「手弁当」の意味と由来とは?使い方の例文と類語を詳しく解説

「手弁当」という言葉の意味は、一言で表すと「ただ働き」。単にただ働きというだけでなく、交通費などかかる費用も「自分自身で負担して働くこと」を意味しています。今回は、「手弁当」の意味と由来について解説し、使い方の例文やビジネスにおける「手弁当」の意味合いを紹介。類語に加え、英語での表現もお伝えします。

「手弁当」とは?

「手弁当」の意味は”自分の負担で働くこと”

「手弁当」の意味は、“費用などを自分自身で負担して働くこと”です。報酬を受けずに働くというだけではなく、働くためにかかるさまざまな費用も自分で負担することを表した言葉です。

しかし、「手弁当」は「報酬もなく」と言う意味合いではなく、「自分で負担をしてでも」と「貢献」や「献身」の意味合いとして使われることが一般的です。したがって、イベントや選挙活動などのボランティア活動における表現で使うことが多い言葉となります。

「手弁当」の由来・語源は”自前の弁当”

「手弁当」と言う言葉の元の意味は、「自宅でつくって持参する弁当」のことです。「費用を自分で負担して働く」という意味は、「自前の弁当」が「自分で費用を持ってくる」という意味へと発展したものとなります。

「手弁当」を使った例文

「手弁当」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 限られた費用の中で、なんとか個展を成功させることができたのも、多くの人が手弁当で手伝ってくれたからだ。
  • 地域の住民による手弁当により、イベントが支えられている。
  • ボランティアを始めてみたが、何から何まで手弁当となると、正直出費が辛い。

「手弁当」は”隠語”ではない

「隠語」とは、ある特定の専門家や仲間の間だけで通じる意味の言葉を意味しています。たとえば、百貨店の従業員が「1番へ行ってきます」は、「トイレへ行ってきます」を表した言葉となります。

隠語には、「弁当」と言う言葉が入るものもあります。「弁当持ち」とは、「弁当を持っている人ではなく」、「執行猶予がついた人」を表す隠語としても使われています。しかし「手弁当」と言う言葉は、他の何かを表す隠語としては使われていません。

ビジネスにおける「手弁当」とは?

ビジネスや仕事での「手弁当」は違法

ビジネスで雇用契約を結んだ場合は、「手弁当」は違反となります。たとえば研修などの試用期間である場合でも、企業は「手弁当」ではなく報酬を支払う必要があります。また、無償で働く企業と労働者双方が合意した上の無償の場合であっても、取り決めは無効であると「最低賃金法」に定められています。

ボランティア活動は「手弁当」が基本

「ボランティア活動」とは、その人が自発的に地域や社会に貢献する活動を行うこと。利益が目的のビジネスと違い、利益を目的としないボランティア活動は「手弁当」で行うのが基本です。

ボランティア活動における「手弁当」は、現地への移動のための交通費や宿泊費などが考えられます。また、活動中の食事や活動のための衣服や道具も「手弁当」となる場合があります。

しかし、無償であるボランティア活動を継続させていくためには、活動する人が生活を成り立たせることも必要です。また、弁護士が、裁判以外にも社会的な課題を解決するための活動を行う際には、弁護士の「手弁当」に頼るところも多く時代遅れではないかとの声も上がっています。

活動を続けて行くためとして、現在「手弁当」の無償ボランティアだけでなく、有償ボランティアも見受けられるようになりました。また、2018年には裁判費用を集めるためのクラウドファンディングも実施されました。

「手弁当」の類語・類義語とは?

類語①「自腹」の意味は”本来必要のない支払い”

「自腹」(じばら)とは、言葉で、「本来自分が負担する必要のない支払いをする」という意味を持つ言葉。「自腹を切る」「自腹で払う」などと使います。

「手弁当」と同じ「自分で負担する」の意味合いを持ちますが、「自腹」の方が使う対象は広くなります。「自腹でご馳走した」「自腹で駆けつけた」など、相手のために費用を負担した場合にも使う言葉です。

類語②「自費」の意味は”自分で支払う費用”

「自費」(じひ)と言う言葉は、「自分で支払う費用」の意味を持ちます。「手弁当」や「自腹」のように「本来自分が負担するはずがない」と言う意味は持たず、単に自分が支払った場合に使う言葉です。

類語③自前」の意味は”自費で用意や準備をする”

「自前」(じまえ)とは、「自分で費用を負担して物を用意したり準備を行うこと」を意味する言葉です。「衣装は自前で準備してください」「自前の道具を持ってきた」などと使います。「手弁当」と近い意味合いを持ちます。

類語④「持ち出し」の意味は”超過費用を負担する”

「持ち出し」という言葉は、「外へ持って出る」に加えて、「予算から超過した費用を自分で負担する」という意味を持っています。「手弁当」とは自分が「費用全体」を負担する意味合いを持つため、「超過した費用を負担する」と言う「持ち出し」とは、やや意味合いが異なります。

「手弁当」の英語表現とは?

英語で手弁当は「work without pay」

「手弁当で働く」を英語で表現する場合には、「work without pay」を使うのが適しています。「work without pay」とは直訳すると「無償で働く」の意味。「手弁当」の「自分で費用を負担する」という意味合いまでは持っていませんが、英語では「work without pay」を使うのが適しています。

「work for no pay」も「手弁当」の英語

「work for no pay」は「work without pay」の言い換え表現です。「work at ○○for no pay」というフレーズは、atの後ろに場所を示す言葉を入れて「○○で無償で働く」の意味となります。

まとめ

「手弁当」とは、「ただ働き」を意味する言葉。無報酬というだけでなく「自分で費用を負担して働く」ことを表しています。しかし「手弁当」は「ただ働きを押し付けられている」ニュアンスではなく、「費用を負担してでも働く」という「貢献」のニュアンスを持って使うことが多い言葉です。また、ビジネスで雇用の契約を結んだ場合は「手弁当」は違法となるため、主にはボランティアで働く場合に使います。