「於いて」(おいて)という言葉は普段からいろいろな場面で使われる言葉なので、どういう意味か混乱してしまったり、ついつい間違った使い方をしてしまっていることもあるかもしれません。そこでここでは「於いて」の意味と使う場合の注意についてご説明します。
「於いて」の意味と使い方
「於いて」は様々な使われ方をする言葉です。使われ方によって意味も少しずつ変化するので、ここでは「於いて」の使い方とそれぞれの意味をご説明します。
「於いて」の意味①「場所」
「於いて」とは場所を表します。「大会議室に於いて緊急会議を執り行います」とあれば、緊急会議を大会議室で行うことを表します。「大会議室で緊急会議を執り行います」でも問題ありませんが、それでは表現が簡素になってしまいます。堅苦しさや仰々しさを表現したい場合などに「於いて」を使うと効果的です。
「於いて」の意味②「時間」
「於いて」とは時間を表します。「1月1日に於いて新製品の発表を行います」とあれば、新製品の発表を1月1日に行うことを表します。場所を表す場合同様、「1月1日に新製品の発表を行います」でも意味は通じますが、「於いて」を使うことでより特別な雰囲気を演出することができます。
「於いて」の意味③「事柄」との関連を表す
「於いて」とはある事柄との関連を表します。「次回の報告会に於いて今回の事象についてご説明します」とあれば、報告会の場で説明することを表します。こちらも「於いて」を使うことで文書に堅苦しさや特別感を与える効果があります。
「於いて」の意味④「人物」との関連を表す
「於いて」とはある人物との関連を表します。「彼女に於いて非常に重要な問題だった」は「彼女には非常に重要な問題だった」と言い換えることができます。また「貴社に於かれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます」とした場合は、「貴社は~」という意味になります。つまり、「には」「は」をより丁寧に、またはより堅苦しくいう場合に「於いて」を使うことができます。目上の相手や敬意を表したい相手に対して使う場合は「於かれまして」と丁寧に言い換えます。
「於いて」の読み方は「おいて」
そもそも「於いて」の読み方が分からない、という方もいるかもしれません。「於いて」は「おいて」と読みます。もともとは「置く」という意味の「置きて」の音が変化して「おいて」という言葉になりました。
「於いて」を使う時の注意
「於いて」を使う際に、いくつか注意したいことがあります。
「置いて」は間違い
「於いて」の語源は上でもご説明したとおり、「置く」という言葉です。だからといって「置いて」と書くのは間違いです。「於いて」を耳でしか聞いたことがなく、「置いて」と書き間違えられているケールは意外に多いので注意しましょう。
「於」は常用漢字ではない
実は「於」は常用漢字ではありません。そのため法令や公用文書で使うことは禁止されています。普段のメールや手紙、案内状などの中で使うのであればそこまで神経質になることはありませんが、「おいて」とひらがなで書くよう意識した方がいいでしょう。
「於いて」と「於て」どちらが正しい?
「於いて」という言葉は「於て」と書かれることもあります。どちらが正しいか迷うこともあるかもしれません。
「おいて」と使うのが無難
先ほども述べたように「於」という漢字は常用漢字ではないため、「於いて」「於て」と漢字にするのではなく「おいて」と平仮名で記載することが、一般的な使い方になります。一方で、「常用漢字」でない漢字を使うことが禁止されているわけではないため、文章においては「於いて」と漢字を用いられることも少なくありません。
「於いて」が多いが、「於て」も間違いではない
送り仮名については、明確な決まりがないため、「於いて」「於て」のいずれも用いることは可能です。辞書によっては「於て(於いて)」や「於いて/於て」などと書かれているものもあります。
ただし、昭和34年内閣訓令第1号、昭和48年内閣訓令第2号によって示されている「送り仮名の付け方」によると、「動詞の活用形又はそれに準ずるものを含むもの」の場合、「送り仮名の付け方によって送る」とされているため、「於いて」が「置く」から成り立っていることを考えると、「於いて」とするのが一般的と捉える考え方もあります。
一方、上記の訓令には、「読み間違えるおそれのない場合」は「送り仮名を省くことができる」ともされているので、「於て」が必ずしも間違えとも言えないことがわかります。
このように、「於いて」も「於て」もどちらでも間違いではないと言うことになります。送り仮名の付け方は時代によって変化することもあるので、「於いて」の基本的な書き方も変わっていくかもしれません。
「於 ○○」はどういう意味?
「於〇〇」とは場所や時間を表しています
手紙や案内状などに「於 公民館第1ホール」「於 4月5日 13:00」と書かれているのを目にしたことがある人も多いでしょう。この「於」も「於いて」と同じように、場所や時間を表しています。記号のようなものなので基本的に声に出して読むことはありませんが、あえて読むとすれば「公民館第1ホールにおいて」、「4月5日 13:00において」となります。
まとめ
「於いて」の意味や使う時の注意についてご紹介しました。「あの時使われていた『於いて』はこういう意味だったんだ!」と納得いただけたでしょうか?また間違った使い方をしてしまっていた心当たりがある方もいるかもしれません。ここでご紹介した内容を今後のビジネスシーンで活かしてください。