「諸般の事情」の意味とは?ビジネス・メールでの使い方も解説

「諸般の事情」と言う言葉の意味は、「いろいろな事情があること」。ビジネスの場において、「諸般の事情により」「諸般の事情を鑑み」などとメールで使われることが多い言葉です。今回は「諸般の事情」の意味を詳しく解説し、言葉の使い方と例文を紹介。類語・英語での表現もお伝えします。

「諸般の事情」の意味や読み方とは?

「諸般の事情」の意味は”いろいろな事情があること”

「諸般の事情」の意味は、“いろいろな事情があること”です。「諸般の事情により辞退します」「諸般の事情を鑑み中止いたします」など、結果と合わせて使うことが一般的です。

「諸般」とは、「いろいろ」「さまざま」を意味する言葉です。ひとつだけではなく複数あることを表した言葉で、「諸般の事情」以外にも「諸般の都合」「諸般の理由」などと使われます。

「諸般の事情」の読み方は”しょはんのじじょう”

「諸般の事情」の読み方は“しょはんのじじょう”です。「諸」は「もろ」「しょ」など複数の読み方を持ちますが、「諸般」においては「しょはん」と読みます。

「諸般の事情」の使い方とは?

「諸般の事情により」は”さまざまな事情がある”の意味

「諸般の事情により」は、ある結果について「諸般の事情」があることを伝える場合に使う言葉です。「諸般の事情により○○します」「諸般の事情により○○は○○となりました」などと使います。

「諸般の事情に鑑み」の意味は”さまざまな事情を考慮する”

「諸般の事情を鑑み」は、「さまざまな事情を考えた結果」を意味する言葉です。単にさまざまな事情があると言うだけでなく、事情を深く検討・考慮した結果であることを伝えたい場合に使います。

「諸般の事情をご賢察」は”さまざまな事情を推察する”

「諸般の事情をご賢察」とは「さまざまな事情を推察する」の意味です。目上の人に対しては、「諸般の事情により○○します」ではなく、「ご賢察」(ごけんさつ)の言葉を使った敬語表現を行うようにしましょう。

「ご賢察」とは、相手が「物事を推察する」「配慮する」ことを意味する敬いの言葉である「賢察」に「ご」がついた敬語表現。「○○となりますが、諸般の事情をご賢察くだされば幸いです」「○○につきましては、諸般の事情をご賢察いただけますようお願い申し上げます」などと使います。

「諸般の事情」を使うシーンとは?

「諸般の事情」は事情の説明を省略する場合に使う

「諸般の事情」とは、「いろいろな事情」があることのみを伝える言葉です。したがって、事情の説明を省略したい場合に使います。

たとえば、事情が複雑ですべてを説明しきれない場合に、簡潔に伝えるためにも「諸般の事情により」とすることがあります。また、相手に対して事情の説明までは不要と考える場合には、具体的な事情は伝えず「諸般の事情により○○となりました」と結果のみを伝えます。

なお、事情を説明したくない場合にも「諸般の事情」を使うことがあります。相手に対して事情を秘密にしておきたい場合や、事情の説明を避けるほうが適切と考える場合です。

「諸般の事情」は辞退や中止の場合に使うことが多い

「諸般の事情」と言う言葉は、辞退や物事を中止する場合に使うことが多い言葉です。相手からの依頼や誘いに対しての辞退や何か物事を取りやめる場合に、「諸般の事情」を使います。

「諸般の事情」はビジネスでも就活でも使われる

「諸般の事情」は、ビジネスの場面から就活の内定辞退まで幅広く使われる言葉です。しかし、具体的にどのような事情があるかを説明しないため、状況によっては「あいまい」や「適当にごまかされた」と言った印象を受ける場合がないとは言い切れません。

どうしようもない事情であることを伝えたい場合には、後ほど説明する類語の「やむを得ない事情」などに言い換えることがおすすめです。また、目上の人に対しては、先に説明した敬語表現の「諸般の事情をご賢察」を使いましょう。

退職願いでは「諸般の事情」ではなく”一身上の都合”

退職願いでは、「諸般の事情」ではなく「一身上の都合」を定型句として使い、「このたび、一身上の都合により○○月末をもって退職いたします」などと書きます。なお、リストラなど会社の事情により退職した場合には、履歴書の職歴には「諸般の事情」でも「一身上の都合」でもなく、「会社都合」と記載します。

「諸般の事情」を使ったメールや文書の例文とは?

「諸般の事情」を使った例文

「諸般の事情」を使った例文をご紹介しましょう。

  • この度、諸般の事情により開店以来初の価格見直しを行うこととなりました。ご理解いただけますようお願い申し上げます。
  • お誘いありがとうございます。諸般の事情が許すようであれば自分もぜひ参加したいと考えています。

辞退や退会を伝える例文

辞退や退会を伝える時の「諸般の事情」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 今回の懇親会については諸般の事情により欠席とさせていただきます。
  • 今回は失礼ながらお申し出について辞退させていただきます。諸般の事情があり、ご希望に添えず申し訳ございません。
  • 諸般の事情があり、○月いっぱいで退会を希望します。

中止やサービス終了を伝える例文

中止やサービス終了を伝える時の「諸般の事情」を使った例文をご紹介しましょう。

  • ○○月△△日に開催予定のイベントは、諸般の事情を考慮し中止となりました。
  • 当サービスは諸般の事情により○○月末日をもちまして終了することとなりました。お客様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解いただけますようお願い申し上げます。
  • この度当店は諸般の事情により閉店の運びとなりました。親子二代にわたってご愛顧いただき感謝申し上げます。

「諸般の事情」の類語と英語表現とは?

「諸事情」は”諸般の事情”と同じ意味

「諸事情(しょじじょう)」とは、「諸々の事情」「さまざまな事情」を意味する言葉です。「諸般の事情」と同じ意味合いとなりますので、置き換えて使うことが可能です。

「やむを得ない事情」は”どうしようもない事情”

「やむを得ない事情」(止むを得ない事情・やむをえないじじょう)は、他にどうすることもできない「どうしようもない事情」の意味です。「諸般の事情」が持つ「さまざまな」の意味合いはありませんが、具体的な事情には触れずに相手に説明し理解を求めると言う点が共通しています。

「諸般の事情」は英語で”various reasons”

「諸般の事情」を英語で表現する場合は、「さまざまな理由」を意味する「various reasons」を使うのが適しています。「諸般の事情により」と表現する場合には、「for various reasons」や「due to various reasons」を使います。

まとめ

「諸般の事情」と言う言葉は、「いろいろな事情があること」の意味を持っています。「諸般の事情により辞退します」「諸般の事情を鑑み中止します」など、相手に対して辞退の返事をする場合や、サービスやイベントの中止案内などに使われることが多い言葉です。