「職人気質」の読み方と意味とは?使い方の例文や類語を解説

「職人気質な人」と聞くと怖そうなイメージがあるかもしれませんが、「職人気質」の本来の意味には気難しいだけでなく、まじめさや仕事への誇りなどのいい意味も含まれているのです。

今回は「職人気質」の意味や使い方、類語、英語表現を例文と併せて解説します。

「職人気質」の意味と読み方とは?

「職人気質」の意味は”職人の持ち合わせる気性”

「職人気質」の意味は、“職人が共通して持ち合わせる特有の気質(きしつ)”のことです。頑固で偏屈そうに見えるものの、それは自分の仕事や技術に誇りを持ち、仕事を始めたら納得がいくまで仕事を推し進めていくような気質です。

「職人気質」は仕事熱心な職人を言い表す言葉としても使われますが、人の性格を表す言葉としても使われます。

「職人気質」の読みは”しょくにんかたぎ”

「職人気質」の読み方は、“しょくにんかたぎ”です。「気質」とは、職業、ある一定の地域や身分において同様の性格という意味で使われるときは「かたぎ」と読みます。「書生気質」も「気質」を「かたぎ」と読ませる一例です。

個人の性格という意味合いで「気質」を使う場合には「きしつ」と読みます。「父から受け継いだ職人としての気質」のように、ある人の気性や気立てなどを言い表すときは「きしつ」です。

「職人気質」の使い方と例文とは?

頑固でまじめな性格を意味する「職人気質」

頑固でまじめ、人の意見を聞かず自分の考えを変えない頑固なところがありますが、プライドは高く、自信を持っているような人のことを、「職人気質な人」や「職人気質な性格」のように言い表します。

<例文>

  • 「彼は職人気質な人なので、簡単には自分の考えを変えない」
  • 「職人気質な性格だけあって、彼はなかなか頑固だな」
  • 「職人気質なところがあるけれど、他人への優しさも忘れていない人」

職人への誉め言葉として使われる

「職人気質」は自分の仕事に妥協せず、プライドを持っているという意味の言葉なので、職人に対しての誉め言葉として使われます。頑固な半面、仕事に熱心で利益よりも品質にこだわるような職人のことを「職人気質の職人」のように言い表し、職人への敬意を表すことができます。

<例文>

  • 「職人気質の○○さんなら安心して仕事を任せられる」

ネガティブな意味合いで使われることもある

「職人気質」はそのまじめさから頑固に見えることがあるのでネガティブな意味合いで使われることもあります。ネガティブな意味で使われる「職人気質」からは、その人は気難しく、時には恐いといったイメージも連想されるでしょう。

「職人気質」という言葉が誉め言葉なのか、それとも批判的に使われているのかは、文脈から判断します。

<例文>

  • 「職人気質の○○さんは寡黙で付き合いづらい」

「職人気質」を使った例文

「職人気質」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「仕事熱心な彼は、職人気質な人」
  • 「職人気質の棟梁は、細部にまで妥協を許さない」
  • 「彼は一つのことに打ち込む職人気質な性格なので、きっといい研究者になれるだろう」
  • 「職人気質なのはいいが、利益が上がらないのも困る」

「職人気質」の類語とは?

類語①「商人気質」とは”利益にこだわる商人の気性”

「商人気質」は「あきんどかたぎ」と読み、「商人特有の気性」のことです。損得に敏感で利益にこだわり、信用を大切にするといった気質です。

「職人気質」と「商人気質」の両方とも仕事に対して実直だと言えますが、「職人気質」は品質に、「商人気質」は利益に重点が置かれている点で違います。また「商人気質」は商人という職業に特化した表現ですが、「職人気質」は人の性格を表す表現としても使われます。

類語②「職人魂」とは”仕事に打ち込む姿勢”のこと

「職人魂(しょくにんだましい)」とは、職工としての誇りを持ち仕事に打ち込むこと姿勢やプロ意識のことです。

「職人魂」という表現は「職人気質」よりも新しく、専門的な技術を生かした手作業で製品を作り上げる職人や職人の仕事に対して使われます。

類語③「職人肌」とは”熟練を積んだ職人の気性”

「職人肌」は「職人気質」と同じく職人特有の気性のことですが、「職人肌」は特に熟練した職人の気性のことを意味しています。職人の中でも技術力が高く、経験を積んでいる職人の気性を表すときに「職人肌」が使われます。

類語④「頑固」は”自分の考えを曲げないこと”

「頑固」とは、「かたくなで自分の考えを曲げないこと」です。職人気質な人の気性には頑固な一面があるため、「頑固」は「職人気質」の類語のひとつとして挙げられます。

頑固な人という意味の言葉には、「頑固者」や「頑固一徹」があります。

類語⑤「かたぶつ」とは”融通の利かない人”のこと

「かたぶつ」とは、「生真面目で融通の利かない人」という意味です。「職人気質」の頑固でまじめという意味から「かたぶつ」も類語のひとつですが、「職人気質」はまじめさをその人のよさとして評価することがあるものの、「かたぶつ」はまじめすぎるために融通が利かないというネガティブな意味合いが含まれています。

「かたぶつ」は漢字で「堅物」と書きますが、ひらがな表記されることが多い言葉です。

「職人気質」の英語表現とは?

「職人気質」は英語で”craftsman spirit”

「職人気質」を英訳には“craftsman spirit”という表現がいいでしょう。「職人」という意味の「craftsman」に、「気質」という意味の「spirit」を続けています。「craftsman」という言葉は手作業で物を作る職人という意味なので、「craftsman sprit」は、大工などの物作りを主体にした職人に対して使います。

アーティストや作家などの創造性が生かされるような職業の人には、「craftsman」を芸術家という意味の「artist」と置き換えて「artist spirit」や「artistically inclined」(職人的な傾向のある)といった表現の方が相応しいでしょう。

「職人気質」を使った英語例文

「職人気質」を使った英語例文をご紹介しましょう。

  • “The carpenter has a craftsman spirit and doesn’t talk so much.”
    「その大工は職人気質であまり話をしない」
  • “We can say that the artist who is uncompromised his work is artistically inclined.”
    「自分の作品に妥協を許さないそのアーティストは職人気質と言える」

まとめ

「職人気質」とは職人のように技術に自信があり、実直に仕事に取り組む気性のことです。職人への誉め言葉として使われる一方で、頑固で妥協しない気質なのでネガティブに捉えられることもあります。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。