「皆無」は「〇〇が皆無」といったように、何かがないことを表すときに使う言葉です。日本の人気ロックバンドが曲名に使ったことで、若い世代にも知られるようになりました。今回はそんな「皆無」の意味や使い方の例文、類語や英語表現などを解説していきます。「絶無」との違いもあわせて紹介します。
「皆無」とは?
「皆無」の意味は”全く存在しないこと”
「皆無」の意味は、“全然ないさま・全く存在しないこと”です。「単にない」ということを表しているわけではないので注意しましょう。
「皆無」は、名詞・形容詞的以外にも副詞的な使い方があります。その場合の意味は、「全く」や「さっぱり」、そして「残らず」や「全部」と表現されます。
「皆無」の読み方は”かいむ”
「皆無」の読み方は“かいむ”です。
「皆無」と「絶無」の違い
「絶無(ぜつむ)」は「皆無」と似た意味を持つ言葉です。
「絶無」の意味に「皆無」とあるように、この2つの言葉は同義語と言えます。しかし、それぞれを構成する漢字の意味を見ると、少しニュアンスの違いがあることがわかります。
「絶無」の『絶』には「絶える」や「途切れる」という意味があるため、「後にも先にも全くない」というニュアンスが含まれています。しかし、「皆無」の『皆』には「全部」や「すっかり」という意味しかないため、「絶無」のようなニュアンスはありません。内容に合わせ使い分けることで、より相手に詳しい情報が伝わります。
「皆無」の使い方と例文とは?
「皆無」は対象となる物事が少しもない時に使う
「皆無」は意味の通り、話の対象となる物事が少しもない時に使います。名詞・形容詞・副詞的な使い方で意味の表現が異なります。もし、“今後もずっとない”といったニュアンスを伝えたい場合は「絶無」の方が適切です。
「全く皆無である」は誤用
「全く皆無である」という表現をよく見かけますが、こちらは誤用です。なぜなら、すでに「皆無」自体には「全く」という意味が含まれているからです、二重否定になるので気をつけましょう。
「皆無」を使った例文
「皆無」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 「語彙力が皆無すぎる弟の将来が不安だ」
- 「私ができることはもう皆無に等しい」
- 「料理のセンスは皆無だと言われ、ショックを受けている」
- 「残念なことに、彼には何かを達成しようと思う心が皆無だ」
- 「夏バテのせいか何もしたくない。まさにやる気が皆無である」
「皆無」の類語とは?
類語①「零」はまったく無いという意味
意味は「ゼロ」「ものが全くないことを表す数字」です。「零」は、「皆無」のように“何かが全く存在しないこと”や”全然ないさま”を数字として表しています。
類語②無し」は何かがないことを表す
意味は「(存在・能力・経験などが)ないこと」「物や人などが存在しない」です。「無し」は、「皆無」と同じく“何かがないこと”を表しています。しかし、「全くない」といったニュアンスはありません。
「皆無」の対義語とは?
対義語①「充溢(じゅういつ)」は何かが存在し満ち溢れていること
「充溢」の意味は”満ち溢れること”です。「充溢」は「皆無」の“全く存在しないこと”に対して、“充分過ぎるほど存在し溢れている様子”を表しています。
対義語②「豊富(ほうふ)」は十分あること
「豊富」の意味は”ふんだんにあること・豊かであること”です。「豊富」も「皆無」の意味とは真逆で、“ふんだんに何かがある様子”を表しています。
対義語③「ある」は何かが存在していること
「ある」の意味は”(存在・能力・経験などが)あること・物や人などが存在している”です。「ある」は「皆無」の真逆の意味は持っていませんが、「ない」に対して単純に「ある」ということを表しています。使用頻度が非常に高い言葉です。
「皆無」の英語表現とは?
「皆無」の英語表現は”nothing at all”や”be zero to none”
「皆無」を英語にする場合は、“何も〜ない”を意味する「nothing」を使って「nothing at all」と表現します。また“ゼロ”を意味する「zero」と、“何も〜ない”を意味する「none」を組み合わせて「be zero to none」とも表現できます。
- 「nothing at all」・・・皆無、さっぱり、何にも
- 「be zero to none」・・・(可能性などが)皆無である、完全にゼロである
「皆無に等しい」なら”almost nonexistent”
「皆無に等しい」を英語にしたいなら、“存在しない”を意味する「nonexistent」を使って「almost nonexistent」と表現します。「皆無に等しい〇〇」の場合は、「「almost nonexistent 〇〇」と後に続くように単語入れましょう。
- 「almost nonexistent」・・・皆無に等しい、ないに等しい
まとめ
「皆無」は「全く存在しないこと」や「さっぱり」、「全部」を表す言葉です。「絶無」とは同義語ですが、厳密にはニュアンスに違いがあるため、伝えたい内容に合わせ使い分けることをおすすめします。
二重否定の表現「全く皆無だ」は誤用です。すでに「皆無」には“全く”と言う意味が含まれているので、間違えて使わないよう注意しましょう。