「情緒的」の意味や使い方は?「叙情的」との違いや類語なども解説

「情緒的」は、物事を理性的ではなく感情的に捉えるような要素のある出来事・雰囲気などに使う言葉です。文章や会話中では「情緒的な人」などといった形で使われます。今回はこの「情緒的」の意味や使い方の例文、類語や対義語、英語表現までを詳しく解説していきます。「叙情的」との違いや「情緒的」を使ったフレーズもいくつか紹介します。

「情緒的」とは?

「情緒的」の意味は”様々な感情などを抱かせる性質を持ったもの”

「情緒的」の意味は、“様々な感情などを抱かせる特殊な性質を持ったもの”です。「情緒的」は、以下の2つの言葉で構成されています。

「情緒」と「的」の意味

  • 情緒(じょうちょ)

物事に触れて起こる様々な感情、またその感情を起こさせる特殊な雰囲気

  • 的(てき)

→そのような性質を持った心の動きや思っていることを表す


「情緒的」は、対象となる物事に触れることで人の心や感情が揺り動かされる性質、または雰囲気があるものを表します。頭で理解するような性質・雰囲気ではありません。

「情緒的」の読み方は”じょうちょてき”

「情緒的」の読み方は“じょうちょてき”です。

「情緒的」は使い方次第で印象が変わる

「情緒的」は、以下のように2つのニュアンスを持ちます。

「情緒的」が持つ2つのニュアンス

  1. ある物事に触れることでほのぼのとした良さを感じる
  2. 一時的に理性を失い、感情をむき出しにする


「情緒的」は、どちらかというと1つ目のニュアンスで知られていることが多い言葉です。1つ目の場合、 しみじみと味わい深く感じているような印象でネガティブな要素はあまり感じられません。しかし「情緒的」には2つ目のニュアンスのように、「理性が通じず感情で動く人」のようなネガティブな要素があります。使い方次第でまったく違う印象を与えるので注意して使いましょう。

「情緒的」の使い方と例文とは?

「情緒的」は感情や感覚で物事捉える時に使う

「情緒的」は、頭で考えるような捉え方ではなく、心でしみじみと感じるような感情や感覚を中心として物事を捉える時に使います。基本的に「情緒的(な)〇〇」や「〇〇は情緒的である」など、対象となる物事と一緒に使います。

「情緒的」を使った例文

「情緒的」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「論文には、情緒的な文章よりも論理的な文章が求められる」
  • 「情緒的雰囲気のある街を歩くことが好きだ」
  • 「我が社が大事にしていることは、顧客と情緒的な繋がりを築くことだ」
  • 「どうして彼は情緒的な会話の仕方しかできないのだろうか」
  • 「経験を積み、あらゆる失敗を乗り越えやっと情緒的独立を果たした」
  • 「このストレス社会で情緒的健康を保つことは難しいのかもしれない」
  • 「情緒的な性格が仇となり、バイトの面接に落ちた」
  • 「私は情緒的な風景を描くことが得意だ」
  • 「この作品はなんて情緒的なんだ!」

マーケティング用語「情緒的価値」と「機能的価値」の違いとは?

2つの言葉の違いは「どの価値を重視しているか」

「情緒的価値(じょうちょてきかち)」と「機能的価値(きのうてきかち)」は、マーケティング用語で頻繁に使われることが多い言葉です。この2つが重視している価値には、以下のように決定的な違いがあります。

  • 情緒的価値・・・消費者の感情面を重視している
  • 機能的価値・・・機能面や便宜性を重視している

「情緒的価値」は、人の心や感情が揺り動かされる性質・雰囲気を意味する「情緒的」という言葉が入っていることからわかるように、消費者の心理を動かすような価値に重点を置いています。つまり、機能やコストよりもブランドストーリーやデザイン性などを大事にします。

「機能的価値」は「情緒的価値」とは対照的で、特定の人の嗜好よりも誰が使っても便利であるという点に重点を置いています。つまり、デザイン性よりもコストパフォーマンスが良く、機能的にも優れていることを大事にします。

「情緒的」の類語とは?

「情緒的」の類語1:感傷的

「感傷的(かんしょうてき)」の意味は「感情が異常に刺激されやすい様子」、「感情が動かされやすく涙もろくなっている様子」です。「情緒的」の感情が揺り動かされる性質と似ています。「感傷的」には、ほのぼのとしたニュアンスはありません。

「情緒的」の類語2:風情のある

「風情のある(ふぜいのある)」の意味は「独特の趣や味わいがある様子」、「気配がある様子」です。「情緒的」のように、様々な感情を抱かせる性質を持っている言葉です。しかし「風情がある」には、“感情をむき出しにする”のようなネガティブなニュアンスはありません。

「情緒的」の類語3:叙情的

「叙情的(じょじょうてき)」の意味は「自分の感情をありのまま表す性質や傾向」です。「叙情的」は、気持ちや感情などがじわじわと表に現れるような物事を表す時に使います。頭で考えたことではなく、心で感じた感覚や感情を中心とした性質が「情緒的」と似ています。

「情緒的」の類語4:エモい

「エモい」の意味は「感情が動かされた状態」、「感情が高ぶった強い心の動き」です。「エモい」は「エモーショナルな(感情的な)感じがする」を短くした現代語であり、「感傷的」と同じく感情が揺り動かされる性質が似ています。

「情緒的」の対義語とは?

「情緒的」の対義語1:現実的

「現実的(げんじつてき)」の意味は「現実のものであるさま」です。「現実的」は「情緒的」とは異なり、感情や理想、夢がない様子を表します。つまり、感情が揺り動かされる性質がないので対義語と言えます。

「情緒的」の対義語2:論理的

「論理的(ろんりてき)」の意味は「きちんと道筋を立てて考えさま」です。「論理的」は感情ではなく、頭で考えたことが中心となっています。感情によって左右されないという点で考えると対義語と言えます。

「情緒的」の対義語3:理性的

「理性的(りせいてき)」の意味は「冷静に理性の判断に従うさま」、「感情や本能に動かされないさま」です。意味の通り、「理性的」は「情緒的」が持つ“感情などに動かされる”といった性質に支配されない様子を表すため対義語と言えます。

「情緒的」の英語表現とは?

「情緒的」の英語表現は”emotional”と”emotionally”

「情緒的」を英語にする場合、“情緒の”や“感情的な”を意味する形容詞「emotional」、または副詞の形をとった「emotionally」を使うことで日本語に近い意味を表現できます。

  • 【emotional】・・・(形)情緒の、感情的な、感情に動かされやすい
  • 【emotionally】・・・(副)感情に動かされて

「affective」でも表現できる

「情緒的」は、“情緒的な”や“感情的な“を意味する形容詞「affective」を使っても表現できます。

  • 【affective】・・・(形)情緒的な、感情的な、情動の

【情動(じょうどう)】・・・怒りや悲しみ、喜びや恐れなどの一時的かつ急速な感情の動き

まとめ

「情緒的」は、「様々な感情などを抱かせる性質を持ったもの」という意味を表す言葉です。「情緒的」には大きく分けて性質の異なる2つニュアンスがあるため、使い方次第でネガティブな印象を与えてしまうので注意して使う必要があります。

ビジネスシーンから日常会話まで幅広く使われる「情緒的」は、自由に使いこなせようになっておくべき言葉です。曖昧な理解だった方は、使い方も含め改めて確認するといいでしょう。