「多岐にわたる」の意味や使い方の例文は?類語や英語訳なども解説

「多岐にわたる」は「多岐にわたる分野」といったように、広い物事を説明するときに用いられる言葉です。かしこまった表現なため、日常会話というよりビジネスシーンで使う機会が多いでしょう。今回はこの「多岐にわたる」の意味や語源、使い方の例文などを解説していきます。類語や対義語、英語表現もあわせて紹介します。

「多岐にわたる」とは?

「多岐にわたる」の意味は”物事が多方面に分かれている”

「多岐にわたる」の意味は、“物事が多方面に分かれている”です。「多岐」という言葉だけで「道筋がいくつにも分かれているさま」を表しています。そこに「広い範囲に及ぶ」という意味を持つ言葉「わたる」を組み合わせることで、複数の異なる物事それぞれに影響が及んでいる様子を伝えることができます。

「多岐にわたる」の読み方は”たきにわたる”

「多岐にわたる」の読み方は、“たきにわたる”です。

漢字で「多岐に渡る」「多岐に亘る」とは書かない

「多岐にわたる」の“わたる”は漢字ではなく、ひらがなを使うことが一般的とされています。それは、「わたる」にあたる漢字「渡る」と「亘る」にそれぞれ使用するべきではない理由があるからです。

【渡る】
「渡る」には、「一方から他方へ超えていく」という意味があります。基本的に“移動する”といった動きのあることを表している漢字なので、“多方面に分かれている”ということを表す漢字として適しません。

【亘る】
「亘る」は「広範囲に及ぶ」という意味を持つため、「多岐に亘る」と表記しても間違いにはなりません。しかし「亘る」は常用漢字ではないため、一般的にあまり知られていません。このことが理由で、意味が通じても「わたる」とひらがなで表記しています。

「多岐にわたる」の使い方と例文とは?

選択肢が3、4つ以上の場合に使う

「多岐にわたる」は複数の道に分かれているさまを表すことから、選択肢は1つではないと言えます。また「複数」は“2つ以上のもの”と定義されていますが、「多岐にわたる」の場合は“広範囲に及ぶ”という意味もあるため、選択肢が3、4つ以上である場合に使用するのが自然です。

「多岐にわたる」を使った例文

「多岐にわたる」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「多岐にわたる分野で活躍できるよう頑張りたい」
  • 「多岐にわたる要望は現場を混乱させた」
  • 「私は多岐にわたる仕事を経験してきた」
  • 「彼らの多岐にわたる活動をずっと見守っている」
  • 「多岐にわたって作品を作ってきた監督だ」
  • 「彼の多岐にわたる知識のおかげで、九死に一生を得た」
  • 「多岐にわたる業務をこなし、ようやく出世することができた」
  • 「多岐にわたりご尽力いただき、スタッフ一同深く感謝しております」
  • 「今年も多岐にわたりお世話になりました」

「多岐にわたる」の類語と対義語とは?

類語は「多種多様な」「バラエティーに富む」「様々」

「多岐にわたる」の類語には、「多種多様」「バラエティーに富む」「様々」の3つを紹介します。

  • 「多種多様(たしゅたよう)」

意味は「種類などが多く様々であること」です。「多種多様」は種類が多いこと以外にも、性質や状態、現象などがいろいろであることも表しています。「多岐にわたる」のような“多方面に分かれている”といったニュアンスはありませんが、3、4つ以上の異なる選択肢があるという部分が似ています。

  • 「バラエティーに富む(ばらえてぃーにとむ)」

意味は「種類や変化が豊富にあること」です。「バラエティーに富む」には「多種多様である」という意味も含まれているため、先ほどと同じ理由で類語と言えます。施設や商品説明などによく用いらえる表現です。

  • 「様々(さまざま)」

意味は「物事がそれぞれ異なっていること」です。「様々」も「多種多様である」という意味が含まれているため、「バラエティーに富む」と同じような理由で「多岐にわたる」の類語と言えます。日常会話やビジネス、文章中など幅広い場面に用いられている表現です。

対義語は「唯一」「一択」

「多岐にわたる」の対義語には、「唯一」「一択」の2つを紹介します。

  • 「唯一(ゆいいつ)」

意味は「ただ1つで他にはないこと」です。「多岐にわたる」の“複数の選択肢がある”というニュアンスに対し、選択肢はないことを表しています。

  • 「一択(いったく)」

意味は「他を選ぶ余地がない」です。「一択」には“それしかない”といったニュアンスがあり、「唯一」と同じく他の選択肢はないをことを表しています。

「多岐にわたる」の英語表現とは?

「多岐にわたる」の英語表現は”wide-ranging”

「多岐にわたる」を英語にする場合、“広い範囲に”という意味を持つ「wide」と、“(〜の)範囲に及ぶ”という意味を持つ「range」を組み合わせて「wide-ranging」と表現します。「多岐にわたる〇〇」と表現したい場合は、「wide-ranging 〇〇」と後に続くように付け加えましょう。

  • 「wide-ranging」・・・”多岐にわたる”、広範囲にわたる、多項目に及ぶ

例文:
「wide-ranging commission」・・・多岐にわたる依頼
「wide-ranging effort」・・・多岐にわたる取り組み

「various」や「diverse」でも近い意味を表現できる

「多岐にわたる」に近い意味を表す英語なら、「various」や「diverse」も使えます。

  • 「variously」・・・(種類が)さまざまな、多様な、多方面な
  • 「diverse」・・・多様な、異なった、種々の

まとめ

「多岐にわたる」は、3、4つ以上の複数の物事が多方面に分かれていることを意味する言葉です。「わたる」を“渡る”や“亘る”と表記しているケースが見られますが、それぞれ使用するべきではない理由があるため一般的にはひらがなが使われています。

「多岐にわたる」は少し形式ばった言葉なため、ビジネスなどフォーマルな場面での使用頻度は高いです。意味がわからないことで恥ずかしい思いをしないよう、使い方も含め覚えておきましょう。