演劇や音楽などのパフォーマンスアートで日常的に使われている「リハーサル」という言葉は、元は英語で「演劇などのパフォーマンスを観客前で上演する前の練習」を意味します。ビジネスではあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、一般知識としても覚えておいてほしい言葉の一つです。
「リハーサル」の意味
意味は「本番と同じように進行する練習のこと」
「リハーサル」の意味は、「本番と同じように進行する練習のこと」です。リハーサルを通して、その関係者は本番の内容を理解するともに、それぞれが行うべきことを把握して、不備や不具合があれば、このリハーサルの中で調整されます。
演劇における「リハーサル」の意味は調整や確認
演劇の場合は、俳優が舞台上へどこから出てきてどこに立つのかなどの確認、音響レベルや照明の調整、舞台装置の確認などが本番さながらに行われることをリハーサルといいます。
コンサートにおける「リハーサル」の意味は練習や調整
音楽の場合は、コンサート前のリハーサルで各ミュージシャンが本番で表現する前の練習を行いアンサンブルを仕上げていきます。同時に、ミュージシャンの位置や音響基材のバランスなどの調整も行われます。
テレビや映画における「リハーサル」の意味は本番前の練習
テレビや映画でもリハーサルは行われます。本番前の練習として、ドラマならば各シーンごとに俳優や各スタッフがそれぞれの仕事内容を確認していきます。
リハーサルにもいくつかの段階があり、テレビカメラなしで行われるリハーサルを「ドライリハーサル」、一方カメラを回しながら行うリハーサルを「カメラリハーサル」と呼びます。また途中で止めることなく、最初から最後まで通して行われる練習を「ランスルー」と呼びます。
「リハーサル」の略語や類語
「リハーサル」の略語は「リハ」
リハーサルと短く「リハ」と呼ぶこともあります。リハーサルと始める前に「これからリハを始めます」のように使います。
リハーサルの類語は「予行練習」「下稽古」
「予行練習」や「下稽古」があります。
ちなみに「予行練習」に似た言葉で「予行演習」があり、同義語として使われています。しかしパフォーミングアートの世界では、予行演習が使われることはありません。
最後のリハーサルは「ゲネプロ」と言い換えられる
また、本番前の最後のリハーサルを特別に「ゲネプロ」と呼びます。最後のリハーサルで、語源はドイツ語のリハーサルという意味の「Generalprobe(ゲネラルプロベ)」です。
記憶に関する「リハーサル」
私たちが何かを覚えるときに、何度も反復して覚えようとすることがありますよね。これを心理学における記憶理論において、「リハーサル」と呼びます。
このリハーサルは、忘れることのないようなすでに覚えている事柄ではなくて、短い時間に記憶された事柄、つまり短期記憶を絶対に忘れないようにしようとする心理作用です。忘れないために何度も繰り返したり唱えたりします。
木尾kに関するリハーサルは、次の3つに区分されます。
記憶に関する1つ目のリハーサル「維持的リハーサル」
覚えたことを忘れないようにするために、短期記憶の覚えるべき事柄を単純に繰り返すことです。
記憶に関する2つ目のリハーサル「精緻的リハーサル」
維持的リハーサルでは足らずに、絶対に忘れたくない事柄は長期記憶内に記憶されます。この短期記憶から長期記憶へと覚えたい事柄を移行するときには、別の記憶と結びつけて体系的に覚えようとします。この記憶の方法を「精緻的リハーサル」と呼びます。
記憶に関する3つ目のリハーサル「視覚的リハーサル」
忘れないように何度も言って繰り返すことは聴覚を使っていますが、視覚を通して記憶することもできます。具体的に像をイメージして記憶することを、「視覚的リハーサル」といいます。漢字の書き順など、言って覚えるというよりはイメージとして視覚的に捉えて覚えようとする行為です。
「リハーサル」の英語表現
「リハーサル」は英語で「rehearsal」
リハーサルは元来は英語で、「rehearsal」とつづります。英語の「rehearsal」には日本語のリハーサルの他に、暗唱したり復唱するという意味もあります。また同義語に「dry run」もあります。
「rehearsal」は名詞なので、「リハーサルをする」と言いたければ動詞を補って「put a play into rehearsal(芝居のリハーサルをする)」のように使います。
「リハーサル」を使った英文例
- I have a rehearsal.
リハーサルを行います。 - The concert is in rehearsal.
コンサートのリハーサル中です。 - He had a dry run of the speech contest.
彼はスピーチコンテストのリハーサルを行いました。 - The dry run was good.
リハーサルはよかったです。
(豆知識)「本番」の英語表現
ちなみに「本番」は、演劇なら「acting before the audience(観客の前で演じること)」のように説明的な表現が使われます。映画ならば「audience(観客)」の代わりにカメラが使われて「acting before the camera」のように表現されます。他にも、「actual performance(直訳:本当のパフォーマンス)」という言い方もあります。
まとめ
一般的には、「リハーサル」は演劇や音楽などの練習の意味のほうが知られていると思いますが、心理学的には記憶を定着させるために復唱したりする意味で「リハーサル」も使われています。
ビジネスにおいてあまりなじみのない言葉かもしれませんが、「プレゼンのリハーサルをする」のように使うこともできますので、知識として覚えておくのがいいでしょう。