「瓦を解く」と書いて「瓦解」という言葉があります。読み方もさながら意味や使い方がわからないという方も多いのではないでしょうか?「瓦解」は「瓦」のある状況が結果的にどのような影響を与えてしまうかを表す言葉。社会人になると見聞きするようになります。
ここでは「瓦解」について、意味と読み方をはじめ、言葉の成り立ち、使い方と例文、類語・対義語、英語表現について解説しましょう。
「瓦解」とは?
「瓦解」の意味は”一部の崩れでも結果的に全体の崩れにつながる”
「瓦解」の意味は、“一部の崩れでも結果的に全体の崩れにつながる”ことです。つまり「ほんの少しの乱れでも修正をしないと全体が崩壊してしまう」「一部の欠損によって全てがダメになってしまう」ということを表す言葉です。
数百もの瓦で形成された屋根を想像してみましょう。たとえ数枚の瓦が落ちても全体に影響はないだろうと考えがちです。しかし「瓦解」が意味するところは「瓦数枚の崩れからでも全体に影響を及ぼし、結果的には全体がばらばらに崩れてしまう」ということになります。
「瓦解」の言葉の成り立ち
もともと「瓦」は「ガ」また「かわら」と読み、意味は「屋根などに置くかわら。粘土を窯で素焼きにしたもの」、「解」は「カイ」「ゲ」、また「とける」「とく」「とかす」「ほどく」になり、「ばらばらに分かれる」「一つのものを解き分ける」というような意味を持ちます。
「解」を使った言葉に「解体」「解文」「解析」「解散」などがありますが、おおむね意味は「何かをばらばらにする」「何かを解き崩す」となり、「瓦解」もこれらの言葉の使い方と同じように「解」が使われています。
無論「上手に組み合わさって屋根を構成する瓦」は非常に強固です。しかし、一部でも破損や割れ、落ちなどでがあれば、屋根全体の崩壊を招いてしまいます。「頑丈な瓦でも、一つが破損すれば屋根全体が崩れる」という、ものごとの行く末を暗示する言葉が「瓦解」なのです。
「瓦解」の読み方は”がかい”
「瓦解」の読み方は、“がかい”です。
「瓦」の音読みを「ご」と誤認してしまい「ごかい」と誤って読してしまうケースが多ようです。ぜひ気を付けて会話に用いるようにしましょう。
「瓦解」の使い方と例文とは?
「瓦解」は組織のヒエラルキーに対し使われる
「瓦解」はやや非日常的な言葉の一つとも言えますが、どちらかと言えば、社会人になってから「組織」で使うことが多いです。
たとえば、企業における人事のヒエラルキー、部署内における自分、部下、同僚、上司などの上下関係などに対し、たとえ大勢で構成されていても、たった一人が問題を抱えてしまうことで全体が崩れてしまう、というようなニュアンスで「瓦解」が使われることがあります。
補足「ヒエラルキー」の意味とは?
ヒエラルキーとはドイツ語の「Hierarchie」のことで、組織や組合などの大きなグループにおける「ピラミッド型の階層組織」を表しています。
日本でも海外企業でも身分やポジションを示すヒエラルヒーを見ることがありますが、一見強固で頑丈な組織構成でも、数人や一部の人が対立したり、企業に反したりして綻びが生まれてしまうと、最終的に組織が崩れ、機能しなくなってしまうこともあります。その他、国家や国の内閣など、大きな組織に対しても使われます。
「瓦解」を使った例文
「瓦解」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 内閣における瓦解が原因で、決議がさらに延期されるという事態を招いた。
- 不祥事続きで企業の瓦解が生じ、次々と離職が相次いだ。
- 国家が瓦解すれば、当然国民は反旗を翻すだろう。
- 才能あるデザイナーを失ったが、会社が瓦解することだけは全力で防ぎたい。
- 監督の不平等な扱いに、チーム結束での瓦解を引き起こすはめとなった。
「瓦解」の類語と対義語とは?
「瓦解」の類語は”壊滅”や”破綻”など
「瓦解」と同じような意味を持つ言葉には「壊滅」「破綻」「崩落」などがあります。
「壊滅」は自然災害などで土地や建物が滅び壊れて跡をなくすこと、「破綻」は「経営破綻」と頻繁に言われるように「ものごとが破れ成立しないこと」を表します。
「崩落」は「株価崩落」などのように「ものごとが崩れ落ちること」をストレートに意味する言葉です。そのため「瓦解」と言い換える時「崩れる、崩壊する」という状況を率直に伝えたい場合はベストな類語と言えます。その他「倒壊」「全壊」「散り散り」なども、類語の仲間として使えるでしょう。
四字熟語「瓦解土崩」は「瓦解」の類語
「瓦解」の四字熟語に「瓦解土崩(がかいどほう)」があります。意味は土砂が崩れるという意味の「土崩」と組み合わせ、「ものごとが根元の部分からばらばらと崩れ落ち、すでに時遅しであること」となります。
「瓦解土崩」は「瓦解」の類語ですが、状況的にはかなりシビアです。「瓦解」の状態ながら、手の施しようがないような時に、崩壊の状態を強調する意図で使いましょう。
「瓦解」の対義語は”形成”や”構築”など
「瓦解」の対義語となるのは、崩壊する、崩れるの反対の意味を持つ「形成」「構築」「オーガナイズ」などになります。つまり、状況を逆に解釈すれば、組織や人事が「瓦解」の危機に陥った時に必要なのが、これらの対義語「形成」「構築」「オーガナイズ」とも言えます。
「瓦解」の英語表現とは?
「瓦解」は英語で”collapse”
「瓦解」の本来の意味は「一部の崩れが全体の崩壊を招く」ですが、一語一句「瓦が組み合わさって屋根が完成しますが、一部が落ちることで全体が崩壊してしまう」と直訳してしまうと、相手に意味が通じにくくなってしまいます。
ここはシンプルに「崩壊」「倒壊」を表す「collapse」を使いましょう。どのような状況で崩壊に至ったかを前文で説明した上で「collapse」を使った方が、文章がスッキリしてきます。その他、同じような意味を持つ「downfall」「fall」を使ったり、ダメにしてしまうという意味の「be ruined」を文章に用いても良いでしょう。
「瓦解」を使った英語の例文
「瓦解」を使った英語の例文をご紹介しましょう。
- The company was totally collapsed after It’s been exposed as black company
ブラック企業であることが発覚し、企業は完全に瓦解をたどった。 - The team is gone downfall because the main player has left.
チームが瓦解したのは、核となるプレイヤーが抜けてしまったからだ。
まとめ
「瓦解」は社会人になると、組織や人事関係、また企画やプロジェクトなど大きな単位で形成されるものに対し、比喩的な意図を持って使われます。直接的な表現よりも「一つの瓦が崩れると、全体が崩壊の危機に陥る」ということを表す「瓦解」を使ったほうが、より相手にビジュアル的なイメージを送りやすいこともあるでしょう。
また「瓦解」の読み方は「がかい」です。「ごかい」と誤読をしてしまうことが多いので、注意して発声するようにしましょう。