「慰労」の意味とは?慰労の言葉を使った文例・類語も解説

「慰労」は、頑張った人やお世話になった人へ贈る言葉として使われる言葉です。ビジネスシーンで用いられることが多く、直接言葉にする以外にメールなどの文章の形をとることもあります。今回はこの「慰労」の意味や使い方、類語や英語表現までを詳しく解説していきます。具体的な文例や「慰安旅行」との違いについても紹介します。

「慰労」の意味や読み方とは?

「慰労」の意味は”苦労をいたったり感謝の意を表すこと”

「慰労」の意味は、“苦労をいたったり感謝の意を表す”ことです。他人の肉体的・精神的な苦労、または努力に対し感謝しいたわることを指す言葉です。「慰労」を構成するそれぞれの意味をみると、より意味が理解しやすくなります。

「慰労」を構成するそれぞれの意味

  • 「慰(い)」・・・なぐさめる、人の心を和やかに落ち着かせるもの
  • 「労(ろう)」・・・精を尽くして働く、またはそのための苦労や努力、長年勤め上げた大きな功績と努力があること


「慰労金」の意味は”退職金や退職手当”

「慰労金(いろうきん)」とは、一生懸命働いてきたことや残してきた功績に対しねぎらいの意味を込めて贈られる金銭を意味します。ほとんどの場合、退職時に贈られる金銭を指します。「退職金」や「退職手当」と表現されることもあります。

「慰労会」の意味は”成果や業績などをねぎらう会”

「慰労会(いろうかい)」とは、仕事で何かしらの成果や業績をあげたとき、または大きなプロジェクトを終えた人をねぎらう時に開かれる会のことを意味します。「打ち上げ」や「お疲れさま会」と表現されることもあります。

企業によっては、長年勤めてきた方や定年退職者に対しねぎらいの意味を込め会を開くこともあります。

「慰労」の読み方は”いろう”

「慰労」の読み方は“いろう”です。

「慰労」の使い方と例文とは?

「慰労」は上司など目上の人には使わない

「慰労」に含まれている「労う(ねぎらう)」は、現代では同等の人や目下の人に対して用いられる言葉とされています。そのため、「労う」を含んだ「慰労」も自分より立場が上の人に対して使うことは失礼にあたります。「慰労」を目上の方に使う場合は、後ほど紹介する別の表現を使うようにしましょう。

「慰労」を使った例文

「慰労」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「それでは、〇〇部△△課の慰労会を始めます」
  • 「明日、プロジェクトリーダーの慰労会を行います」
  • 「激闘を繰り広げた選手たちを慰労しよう」
  • 「退職となった〇〇部長のために慰労会を開くことにした」
  • 「今日は、嫌な顔一つせずついて来てくれた初期メンバーのための慰労会だ」

よく使う”慰労の言葉”を使った文例とは?

目上の人へ使う慰労の言葉

ここでは、人を慰労する時に使う具体的な言葉をいくつか紹介します。まずは、上司などの目上の人に使う場合のフォーマルな言葉です。

  • 「心より御礼申し上げます」

→感謝の気持ちを伝える時に使います。

  • 「誠にお疲れさまでございました」

→何かしらの作業に従事していた相手に対し、ねぎらいの意味を込めて使います。

  • 「大事になさってください」

→怪我や風邪などの病を負っている相手をねぎらう時、または回復を願っているということを伝える時に使います。

近しい間柄へ使う慰労の言葉

次は、自分と同等、または目下の人などに使う時の言葉です。近しい間柄の場合は、フォーマルよりもカジュアルな表現の方が嫌みがなく気持ちが伝わりやすいです。

  • 「ありがとう(ございます)」

→感謝の気持ちを伝える時に使います。

  • 「お疲れさま(でした)」

→何かしらの作業に従事していた相手をねぎらう時に使います。

  • 「頑張っているね」

→何かしらの作業に従事している相手の苦労や努力をいたわる時に使います。

「慰労旅行」と「慰安旅行」との違いとは?

「慰労旅行」は家族旅行なども含まれる

「慰労旅行(いろうりょこう)」は、日頃の努力や勤続に対して感謝しいたわるための旅行を指します。とくに旅行する対象者に制限はないため、社員旅行以外にも家族や友人との旅行も含まれます。

「慰安旅行」は企業やある団体の旅行

「慰安旅行(いあんりょこう)」は、日頃の努力や成果などに対して感謝しいたわるための旅行を指します。「慰安旅行」は「慰労旅行」と違い、企業や団体旅行と限定されているため、組織が関係していない旅行に対しては使えません。

慰安(いあん)】・・・日頃の努力や苦労をねぎらい楽しませること

「慰労」の類語とは?

類語①「労い」は“慰める”というニュアンスが同じ

「労い(ねぎらい)」の意味は「相手の苦労に同情し親切に接すること」です。「労い」には、「慰労」に含まれている“慰める(なぐさめる)”というニュアンスがあるため類語と言えます。

類語②「労り」はほぼ同じ意味の類語

「労り(いたわり)」の意味は「労をねぎらう」、「慰労する」です。「労り」の意味に「慰労する」があるように、言い換え表現としても使えます。類語というより同義語と言える言葉です。

労(ろう)】・・・精を尽くして働く、またはそのための苦労や努力、長年勤め上げた大きな功績と努力があること

「慰労」の英語表現とは?

「慰労」の英語表現は”gratitude”や”appreciation”を使う

「慰労」を英語にしたい場合は、「gratitude」または「appreciation」の単語を使うと日本語と近い意味を表現できます。

  • 「gratitude」・・・【名】(人に対する)感謝の念、(ある行為などに対する)謝意
  • 「appreciation」・・・【名】感謝、(好意的な)批評

※どちらの単語も、「慰労」の“相手に感謝の意を表す”という意味を表現している。

「慰労会」「慰労金」の英語表現

「慰労会」と「慰労金」の英語表現は以下の通りです。

  • 慰労会・・・「a party given in appreciation of one’s services」

「appreciation」・・・【名】感謝、(好意的な)批評
「service」・・・【名】功績、功労、骨折り

  • 慰労金・・・「a bonus」「a reward for one’s services」「retirement allowance」

「a bonus」・・・賞与、特別手当、ボーナス
「a reward for one’s services」・・・慰労金
「a retirement allowance」・・・退職手当

まとめ

「慰労」は、他人の肉体的・精神的な苦労、または努力に対し感謝しいたわることを意味する言葉です。ビジネスシーンでの使用頻度はとくに高く、口頭以外にもメールなどの文章で伝えることもあります。

「慰労」には同等な立場や目下の人に使う“労う”という言葉が入っているため、基本的に上司などの目上の人には使いません。相手に失礼なことを言わないよう、このことは覚えておきましょう。