「慰留」の読み方と意味は?使い方の例文も解説!断り方も紹介

「慰留」という言葉を知っていますか?会社の人事にまつわる話題で「遺留交渉」「遺留に努める」「慰留工作」といった文言を聞いたことがある人も多いでしょう。ビジネスの場で使われる「慰留」について、その意味と使い方や類語を例文とともに説明します。「慰留」された場合の断り方も紹介しますので参考にしてください。

「慰留」の読み方と意味

「慰留」の読み方

「慰留」は「いりゅう」と読みます。同じ読みで「遺留(いりゅう)」という違う意味の言葉がありますので、変換ミスに気を付けましょう。

「慰留」の意味

「遺留」には「人がある行動を行うのを阻止する」「なだめ思いとどまらせる」という意味があります。ビジネスの場では「辞意を表明した人をなだめて、これまでの職に引き止める」という意味で使われる言葉です。この場合は特に「退職慰留」と表現されることもあります。

また「慰」には「なぐさめる」という意味があり、「慰安」「慰問」などの熟語があります。「留」には「立ち去らずにその場にとめる」という意味があり、「抑留」「保留」などの熟語があります。そのため「慰留」には「慰めて(なだめて)その場にとどまらせる」という意味合いがあるのです。

「慰留交渉」の意味

「遺留交渉」とは、退職の意を表明した人に対して退職を思いとどまらせるよう、会社や上司が待遇の改善などを提案して交渉を行うことです。具体的には退職につながった不満の解消です。給与の不満であれば昇給であったり、仕事内容の不満であれば他部署への移動であったりといった案が提示されます。

「慰留工作」の意味

こういった会社や上司の引き止め行為を「慰留工作」と表現することがあります。「工作」とは「ある目的が達せられるように、あらかじめ手を打っておくこと」という意味です。「裏面工作」という熟語があるように、水面下での行為の意味を含みます。そのため「慰留工作」とは、辞意を表明した人が関与しないところで、なんらかの阻止対策が一方的に行われることを意味します。

具体的には、退職願の受理を一方的に拒否されたり、退職日を引き延ばされたりするような引き止めの行為です。なお、就業規則にのっとった退職願について、受け取りを拒否することは民法で禁止されています。

「慰留」が用いられる場面と例文

「慰留」が用いられる場面

「慰留」は退職の意を表明した人に対して、会社や上司がそれを思いとどまらせるという意味であると説明しましたが、退職以外にも担当の職を辞する場合や、会や組織を脱会する意を表明した人に対しても用いられます。状況がわかるように例文を紹介します。

「慰留」の例文

  • 球団はコーチを慰留したが、大敗の責任をとって辞任した。
  • 首相は大臣を慰留したが世論には逆らえず辞任となった。
  • 理事会の役員を慰留され、続投することになった。
  • 人事部の評価が低かったため、彼は慰留されなかった。
  • 会社は彼女を慰留したが、本人は固辞した。

「慰留」の類語

「慰留」の類語表現には次のようなものがあります。

「引き留める」「引き止める」の意味と使い方

「引き留める」「引き止める」とも「ある行動をしようとする人をやめさせようとする」という意味になります。これだけであれば「慰留」と同じ意味ですが、別の使い方として「立ち去ろうとする人をひきとめる」という意味があります。「2次会まで引き止める/引き留める」「客を引き止める/引き留める」などの用い方です。なお、「止める/留める」どちらも「とめる」と読み、意味の違いはありません。

「考え直させる」の意味と使い方

「考え直させる」とは「もう一度考えさせる、再考させる」という意味です。「慰留」と同じ意味もありますが、職や地位にとどまらせるよう交渉するという意味合いは含まれません。

「思いとどまらせる」「思い留まらせる」の意味と使い方

「思いとどまらせる/留まらせる」は「すんでのところで思いとどまる」という意味が含まれます。「喧嘩を思いとどまらせる」のように突発的な衝動を引き留めるというときに用いられるため、「慰留」とは違うニュアンスで使われることもある言葉です。

なぜ「慰留」されるのか?断り方は?

「慰留」するのは人材を失いたくないから

退職に慰留はつきものですが、何故会社や上司は退職したい人に対して「慰留」するのでしょうか。理由はさまざまですが、もちろんその人が大変優秀であるため、利益の損失を防ぎたいということもあるでしょう。他には、その人の上司が自分の評価を下げたくないために慰留したり、人員がすぐに補填できないために慰留したりということもあります。「退職慰留」された場合は、「慰留交渉」が始まらないうちに、退職の決意をはっきりと伝えることが肝心です。

「慰留」は穏便に断る

退職を慰留された時の断り方としては、「穏便に伝える」ことが大切です。特に損得が絡んだ交渉に関しては、誰もが感情的になりがちです。また世間は狭いため、退職した会社とその後も関係を持つことがあるかもしれません。自分のキャリアを傷つけないよう、円満退社をこころがけましょう。

まとめ

ビジネスシーンで用いられる「慰留」は、「退職慰留」という言葉があるように、退職の意を表明した人にたいして、引き留めを働きかけるという意味の言葉でした。これから社会人としてキャリアを積んでゆく中で、退職やその地位を辞する決断をすることが何度もあるかと思います。思いがけず「慰留」された場合には、その言葉の背景について知っておくことで、冷静に対処することができるでしょう。