「指示を仰ぐ」の意味とは?敬語での使い方や例文・類語も解説

「指示を仰ぐ」とは、「目上の人に対して指示を求める」と言う意味を持つ言葉です。今回は「指示を仰ぐ」の意味を、詳しく解説。敬語での使い方と、実際に「指示を仰ぐ」場合のビジネスメールの例文や意識しておくべきポイントについて紹介します。また、類語や別の言い方に加えて、英語での表現についてもお伝えします。

「指示を仰ぐ」の意味とは?

「指示を仰ぐ」の意味は”目上の人に対して指示を求めること”

「指示を仰ぐ」の意味は、“上司など目上の人に対して指示を求めること”です。「上司の指示を仰ぐ」や「医者の指示を仰ぐ」などと使います。「指示を仰ぐ」の読み方は、“しじをあおぐ”となります。

「指示」という言葉は「物事について指し示すこと」の意味を、「仰ぐ」は「目上の人に対して援助を求める」の意味をそれぞれ持っています。したがって、「指示を仰ぐ」は、同僚や部下に対しては使わず、上司など目上の人に対して使うことが適切な言葉です。

「指示を仰ぐ」の敬語での使い方とは?

「指示を仰ぐ」と言う言葉は、目上の人に対して使う言葉です。しかし、指示を求める相手に対しては「指示を仰ぐ」ではなく、敬語表現を使います。

「ご指示いただけますようお願い申し上げます」

「ご指示いただけますようお願い申し上げます」は、目上の人に使うことができる尊敬の意味合いを持つ表現です。「ご指示」の「ご」は尊敬を表す接頭語。「いただけますよう」は、「もらう」を意味する「いただく」に、丁寧語の「ます」と希望を表す「よう」を組み合わせた言葉です。「お願い申し上げます」は、「お願い」を意味する丁寧表現となります。

「ご指示いただきたく存じます。」

「ご指示いただきたく存じます」とは、「指示してほしいと思います」を意味する、謙譲語の表現です。「いただきたく存じます」という言葉については、二重敬語の印象を受ける方もいるかもしれません。しかし、「いただきたく」と「存じます」それぞれの意味を組み合わせた言葉となっています。「いただきたく存じます」の「存じます」とは、「思う」や「知る」を意味する謙譲語の「存じる」に、丁寧語の「ます」をつけた言葉です。

「指示を仰ぐ」場合のビジネスメールの例文とは?

上司や取引先に「指示を仰ぐ」ビジネスメールの例文

  • ○○の件については、私個人では判断しかねる状態です。先方への返信内容について、ご指示いただけますようお願いします。
  • この度はお声がけいただき、誠にありがとうございます。ご提案に当たり改修の大まかな方向を、まずはご指示いただきたく存じます。
  • お手数おかけしますが、○○の件につきまして、今一度ご教授いただけますようお願い申し上げます。

ビジネスにおける「指示を仰ぐ」ときのポイントとは?

適切なタイミングで指示を仰ぐことを心がける

遅すぎる場合に指示を求めるのは、相手が判断に困るだけでなく失礼に当たることもあります。どのタイミングで指示を仰ぐべきかについては一律ではありませんが、悩んだ場合は、早めに指示を仰ぐのがおすすめです。しかし、自分で何も考えずに何もかも指示を仰いでばかりでは、主体性がなくやる気がないと見されてしまうこともあるため、注意が必要です。

具体的な指示を仰ぐようにする

漠然と「指示をいただきたい」だけを伝えると、相手は判断に迷います。指示を欲しい理由や、判断しかねる点などを伝えるようにしましょう。可能であれば、自分なりの仮説を伝えた上で、判断と具体的な指示をもらうのがよいでしょう。

「指示を仰ぐ」の類語・別の言い方とは?

「判断を仰ぐ」は”指示を仰ぐ”の言い換え

「判断を仰ぐ」は「指示を仰ぐ」の言い換え表現として使うことができる言葉です。「判断」は「物事について決めること」の意味を持ちます。ビジネスにおいて上司が「判断」することは、「指示」をも意味すること。したがって「判断を仰ぐ」は「指示を仰ぐ」とほぼ同じ意味合いであると言えます。

「指導を仰ぐ」は”目上の人に対し指導を求める”

「指導を仰ぐ」(しどうをあおぐ)は、「指示を仰ぐ」と近い意味合いを持つ言葉ですが、意味合いが若干異なります。「指示」とは「物事について指し示すこと」、「指導」は「ある方向に向かって導くこと」をそれぞれ意味しています。したがって、ビジネスの現場において具体的な判断が必要な場合には、「指導を仰ぐ」は適さない言葉です。

「意見を仰ぐ」は”意見を求める”の意味

「意見を仰ぐ」(いけんをあおぐ)とは、「目上の人に意見を求める」と言う意味を持って、います。「指示を仰ぐ」とは近い意味を持ちますが、「意見」は「その人の考え方」を指す言葉であるため、「指示」までに至らない場合もあります。

「指示をもらう」の意味は”指示を受ける”

「指示をもらう」とは、「指示を受ける」ことを意味しています。「この件は、○○部長から指示をもらってください」など、目上の人に対しても使いますが、尊敬の意味合いは持ちません。

熟語「ご指導ご鞭撻のほど」も”指示を仰ぐ”の類語

「ご指導ご鞭撻のほど」(ごしどうごべんたつのほど)は、「指示を仰ぐ」同様に目上の人に対する言葉。「相手が自分に対して指導する」ことを敬って表現する言葉となります。スピーチや文書などの改まった場において使うことが一般的です。

「指示を仰ぐ」の対義語とは?

「指示する」は”部下など目下の人に指示を行う”

「指示する」は、部下や同僚などに対して「物事を指し示すこと」を意味しています。「する」は、動作を意味する言葉となるため、「指示する」は目上の人に対して使うのに適さない言葉です。

「指示を促す」とは”指示することを急がせる”

「指示を促す」は、「指示することを急がせる」という「催促」を意味する表現です。「促す」と言う言葉は尊敬の意味合いを含まないため、目上の人に対しては使いません。

「指示を仰ぐ」の英語表現とは?

「指示を仰ぐ」は英語で”ask for instructions”

「指示を仰ぐ」の英語表現においては、“ask for instructions”のフレーズを使うことができます。「ask」は「求める」や「尋ねる」の意味を持つ動詞、「instructions」とは、「命令」や「指示」を意味する「instruction」の複数形となります。

「ask her for instruction about ○○」というフレーズは、「彼女に○○についての指示を仰ぐ」の意味として使います。なお、「ask for」は「要求する」「依頼する」を意味する動詞であり、目上の人など対象は限定しません。

まとめ

「指示を仰ぐ」とは、「目上の人に対して指示を求めること」を意味する言葉です。したがって、同僚や部下に「指示を仰ぐ」の言葉を使うのは適切ではありません。ビジネスの場面において、実際に「指示を仰ぐ」場合には、タイミングや具体性などを考慮することで、相手から適切な指示を得ることができます。