「丁重」の意味と使い方は?「丁寧」との違いや対義語も紹介

ビジネスの場を始めとして、冠婚葬祭など、かしこまった場では度々目にする「丁重」という言葉。なんとなく使ってはいるけれど、実のところ正しい意味と使い方を知らない、という人は多いのではないでしょうか?今回は「丁重」の意味と正しい使い方、よく似ている「丁寧」との違いや、他の類語・対義語もご紹介します。



丁重の意味とは?

礼儀正しく、注意が行き届いている様子のこと

丁重の意味は、「礼儀正しく、手厚いこと」または、「注意が行き届いていること」となります。「丁重なもてなし」や「丁重に扱う」など、相手や自分の動作を表すときに使われる言葉です。一方で、「あの人は丁重だ」といった、ものや人を表す場合には使われません。

ビジネスや結婚式など、公の場で使われることが多く、プライベートな場面では同じような意味で「丁寧」という言葉を使う方が一般的です。

「丁重語」という敬語の一種

敬語といえば尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つだと思われがちですが、近年文化審議会が「敬語の指針」を答申し、敬語は新たに「尊敬語・謙譲語・丁重語・丁寧語・美化語」の6つに分類されたことをご存知でしょうか?よって、「丁重」はそれ自体が言葉として使われるだけでなく、「丁重語」として、敬語の名称の一つとして使われるようにもなりました。丁重語は、「参る・申す」といった自分の動作をはじめ、「切磋・小社」など、相手に対して自分自身をへりくだるときに使う表現です。

丁重の使い方

読み方は「ていちょう」

社会人経験が長い方なら間違えることはないでしょうが、丁重の読み方は「テイチョウ」です。「チョウジュウ」でも「テイジュウ」でもありません。社会人なら使いこなせるべき基本的なビジネス用語ですので、恥ずかしい思いをしないよう、しっかり覚えておきましょう。

「鄭重」と書かれることも

丁重はしばしば「鄭重」と書かれることもあります。ですが、「鄭」の文字が常用漢字ではないため、一般的に使われることは多くありません。日常的には、「丁重」の方を用いる方が無難でしょう。

鄭重の読みは「テイチョウ」だけでなく、「テイジュウ」とされる場合があるので注意が必要です。また、「鄭重」の場合、「丁重」と同じ「礼儀正しい、注意深い」という意味がある一方で、別に「何回も繰り返す」という意味もあります。

「丁重な」「丁重に」という使い方

丁重は、主に、相手や自分の動作を表すときに、その言葉の前に置いて用いられます。「な」や「に」をつけることで、動作を修飾する形容動詞として用いることができるのです。

例えば、「丁重なお心遣い」であれば、相手からの心遣いが礼儀正しく、手厚いことを表します。このとき、「丁重なるご厚意」というように変化させることも可能です。また、「丁重にお礼をする」のように、自分から相手への動作も、礼儀正しく、注意深い様子を表すこともできます。

目上の相手への丁重の使い方

「丁重語」は敬語の一種とお伝えしましたが、「丁重」という言葉を目上の相手に使うとき、尊敬語としての側面を持つこともあります。取引先や冠婚葬祭でのあいさつなど、相手の動作をはじめ、行為や言葉、態度に対して、礼儀正しく手厚いことを表し、感謝の気持ちを込めて使います。このとき、言葉の前に「ご(御)」をつけ、「ご丁重」として、相手への尊敬の念を表すのが一般的です。

例えば、「ご丁重なおもてなしを頂き、誠にありがとうございます」や、「御丁重なお手紙を頂きまして、嬉しく思います」といったような使い方です。取引先や上司など目上の人にはもちろんですが、冠婚葬祭などでは、目上・目下関係なく、厚意を受けたお礼として、「ご丁重」という言葉はよく使われます。

「丁寧」との違いは?

丁重と同じ意味の言葉として、「丁寧」が挙げられます。ビジネスの場だけでなく、友人同士との会話や、プライベートな私書など、カジュアルな場面で多く使われる「丁寧」ですが、「丁重」との違いはどこにあるのでしょうか?

「丁重」は相手を意識し、「丁寧」は自分を意識している

丁重と丁寧の意味について、大きな違いはほとんどありません。どちらも、「礼儀正しく、注意深く行き届いている」ことを表す言葉であり、同義語として分類されています。

意味合いとしてはほぼ同じですが、微妙なニュアンスの違いは存在します。それは、「相手を意識しているかどうか」という点です。「丁重」の場合、礼儀正しさや注意深さは、自分以外の相手に対する行動を表しています。一方で、「丁寧」が持つニュアンスは、自分の行動に対する礼儀正しさや注意深さを表し、手を抜かずに細やかな配慮ができている、という意味を持っています。

「丁重」と「丁寧」の使い分け

丁重が「相手を意識している」言葉で、丁寧が「自分を意識している」言葉であるため、両者の使い方にも違いが生じます。例えば、相手に対して自分の行動を「丁重にお断りする」とは言いますが、「丁寧にお断りする」とは言いません。これに対して、「丁寧に文章を書く」とは言いますが、「丁重に文章を書く」とは言いませんね。

丁重の類語と対義語

丁重の類語

丁重の類語には、丁寧をはじめ、礼儀正しい、懇ろ、恭しい、という言葉があります。中には、「慇懃(いんぎん)」や「謹厚(きんこう)」、「折目高(おりめだか)」という聞き慣れない言葉もありますが、どれも礼儀と丁寧さを表す言葉です。使う場面を間違えると、不自然に聞こえたり、時には慇懃無礼な表現になったりする危険性もありますので、よく使う敬語表現はしっかり予習しておきましょう。

丁重の対義語

丁重の対義語には、「粗略」という言葉があります。意味は礼儀正しさ、丁寧さの反対で、「物事の扱いがおろそかで、ぞんざい、いい加減なこと」となります。慇懃や謹厚と同じで聞き慣れない言葉ですが、堅いビジネス文章ではしばしば使われる言葉です。合わせて覚えておくと良いでしょう。

丁重を用いたビジネスで役立つ例文

相手にお礼を言うとき

「先日はご丁重なるお手紙を頂戴し、痛み入ります。」
「ご丁重なお励ましの言葉を賜り、社員一同大変感謝しております。」
「ご丁重なお祝いのお品を頂きまして、至極恐悦です。」

断りの連絡を入れるとき

相手の申し出や提案に対して、断りの意を伝える時、「丁重にお断りする」とよく言いますね。これは「丁寧に辞退することを伝える」ということであり、相手に直接「丁重にお断りさせて頂きます」と言うのはかえって失礼にあたります。断りの連絡を入れるときは、以下のような例文を使うと良いでしょう。

「せっかくの申し出を大変申し訳ございませんが、今回は謹んで辞退させて頂きます。」
「大変遺憾に存じますが、今回はお見送りさせて頂きます。」
「お誘いを頂き至極恐悦に存じますが、今回はご遠慮させて頂きます。」

まとめ

「丁重」という言葉は、ビジネス文書や冠婚葬祭など、かしこまった場でしか耳にすることがなく、あまり馴染みがないという人も多いかもしれません。しかし、目上の人を相手にする場合や、大切な挨拶をする場面では、使いこなせた方がビジネスパーソンとしてのスキルは格段に上がります。本記事を参考にして、「丁重」への理解を深め、社会人としての表現の幅を広げましょう。