「侵害」の意味や使い方とは?「心外」との違いや類語なども解説

「侵害」とは、“プライバシーの侵害”のように何かしらの損害を受けたことを説明するときに使う言葉です。昔と比べ使用頻度は増えているので、ニュースや新聞などでよく見かけることが多いはずです。今回はこの「侵害」の意味や使い方の例文、類語や英語表現などを詳しく解説していきます。「心外」との違いもあわせて紹介します。

「侵害」の意味と語源とは?

「侵害」の意味は「他人の権利・所有などへの損害」

「侵害」の意味は、「他人の権利や利益、領土などを侵して損害を与えること」です。“他人の権利などを侵す”とは、法律に触れる形で何かを無断で利用したり、阻害したりする行為を指しています。

語源は「侵」を構成する象形にあり

「侵害」の語源は、『侵』を構成する「人」「手」「箒(ほうき)」の象形にあると言われています。

『侵』は、横から見た人が箒を手にとっている象形がもととなり出来た漢字です。その象形が「人が箒を手にして徐々に掃き進む」と捉えられ、「徐々に侵す」という意味で使われるようになっていったとされています。

「侵害」の使い方と例文は?

「侵害」は違法行為を受けた時・与える時に使う

基本的に「侵害」は、 違法とされる事に触れた形で害を受けた時に使います。しかし「侵害する」などのように、悪いと分かりながらも相手に害を与える時に用いられることもあります。この場合、害を与える側は“犯罪行為である”と認識していることがほとんどです。

「侵害」の例文

  • 「侵害行為に対しては、刑事・民事上の救済を求めることが可能だ」
  • 「プライバシーの侵害は損害賠償請求の対象になるだろうか」
  • 「著作権侵害は現代増えつつある社会問題の1つである」
  • 「僕は大学で権利侵害にまつわる歴史を研究している」
  • 「特許侵害と簡単には言えるが、その損害は一言では片付けられないほど莫大な金額だ」

「侵害」と混同されやすい言葉

「心外」は混同されやすい同音語

「侵害」は、同じ読み方の「心外(しんがい)」とよく混同されます。しかし意味は以下のように異なるので、同義語として使うことはできません。

  • 「侵害」・・・他人の権利や利益、領土などを侵して損害を与えること
  • 「心外」・・・思いもよらないこと、予想に反した悪い結果・仕打ちに対し残念に思ったり腹立たしさを感じているさま

「抵触」との違いは違反行為の有無

「抵触(ていしょく)」は、「侵害」と意味が似ていることから混同されがちです。しかし、2つには決定的な違いがあります。

  • 「侵害」・・・他人の権利や利益、領土などを侵して損害を与えること
  • 「抵触」・・・法律や規定などに触れること

意味からわかるように、「侵害」は違法行為を与えることが前提の言葉です。しかし、「抵触」にはそういった意味合いはありません。“法律に触れる”という点では類語と言えますが、使う場面は異なるので注意して使いましょう。

「侵害」の類語と対義語は?

「侵害」の類語は「干犯」「食い込む」

「干犯(かんぱん)」

意味は「ほかに干渉してその権利を侵すこと」です。他人の権利を侵すという点が「侵害」と似ています。

「食い込む(くいこむ)」

意味は「ほかの領域・範囲にまで入り込むこと」です。他人の領土を侵すという点が似ています。しかし「食い込む」には、“損害を与える”のような意味合いはありません。

「侵害」の対義語は「擁護」

「擁護」の意味は「危害などを加えようとする物・事からかばい守ること」です。他人の権利や領土などに害を与える意味を持つ「侵害」に対し、“与えないよう守る”という反対の行動を表しています。

権利侵害の種類

「人権侵害」

「人権侵害(じんけんしんがい)」とは、簡単に説明すると、人権(人間が人間として生きるために持っている権利)を損なうことです。とくに国家権力を持っているい人が基本的人権を侵したり、社長やマスコミなど立場の強い人が弱い人に対し人権を違法に侵すことを言います。

「特許権侵害」

「特許権侵害(とっきょけんしんがい)」とは、産業財産権の1つである特許権(産業上で利用可能な新規発明を独占的に利用できる権利)を、特許権者から許可を得ず無断で利用したり実施することを言います。

「著作権侵害」

「著作権侵害(ちょさくけんしんがい)」とは、知的財産権の1つである著作権(他人による著作物の使用・所有を許可する権利)のある著作物を、著作権者の許可を得ず無断で利用することを言います。

「侵害」の英語表現は?

「侵害」の英語表現は「infringement」

「侵害」を英語にする場合、“(人権・特許権・著作権などに対する)侵害”を意味する名詞「infringement」で表現します。この「infringement」には “抵触”や“違反”という意味も含まれているため、日本語の「侵害」よりも幅広い場面で使うことができます。もし「侵害する」と表現したいなら、「infringement」を動詞の形に変えて「infringe on」と使いましょう。

  • 「infringement」・・・侵害、抵触、違反
  • 「infringe on」・・・侵害する、違反する、(規則などを)破る

形式ばった表現なら「violate」「encroach」

「infringement」よりも形式ばった表現なら、動詞「violate」や「encroach」を使いましょう。それぞれ「侵害する」以外の意味も持っています。

  • 「violate」・・・(人権や睡眠などを)侵害する、(法律や約束などを)破る、違反する
  • 「encroach」・・・(他人の権利などを)侵害する、(他国などを)侵略する、侵食する

まとめ

「侵害」は、法律に触れる形で何かを無断で利用したり、阻害したりする行為を表す言葉です。「抵触」には「侵害」に含まれる“違法行為を与える”というニュアンスはないので、間違えて使わないよう気をつけましょう。

近年ではインターネットが普及したこともあり、プライバシーなどの人権侵害の被害は増え続けています。ニュースや新聞で頻繁に使われている言葉なので、権利侵害の種類もあわせて覚えておくことをおすすめします。