「頭が下がる」という言葉はビジネスシーンだけでなく、日常会話などで幅広く使われています。似たような言葉に「頭が上がらない」という言葉がありますが、意味は全く違い、場面によって使い分ける必要があります。間違った使い方をして失礼にならないよう参考にしてください。
「頭が下がる」の意味と類語を紹介
慣用句の一つで「敬服」を意味する
「頭が下がる」の意味は、「敬服する」「感服する」です。一つの独立語として成立している慣用句の一つで、相手に対して尊敬や感心している様子を表す際に使用されます。例えば、仕事を頑張っている相手に尊敬の気持ちを伝えたいとき、「○○さんの仕事への姿勢には、本当に頭が下がるよ」というように使います。
「頭が下がる」の類語は「恐れ入る」「尊敬する」など
「頭が下がる」の類語には「恐れ入る」「尊敬する」「感銘する」「一目置く」などという言葉があります。全て相手に対し、尊敬や感心する意味が含まれている言葉です。いつも「頭が下がる」を使うのではなく、会話の文脈に合わせて使い分けてみましょう。
「頭が上がらない」との違いとは?
「頭が上がらない」は負い目を感じる際に使用
「頭が下がる」とよく似た語感を持つ「頭が上がらない」という言葉ですが、意味は違ってきます。「頭が上がらない」とは本来ならば対等な立場にあるはずなのに、自分の犯した失敗や相手への恩があるため、負い目を感じている際に使われます。尊敬や感心の気持ちからくる「頭が下がる」とは、自分の置かれている状況が異なってきます。
単に上司と部下といった立場上、権力の差があり逆らうことができない場合も「頭が上がらない」を使うことができるので、場面によって意味を汲み取らなければなりません。
「頭が下がる」との使い分け方
「頭が下がる」と「頭が上がらない」は意味が違うためシーンによって使い分ける必要があります。例えばあなたの配偶者が、家事や子育てをしつつ仕事にも就いており、収入にも差がない場合「頭が上がらない」を使います。
本来なら対等な立場の夫婦という関係ですが、家事や育児を配偶者に任せているという恩があるため、「頭が下がる」ではなく「頭が上がらない」を使います。
「頭が下がる」を使う際の注意点
目上に対し使うと失礼に
「頭が下がる」という言葉を目上に使うことは、失礼に値する場合があります。初めに説明したとおり、「頭が下がる」という言葉は「尊敬」や「感心」という意味を持つため、元より尊敬の対象である目上の人へは適切ではないということです。上司へ尊敬の言葉を告げたいのであれば、上記で紹介した類語や「お勉強させていただきます」を使いましょう。
ビジネスマナーとして目上の相手を褒めるという行為は、相手に対し失礼という考え方もあります。相手の捉え方により、人それぞれ違ってくるので使ってはいけないと断言することはできませんが、そういう考え方もあるということを頭に入れておきましょう。
第三者に語る際は目上に対して使える
目上の人に対して「頭が下がる」は不適切である場合があることを説明しましたが、第三者へ語る際は問題ありません。例えば部下同士が、自分たちの上司について話す際に「○○部長の勤務態度には本当に頭が下がる」というように使えます。部長に対し頭が下がるという台詞を第三者に話しているため、失礼にはなりません。
「頭が下がる」を繰り返さない
「頭が下がる」という言葉を何度も繰り返し使うことは避けましょう。何にでも当てはまることですが、同じ言葉を使うと会話がワンパターンになってしまいます。言い回しを変えるか類語を使うなど工夫して、同じ言葉を繰り返すことは避けてください。
「頭が下がる」の使い方・例文を紹介
「頭が下がる思いでいっぱいです」を使った例文
「頭が下がる思い」というのは、尊敬や感心する思いのことを表しています。例えば「○○さんの仕事に対する姿勢や熱意には、頭が下がる思いでいっぱいです。」というように使えます。
「頭が下がります」を使った例文
例えば目的のために努力をしている人を尊敬する場合「寝る間も惜しんで、夢のために努力している彼の姿勢には頭が下がります。」というように使えます。「夢のために寝る間も惜しんで努力する彼の姿勢に尊敬します」という意味の文章です。
「頭が下がる人」を使った例文
「頭が下がる人」というのは「尊敬できる人」という意味を表しています。例えば「彼は教師の中でも特に児童への愛が溢れており、周りよりも余計に頭が下がる人です。」というように使います。「周りの教師よりも、より一層尊敬できる人」という意味の文章です。
まとめ
日常会話でも使うことができる「頭が下がる」という言葉ですが、場面によっては失礼に値することもあります。不安な場合は類語を使うなどして、相手に不快な思いをさせないよう気を付けてください。「頭が上がらない」との使い分け方も難しいですが、社会人として間違った使い方をしないよう注意して使いましょう。