「おもむろに」の意味とは?正しい使い方と誤用例を例文で解説

日本語には解釈が難しい表現が数多くありますが「おもむろに」もその一つ。「いきなり、突然」という意味で使われていることが多い言葉ですが、本当に正しいのでしょうか?

ここでは「おもむろに」の意味と使い方を例文とあわせて解説しながら、誤用の例、類語・対義語、英語表現を解説しています。この機会に「おもむろに」への理解を正しましょう。



「おもむろに」の意味と正しい使い方

「おもむろに」の意味は「落ち着いて始めること」「ゆっくりと」

「おもむろに」の意味は「落ち着いてものごとを始めること」「ゆっくりとしずかに行動を起こすこと」です。ある状態から急ぐことなく、ゆるやかに、おもぶるに、ある動きを始める様子を指します。

進行や変化がゆったりとし、焦らず急がずゆっくりしている様子」という意味で使います。

「おもむろに」は初めからのんびりと動作や挙動が遅いことを意味するのではなく、じっとしていたり、止まっている状態から、急発進せず、ゆっくりと動き始めることを意味します。どちらかと言えば、周囲には「すぐにやらないでもったいぶっている様子」として映ることもあるでしょう。

「おもむろに」は漢字表記は「徐に」

「おもむろに」は漢字に直すと「徐に」となります。「徐」は「徐々に」や「徐行」などの言葉で使われますが、これが「おもむろに」を理解するうえで重要なポイントとなってきます。

「おもむろに」の正しい使い方の例文

「おもむろに」の正しい使い方とその意味

〇 空を見上げながら、おもむろに手をかざした。(空を見上げながら、ゆっくり手をかざした)
〇 カバンから徐に写真を取り出した。(カバンからゆっくりと写真を取り出した)
〇 机に向かって、おもむろに文章を書き始めた(机に向かって、静かに文章を書き始めた)
〇 思い出を枕に、おもむろに目をつぶった。(思い出を枕に、ゆったりと目をつぶった)

どの文章も、「ゆっくりと、ゆったりと、静かに」という意味で「おもむろに」が使われています。

「おもむろに」のよくある誤用

「おもむろに」は「突然、不意に、いきなり」の意味ではない

「おもむろに」は「突然、不意に、いきなり」という意味ではありません。

「おもむろに」は日本語の中でも誤用が多い言葉のひとつです。文化庁の調査では、何とおよそ40%にも上る人が、本来の意味とは異なる「突然、不意に、いきなり」という意味で誤用をしているという結果が出ているほどです。

「おもむろに」に誤用が多い理由として「おもむろに」という言葉の響きが「思いっきり」「思い切って」などに似ているということが挙げられます。これらの言葉には「ためらうことなく、振り切って素早く行動する」というニュアンスがあるため、「突然、不意に」というような間違った解釈をされてしまったと考えられます。

「おもむろに」の誤用に注意

「おもむろに」は非常に誤用が多い言葉です。正しい意味は「ゆっくりと、ゆったりと、静かに」などになり、「突然、不意に、いきなり」という意味で使うのは間違いとなります。

「おもむろに」の誤った使い方の例

× おもむろに立ち上がり、全速力で走り去った。(急に立ち上がり、全速力で走り去った)
× 竹藪から、おもむろに飛び出してきた。(竹藪から、突然飛び出してきた)
× 彼女はおもむろに、急発車させた。(彼女はいきなり、急発車させた)

カッコ内の意味として使われる、上記の文章の使い方は誤りとなります。

「おもむろに」の類語と対義語は?

「おもむろに」の類語は「やおら」「悠然と」

「おもむろに」と言い換えができる類語は「やおら」や「悠然と」などです。

「やおら」も「おもむろに」と同様に「突然、いきなり」という間違った意味で解釈される傾向が強く、誤用の多い言葉の一つですが、意味は「ゆっくりと」「ゆったりと動く」となります。また「悠然と」は物事に動揺せず、落ち着いていることを表します。

その他、畳語(じょうご=同じ言葉を繰り返す言葉)においては「のろのろ」「じわじわ」「もたもた」などがあります。「のろのろと動き出した」「じわじわと増えてきた」「もたもたと歩き出した」などのように、「おもむろ」と同じニュアンスを失うことなく言い換えをすることができます。

「おもむろに」の対義語は「にわかに」「やにわに」など

「おもむろに」の対義語には、突然何かが起こることや急に状況が変化することを意味する「にわかに」「やにわに」「俄然(がぜん)」などがあります。

また「前触れなく」や「出し抜けに」は、「何かが起こることを予想をすることもなく起こること」を意味します。これらも「おもむろ」の意味とは逆になる言葉です。

「おもむろに」の英語フレーズ

「おもむろに」は英語で「slowly」「gradually」

英語で「おもむろに」にを表現する時は、おおむね共通して「slowly」や「moderately」を使うことが多いです。どちらも「ゆっくりと」「ゆったりと急がず」というようなニュアンスがあるため、挙動がゆっくりし、静かに動くような様子を表す時に使うことができます。

「おもむろに」を使った英語の例文

  • I slowly took the old photos out of the album.
    おもむろに昔の写真を取り出した。
  • I was gradually looking at the night sky
    夜空をおもむろに見上げた。

まとめ

「おもむろに」は漢字で「徐に」と表記し、意味は「挙動がゆっくりなこと」「静かに動き出すこと」「ものごとを静かに始めること」などになります。

また「おもむろに」は非常に誤用の多い言葉です。「突然、いきなり」という間違った解釈をされることが多いため注意しましょう。「おもむろに」はあくまで、動きの進行や変化がゆっくりとしていることを指す言葉ですので、正しい意味をしっかりと把握してから会話や文章で用いるようにして下さい。

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某私立大経営学部卒、大手旅行会社、商社を経て、豪州へ移住。米国PCメーカーのカスタマー部に勤務後、カンガルーやエミューのいるNSW州の片田舎で生活を開始。田舎暮らしをきっかけにフリーランス(ライター・翻訳)に転身し現在に至る。趣味はゴルフ、料理、ローカルとのゴシップ、キャンプ。