「牧歌的」の意味とは?使い方の例文や類語・対義語と英語も解説

「牧歌的」は、ゆっくりと時間が流れているような場面をイメージさせる言葉です。緑豊かな田園風景で、どこからともなく牧歌が聞こえてくる、そんな懐かしさを感じさせる表現でしょう。

今回は「牧歌的」の意味や使い方について詳しく解説していきます。「牧歌的」を使った使用頻度の高いフレーズや類語、対義語や英語表現もあわせて紹介します。

「牧歌的」とは?

「牧歌的」の意味は”素朴でのんびりした様子”

「牧歌的」の意味は、“牧歌が聞こえてくるような素朴でのんびりした様子”です。時間がゆっくりと流れているような印象を与えます。

「牧歌」には「牧人や農夫の生活を主題とする詩歌・歌曲」や「牧童が口ずさむ歌」という意味があり、この意味が素朴でのんびりした様子を表すもとになっています。

「牧歌的」の読み方は”ぼっかてき”

「牧歌的」の読み方は、“ぼっかてき”です。

「牧歌的にする」は不自然な表現

まれに「牧歌的にする」といったフレーズで使われていることがありますが、これは「牧歌的」の言葉の役割から考えると不自然な表現と言えます。「牧歌的」は、基本的にある状況や風景などを描写するために使う言葉です。そのため、「〇〇する」のような動詞を修飾する言葉としては適さず、表現も不自然になります。

動詞を修飾する場合は、「のんびり」などの副詞を使うようにしましょう。文法的にも正しく、表現も自然になります。

「牧歌的」を使った例文

「牧歌的」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「私の作業音楽は牧歌的な曲が多い」
  • 「牧歌的な環境が私の心を癒してくれた」
  • 「この牧歌的な風景にいつも助けられる」
  • 「将来は牧歌的な環境に住みたいと思っている」
  • 「牧歌的な社会の必要性を考える」
  • 「事業拡大のため、牧歌的な仕事の仕方を見直すことになった」

「牧歌的」の使い方・フレーズとは?

「牧歌的風景」「牧歌的な生活」で情景をあらわす

「牧歌的風景」とは、田舎の素朴さがあるのんびりした風景を指します。牧場風景に限らず、田園風景や田舎の要素がある風景全般に対して使える言葉です。たとえば「牧歌的風景を描いたスケッチ」といえば、緑豊かな農村や素朴な日常を描いた絵を指します。

「牧歌的な生活」とは、時間にゆとりがあり穏やかさのある生活を指します。都会にありがちな、いつも忙しなく時間に追われているような生活には使いません。

「牧歌的社風」は和気あいあいとした会社の雰囲気

ビジネスシーンでの使用例として「牧歌的社風」もあります。これは素朴でのんびりとしていること、社員・スタッフがピリピリせずに仕事をしているような雰囲気を指します。競争意識が強い会社には使わないでしょう。

「牧歌的な人・性格」は穏やかでのんびりとした人

「牧歌的な人・性格」とは、穏やかでのんびりした雰囲気や大らかさを持つタイプ、また気持ちが安定しているようなタイプを指します。常に行動しているようなエネルギッシュタイプとは違い、どこかしら一緒にいて落ち着くタイプに対して使うことがほとんどです。

「牧歌的な人・性格」はポジティブな意味合いで使う以外に、「田舎くさい」や「地味」、または「どんくさい」などネガティブな意味合いもあります。

「牧歌的な曲」はカントリーミュージックのような曲調

「牧歌的な曲」は、田舎の風景をイメージさせるような、また心が穏やかになるようなほのぼのとした曲を指します。具体的なジャンルで言うとカントリーミュージックが近いでしょう。クラブミュージックのようなテンポが速く、刺激的な曲には使いません。

「牧歌的なファッション」とは派手さのないデザイン

「牧歌的なファッション」とは、派手さのない落ち着いたデザインやカラー、またリラックスできるような作りのファッションを指します。奇抜なデザインのファッションには使いません。

「牧歌的」の類語とは?

「牧歌的」の類語は”長閑な(のどかな)”や”田舎風”

長閑な(のどかな)の意味は「静かでのんびりと落ち着いている様子」や「ゆったりと気長に構える様子」です。「牧歌的」のような“田舎の素朴さ”というニュアンスはありませんが、穏やかで時間がゆっくりと流れているような印象が似ています。

「田舎風」の意味は「田舎らしい様子」や「田舎の風習」です。「牧歌的」の素朴でゆったりとした印象が似ています。

「自然豊かな」も類語として使える

意味は、言葉の通りで「自然が豊かである様子」です。「牧歌的」という言葉は、牧人・農夫などが自然に囲まれた田舎で歌を口ずさんでいる様子を描写したことがもとになっています。「自然豊かな」は、そういった「牧歌的」が描写する風景と似ています。

「牧歌的」の対義語とは?

「忙しい(せわしい)」「目まぐるしい」が対義語

「忙しい(せわしい)」とは「忙しく休む暇もない様子」や「落ち着きがなく早い調子で続く様子」です。「牧歌的」にある“ゆったりとした時間”とは真逆の意味を表します。

「目まぐるしい」の意味は「変化が激しく対応できない」や「物の動きが早く目が回る様子」です。「目まぐるしい」も「牧歌的」の“のんびりしている様子”とは真逆の意味を表します。

「慌ただしい」は落ち着きがなく安定しない様子

「慌ただしい」の意味は「落ち着きがなく忙しそうな様子」や「状況の移り変わりが急で安定しない様子」です。のんびりとした様子とは対極にありますので、「牧歌的」の対義語と言えます。

「牧歌的」の英語表現とは?

「牧歌的」の英語表現は”pastoral”

「牧歌的」を英語にする場合は、“牧歌的な”や“田舎の”などの意味を持つ形容詞“pastoral”で表現します。名詞としての「pastoral」は「牧歌」を意味します。

pastoral
  • (形)牧歌的な、田舎の、田園生活を描いた、牧師の
  • (名)牧歌

「idyllic」でも表現できる

「牧歌的」は“牧歌的な”を意味する形容詞“idyllic”でも表現できます。「idyllic」には“素晴らしい”や“美しい”という意味もあることから、「pastoral」よりもポジティブな印象を与えます。

idyllic
  • (形)牧歌的な、田園詩(風)な、素晴らしい、美しい

まとめ

「牧歌的」は、詩的に表現する時や何かを描写する時に使うことが多い言葉です。その対象は幅広く、風景や雰囲気、社風からファッション・音楽までと多岐にわたります。

「牧歌的」は基本的にポジティブな意味合いで使いますが、場合によっては「田舎くさい」など相手を小馬鹿にするような意味合いで伝わってしまいます。相手を不本意に傷つけないよう、使い方には十分注意しましょう。