「三三九度」の意味とは?作法や流れ・お酒が飲めない時の対処法も

「三三九度」は結婚を決めた新郎新婦が行う神前式の儀式の1つです。「三三九度」には独特の作法があり、儀式に使われる道具1つ1つに意味があります。

今回は「三三九度」の意味や由来、別名・類語、英語表現などを解説していきます。作法や言葉・道具の意味、お酒が飲めない人はどうすればいいかについても紹介します。

「三三九度」の意味や由来とは?

「三三九度」の意味は”祝儀の際の献杯の礼法”

「三三九度」の意味は、“祝儀の際の献杯の礼法”です。具体的には、三つ組の盃(さかずき)を用いて、それぞれの盃で3回ずつお酒をすすめることを言います。

現在では神前挙式スタイル(日本風の結婚式)の際に、新郎新婦が夫婦になることを約束するため行われる日本独自の儀式とされています。正月の屠蘇の盃には、この三三九度方式の名残りがみられます。

  • 盃、または杯(さかずき)
    →酒を飲む時に使う小さな容器、酒を盛る器
  • 三つ組(みつぐみ)
    →3つで1組になっているもの
  • 屠蘇(とそ)
    →正月に1年間の邪気を払い長寿を願って飲む縁起物の酒、またはその風習

「三三九度」の『三』は割り切れることがない奇数であることから、「縁が切れない・途切れない」と日本で縁起の良い数とされてきました。別の説では、『三』は望みが叶うという意味を持つ「満つ・充つ(みつ)」とも読めるため縁起がいいとも言われています。

「三三九度」に使う3つの盃にも意味がある

「三三九度」に使う3つの盃はサイズが異なり、それぞれ以下のような意味を持っています。

三三九度の盃の意味

  • 小さい盃
    →過去を意味する。先祖に対する新郎新婦の巡り合わせの感謝の意が込められている。
  • 中くらいの盃
    →現在を意味する。二人力を合わせ末永く生きていくという意味が込められている。
  • 大きい盃
    →未来を意味する。両家親族の安泰や子孫繁栄の意味が込められている。

※別の説では、三三九度の3つの盃は「人」「地」「天」を表しているとも言われている。

「三三九度」の由来は”室町時代の武士の風習”

「三三九度」の由来は、古くからの作法などを尊重する“室町時代の武士の風習”から始まったと言われています。祝儀の際に盃を交わすこの風習は次第に庶民に浸透し、江戸時代に入ってからは現在のように婚礼の儀式として行われるようになりました。

ちなみに、「三三九度」は、室町時代に小笠原流と伊勢流の2つの武家礼法によって基礎ができたと言われています。今となっては結婚式の儀式として知られていますが、基礎ができたばかりの頃は結婚式以外のおめでたい席で行われていました。

「三三九度」の流れと作法とは?

「三三九度」の流れ

「三三九度」は以下のような流れで進行していきます。

三三九度の流れ

  1. 巫女さんがお銚子を使って、1つの盃にお神酒(おみき)を3回に分けて注いでいく
  2. 注がれた本人は、盃に注がれたお神酒を3回に分けて口にする
  3. ①と②の流れを三段に重ねられた小・中・大の盃の順に、一つの盃で新郎・新婦交互に3回、合計9回やり取りをする


現在では、3回に分けてお神酒を口にする順番が以下のように短縮され始めています。

【お神酒を口にする順番】

古くからの作法

  • 一の盃(小):新郎→新婦→新郎
  • 二の盃(中):新婦→新郎→新婦
  • 三の盃(大):新郎→新婦→新郎

現在の作法

  • 一の盃(小):新郎→新婦
  • 二の盃(中):新婦→新郎
  • 三の盃(大):新郎→新婦

「三三九度」の盃の持ち方

盃は、指を綺麗に揃え親指は手前、残りの指は反対側に添えた形で持ちます。指と指の間に隙間ができても間違いではありませんが、神聖な儀式ですので美しく見えるよう意識するといいでしょう。

「三三九度」の飲み方の作法

盃に注がれたお神酒は3回に分けて少しずつ飲んでいきます。この方法以外にも、一口目・二口目は口につけるだけで三口目ですべて飲む方法もあります。どちらとも間違いではありません。

盃に注がれたお神酒(神前に供える酒)を3回に分けて飲むことには、以下のような意味が込められていると言われています。

  • 1回目:神への感謝と誓い
  • 2回目:家族への感謝と誓い
  • 3回目:招待客への感謝と誓い

「お酒が飲めない場合」は口につければよい

盃に注がれたお神酒はすべて飲み干すという決まりはありません。お酒が飲めない方や苦手な方は口に含む程度、または口につける程度で問題ありません。

「三三九度」の類語・言い換え表現とは?

「三三九度」の別名・言い換えは”夫婦杯・三献の儀・献献の盃”

「三三九度」の言い換え表現には以下の3つがあり、どれもほぼ同じ意味を表します。

  • 夫婦杯(めおとさかずき)
    →男女が同じ盃の酒を飲むことで夫婦になることを約束をすること
  • 三献の儀(さんこんのぎ)
    →神前挙式の儀式の一つ、盃の酒を3口飲み干すのが習わし
  • 献献の盃(こんこんのさかずき)
    →婚礼などでの誓いの酒のこと

「三三九献」は同義語

「三三九度」は1つの盃を3回ずつ、合計9回のやり取りがあることから「三三九献(さんさんくこん)」と言われることもあります。

「杯をする」も「特別な時にお酒を飲む」という意味

「杯をする(さかずきをする)」の意味は「約束・誓い・別れなどのしるしに杯を交わすこと」です。「杯をする」は「三三九度」のように、何かしら特別な出来事や節目などにお酒を飲む意味合いがあります。異なる点は、祝儀以外の出来事でも杯を交わすことです。

「婚約」は夫婦になるという意味が似た類語

「婚約(こんやく)」の意味は「結婚の約束をする」です。「婚約」は、「三三九度」のように夫婦になることを約束する意味合いがあります。正式な儀式ではありませんが、「婚約」の場合はお酒ではなく婚約指輪を交わすことが多いです。

「三三九度」の英語表現とは?

「三三九度」の英語表現は”exchange nuptial cups”

「三三九度」を英語にする場合は、“交わす”という意味を持つ動詞「exchange」と、“婚礼の”という意味を持つ形容詞「nuptial」を組み合わせて“exchange nuptial cups”と表現します。

  • 「exchange nuptial cups」・・・三三九度(の盃を交わす)、夫婦固めの盃を交わす

「exchange cups of sake at wedding」でも表現できる

「exchange nuptial cups」よりもカジュアルな表現なら、「exchange cups of sake at wedding」を使いましょう。すでに「酒」は、英語で「sake」と呼ばれているので外国の方にも通じます。

  • 「exchange cups of sake at wedding」・・・三三九度(の盃を交わす)

まとめ

「三三九度」は、室町時代から続く結婚式などの祝儀に行われる神聖な儀式の1つです。「三三九度」専用の道具『盃』やその盃に注がれたお神酒の飲み方などにはそれぞれ意味があるため、ただの祝い酒とは異なります。「三三九度」は日本独自の儀式なので、意味や由来以外の作法などもあわせて覚えておきましょう。