- 命を重んずる
- 命を崇敬する
類語と言っても微妙なニュアンスの違いは生まれてきますので、文脈にあったものを使うようにしましょう。
「尊ぶ」の対義語は”卑しむ”や”蔑む”など
一方「尊ぶ」の対義語は、敬意を示さず、大切にしないという意味を持つ“卑しむ”や“蔑む”などです。「卑しむ」は相手を劣っていると馬鹿にすること、また「蔑む」は見下す、軽蔑する、軽視するという意味があります。
- 世界平和を卑しむ
- 同僚の存在を蔑む
「尊ぶ」と「貴ぶ」の英語表現とは?
「尊ぶ」は英語で”respect”
一般的に「尊ぶ」は英語で“respect”を使います。尊敬するという意味の「respect」は相手を敬う気持ちを表すのに最適な言葉です。「respect」は神や仏、平和を尊ぶという意味でも使われますが、ビジネスでも日常生活でも、相手の考えや思いを含め「リスペクト」する時に使える単語です。使えるシーンも幅が広いので、積極的に使っていきましょう。
- 仏の教えを尊ぶ
We respect the tradition of Buddhist.
「貴ぶ」は英語で”value”
一方「貴ぶ」を英語で表すと、価値がある、貴重なという意味を広く表す“value”が最も良いでしょう。「value」は価値があるという意味の単語で、こちらも「respect」と同様、幅広い場面で好意的に使われます。「valueはビジネスシーンならアイデアへの価値、想像力の価値、人脈の価値など、自分にとって価値となるものごとに対して頻繁に使われる単語です。ぜひ、マスターしておきましょう。
- ゴールドメダリストの功績を貴ぶべきだ
We should value of all the accomplishment made by gold medalists.
まとめ
「尊ぶ」は「とうとぶ」「たっとぶ」の二つの読み方があり、意味は「相手を敬い大切にすること」です。命を尊ぶ、平和を尊ぶというように、誰もが心から大切にしたい存在に対して使われます。
また、ほぼ同じ意味を持つ言葉として「貴ぶ」がありますが、「尊ぶ」と比べて「価値が高い」「他に変えるものがない」、また「高貴である」というニュアンスで使われる言葉となります。読み方も「とうとい」「たっとぶ」で「尊ぶ」と同じになります。「尊ぶ」「貴ぶ」の二つの言葉の意味の違いを理解して、正しい使い方をするようにしましょう。