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「都落ち」の意味や語源は?使い方の例文や類語・対義語表現も解説

「都落ち」とは、“落ち”から想像できるようにネガティブな印象を与える言葉です。ビジネスシーンから日常会話、またトランプゲームのルールにまで使われているため、幅広い年代に知られている言葉と言えます。今回はこの「都落ち」の意味や語源、そして使い方の例文などを解説していきます。対義語や類語、英語表現も最後に紹介します。

「都落ち」の意味や語源とは?

「都落ち」の意味は”地方に逃げ出すこと”

「都落ち(みやこおち)」の意味は、“都に追われ地方に逃げ出すこと”です。もっと詳しく解説すると、以下のようになります。

「都落ち」の意味
  • 都会で夢がやぶれ、地方や生まれ育った田舎に戻ること
  • 大都会(とくに東京)を離れ、地方に転居・転勤すること

「都落ち」は“逃げるように”や“立ち去る”といったニュアンスが含まれているため、基本的にネガティブなシーンで使われます。また「都落ち」は誰かの指示によって行われるものではなく、自発的に行動するというニュアンスも含まれています。

「都落ち」の語源は”平家物語”

「都落ち」の語源は、鎌倉時代にできあがった平家の栄華や没落などが書かれた「平家物語」とされています。その中には、「倶利伽羅峠の戦い(くりからとうげのたたかい)」で平維盛(たいらのこれもり)率いる“平氏軍”が源義仲(みなもとのよしなか)率いる“源氏軍”との戦いに敗れ、当時の都である京都から去ることになったと書かれています。

「落ちる」には「元いた場所から離れる」という意味があることから、“平家が京都を離れること”を「都落ち(京の都を落ちる)」と表現したのではないかと言われています。

参考

「倶利伽羅峠の戦い」とは、倶利伽羅峠という場所で「平家軍」と「源氏軍」が激突した戦のこと

「都落ち」の使い方と例文とは?

「都落ち」は自発的に行動する時に使う

「都落ち」は、誰かしらの指示を受け行動するのではなく、自ら決め地方に移動することを意味します。そのため「都落ち」を使うときは、その行動が自発的である必要があります。以下がそのシチュエーション例です。

○都会暮らしに疲れ、地方に戻ることに決めた→「都落ち」を使える

×急に転勤を言い渡され、都会から離れることになった→「都落ち」は使えない

「都落ち」を使った例文

「都落ち」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「大学受験も夢もやぶれ、僕の都落ちは決定的なものとなった」
  • 「精神的に参っている彼を都落ちに促したのは誰だ?」
  • 「オーディションに落ちたとき、“都落ち”という文字が脳裏に浮かんだ」
  • 「彼女の都落ちを決定づけたのは、あの失敗だろう」
  • 「都落ちしたものの、都会にいたときよりも幸せに暮らしている」

「都落ち」はトランプゲーム「大富豪」のルールでもある

「都落ち」は、トランプゲームの「大富豪」のルールとしても使われています。「大富豪」においての「都落ち」は、最も階級の高いプレイヤー(つまり大富豪)が1番最初にあがれなかった場合、その後何番目にあがったとしても最も階級が低くなる(つまり大貧民になる)というルールのこと指しています。

別のルールでは、大富豪だったプレイヤーが1番最初にあがれなかった場合ゲームは終了するとなっています。こういったルールの違いは、地域や人数によると言われています。

大富豪の基本的なルール

「大富豪」は、自分の前の人が出したカードよりも強いとされている数字のカードを手札から出していくトランプゲームです。自分の手札がなくなった人から、「大富豪」、「富豪」、「平民」、「貧民」、「大貧民」などと階級がつけられ勝敗が決まります。

「都落ち」の対義語や類語とは?

「都落ち」の対義語は”上京”や”上洛”

  • 「上京(じょうきょう)」

意味は「地方の人が都に行くこと」です。“都”は“東京”を指すことが多く、「上京する」というと「東京に行く」とイメージされやすいでしょう。都会から地方や田舎に戻る「都落ち」とは逆で、“地方から都会に行く”という意味で対義語と言える言葉です。

  • 「上洛(じょうらく・しょうらく)」

意味は「京都に行くこと」です。江戸時代以前では、「上洛」と「上京」は、「京の都に上がる」という意味で使われていたそうです。しかし、いつしか「上洛」は「京都に行くこと」、「上京」は「東京に行くこと」として使われるようになったとされています。「地方の人が都(京都)に行く」という意味で考えると、「上洛」も「都落ち」の対義語と言えます。

「都落ち」の類語は”離京”や”下洛”

  • 「離京(りきょう)」

意味は「都を離れること」です。この言葉においての“都”は、とくに“東京”や“京都”を指しています。「都落ち」のようなネガティブなニュアンスはなく、“そこから離れる”という事実を説明しています。

  • 「下洛(げらく)」

意味は「都から地方に行くこと」です。「都落ち」のような“夢がやぶれて”などのニュアンスはありませんが、都から地方に移動する意味合いでは同じです。「下洛」は先ほど紹介した「上洛」の対義語でもあります。そのため、都といっても“京都”を指すことがほとんどです。

「都落ち」の英語表現とは?

「都落ち」の英語表現は”to leave town”

「都落ち」を英語にするなら、“都会を離れる”という意味を持つイディオム「to leave town」で表現するといいでしょう。「leave」には“立ち去る”というニュアンスがあるため、「都落ち」のネガティブな要素も表現できます。

  • 「to leave town」・・・都落ちする、都会を離れる

「go into the provinces」でも表現できる

「都落ち」は、地方や田舎を意味する名詞「the provinces」を使って「go into the provinces」と表現もできます。

  • 「go into the provinces」・・・都落ちをする、東京を離れて地方や田舎で暮らす

まとめ

「都落ち」という言葉は、ただ都会から地方に移動する・戻るといった意味ではなく、夢がやぶれたりなど何かしらの理由で転居・転勤するというネガティブなニュアンスが含まれています。

「都落ち」は自発的行動によって地方に行くことを表しているので、誰かの指示で地方などに飛ばされる「左遷」と混同しないよう気をつけましょう。