「さぞかし」の意味と使い方は?敬語の例文や類語・英語も解説

「さぞかし嬉しかったでしょう」というように、日常生活で頻繁に使われるのが「さぞかし」です。「そのような状態に違いない」の意味を表しますが、皮肉にも聞こえてしまう表現なので、使う場面や相手には気をつける必要があります。

ここでは「さぞかし」の意味と使い方、類語と英語表現などをまとめています。

「さぞかし」の意味と漢字は?

「さぞかし」の意味は「そのような状態に違いない」

「さぞかし」とは「そのような状態に違いない」という意味です。「さぞ」と言う言葉に強調を表す助詞の「かし」を付け加えた「副詞」になります。

「さぞ」と「かし」それぞれの意味は?

そもそも「さぞ」は直接的に見たり聞いたりしていない他人に対して、心情や状態を思いやり「きっとこうであろう」「そのような状態に違いない」という労りの気持ちを表すさまを指します。

また「さぞ」は「過去の自分の体験や経験から得た考えや知見を軸にものごとや状態を推測する」という意味があります。助詞の「かし」で「さぞ」の意味を強調しているため、ものごとや状態への推量の意が強まる時に使うのがベストでしょう。

「さぞかし」の漢字は「嘸かし」

「さぞかし」は漢字で「嘸かし」と書きます。「口」に「無」で「嘸」です。

「さぞかし」の使い方と短文例

思いやる気持ちで推測する時に使う

「さぞかし」は自分は体験していないが相手の置かれた状況や立場をみて「きっとこうであろう」と想像する時に使います。

「さぞかし」は相手の状況や状態、気持ちを推測する言葉ですが、ただ単純に想像をめぐらすのではなく思いやりをもって相手に共感するときに使うのが適切でしょう。辛い状況でも明るい状況でも、どちらの状況であっても「さぞかし」を使うことは可能です。

「さぞかし忙しいだろう」の例文

「転勤で関西の支社に行ってしまったが、慣れない土地で頑張っているといいですね」
「さぞかし忙しいだろうけど、彼なら大丈夫だよ」

他人の辛い状況を理解し思いをはせているさまを表しています。

「さぞかし幸せだろう」の例文

「同僚の〇〇さん、親の了解を得てやっと結婚できたみたいだね。」
「さぞかし幸せだろうね」

他人の満たされた心境を心から嬉しく思い、共感しているさまを表しています。

「さぞかし喜ぶだろう」の例文

「一人暮らしを初めてから離れて暮らす両親に初めてプレゼントを贈ったんだ」
「照れ屋なあなたが?それじゃあ、さぞかし喜ぶに違いないわね」

多少皮肉めいた感情をもって「さぞかし」が使われています。

「さぞかし」の敬語表現は?

「さぞかし」の敬語表現は全体でまとめる

「さぞかし」という言葉自体に敬語表現はありません。敬意を伝えたい場面では、尊敬語や謙譲語を使いましょう。

尊敬を使った表現

「会長のお母さまも、さぞかしお元気になられたことでしょう」
「今回のご旅行では、さぞかし充実されたことでしょう」

謙譲語を使った表現

「会長のお母さまも、さぞかしお元気になられたことと存じます」
「今回のご良好では、さぞかし充実されたことと存じます」

このように「さぞかし」の場合は、全体的に敬意が表れる文章にするようにしましょう。

「さぞかし」は失礼で皮肉に聞こえてしまう?

「さぞかし」は使い方を間違えると相手に「失礼」だと受け止められてしまうことがあります。

たとえば友達が海外旅行から帰国し、自分は海外に行ったことがないため不愉快な気分になっていたとしましょう。そこで「さぞかし、海外旅行は楽しかったでしょう」と言ったら、相手はどのような気持ちになるでしょうか?

「さぞかし」の正しい意味は「思いをはせて心中や状況を想像すること」ですが、状況によっては皮肉や嫌味だと受け止められてしまうこともあるため注意が必要です。

また「さぞかし」は目上の人に対しても失礼にあたることがあります。職場では上司や重役などに対し使うべき言葉ではないでしょう。

「さぞかし」の類語は?

「さぞかし」の類語は「現に」「実に」

「さぞかし」は強調の意を表す言葉であるため、類語としては「現に」「実に」「まったく」「それはそれは」「いかにも」「さだめし」などが挙げられます。状況や文脈の流れに合わせて適切な類語に置き換えてみるのも良いでしょう。

  • さぞかし辛い経験をしたことでしょう。
  • 実に辛い経験をしたことでしょう。
  • それはそれはつらい経験をしたことでしょう。

「さぞや」は「さぞ」に詠嘆の意を含めた類語

「さぞかし」の類語に「さぞや」があります。「さぞや」は「さぞ」に「や」という疑問と詠嘆の意を加えた言葉です。「ほんとうに」「そんなにも」「まあ」という意味があり、「さぞかし」より「驚きや感情の高鳴りが強い」時に使うのに適しています。

「さぞかし」は英語でどう表現する?

「さぞかし」は「surely」

「さぞかし」を「実に」「まったく」という意味合いでとらえると、英語表現は「surely」「I’m sure ~」「absolutely」「possitively」「certainly」などが適語でしょう。どれも協調を示す英語表現になり、状況の良しあしに関係なく使うことができます。

  • He was surely happy about it
    彼はさぞかしハッピーだったでしょう。
  • I am sure that she was so furious about my behavior
    私の素行にさぞかし憤慨しただろう。

「さぞかし」を中国語(中文)で見る

お隣中国では「さぞかし」を「一定是」「的确」と表現します。中国とビジネスのある方は覚えておくとよいでしょう。

まとめ

「さぞかし」は「さぞ」の後に助詞「かし」がついた言葉で、会話の内容を強調する時に副詞として使われます。目上の人や使い方によっては失礼と受け止められることがあるため、会話の中に用いる時は注意を払うようにしましょう。