「ご報告」「ご報告まで」の意味と敬語の使い方を解説(例文つき)

「ご報告いたします」「まずはご報告まで」「ご報告ありがとうございます」といった「ご報告」のことばはビジネスシーンで欠かせません。しかし報告に「ご」をつけるのか、つけないのか、「ご報告まで」で終わるのは失礼なのではないか、など迷いながら使っていませんか?「ご報告」について迷わないよう、解説します。

「ご報告」の意味と正しい使い方

「報告」の意味は「知らせる」

「ご報告」は「知らせる」という言葉の丁寧語です。

また「報告」にはニュアンスの異なる意味が二つあります。

  • 「告げ知らせる」
  • 「与えられた任務などを行った結果を述べること」

「報告」の使い方

「報告」の状況によって、どちらの意味となるかが判断されます。①の「告げ知らせる」という意味の報告は例えば株主に対して決算を報告する場合などになり、②の任務終了の際の報告は、例えば部下が上司に対して報告する際の意味となります。

「ご報告」は正しい敬語?

自分が相手に報告する際に、自分の動作なのに「ご」をつけてもよいのか、迷うことがあります。「ご」の意味を説明します。

「ご」の意味

接尾語の「ご」は、二通りの意味があります。「尊敬語」と「謙譲語」です。尊敬語として使う場合は、相手の動作に対して使う場合となります。「ご報告ありがとうございます」と相手の行った報告という行為に対して「ご」をつけ、尊敬の意を表します。

「ご報告します」の「ご」は謙譲の意味

自分が相手に報告するときにつける「ご」は謙譲語となり、相手に対するけんそんを表すことばになります。上司や取引先に対して「ご報告いたします」という表現は、間違いではありません。

上司に報告することを取引先に伝えるときの敬語表現

また、取引先の担当者から、あなたの上司に報告するように、と指示があった場合は「上司の〇〇に報告します」と返事をします。その時「上司の〇〇にご報告いたします」とするのは間違いです。取引先の方に対して、自分の上司への謙譲を表してしまっているからです。

よりていねいな言い方としては「上司に報告させていただきます」と「させていただく」を使用することにより、謙譲の気持ちを表します。

取引先の担当者にお礼を言うとき

調査などの業務を依頼していた取引先から報告があり、それにお礼を述べる場合は「ご報告ありがとうございます」と報告に「ご」をつけます。たとえ取引先の立場が当社より低い場合でも、「ご報告」と敬語を使うのがよいでしょう。常に相手を敬う気持ちを持つことで、円滑なコミュニケーションを保つことができます。

「ご報告まで」は正しい敬語?

メールの文面で「取り急ぎご報告まで」という言い回しをよく目にしませんか?少し雑な言い方のような気がしますが、部下が上司に報告するときや取引先に対して用いても失礼にならないのでしょうか?

「ご報告まで」の意味

「ご報告まで」は「ひとまず(取り急ぎ)このように簡単にご報告いたします」という意味で用いられることが多い慣用句です。報告内容の詳細は別の機会に行い、結果のみをまずメールで速報するというような場合です。親しい同僚に対して使うのであればよいかもしれませんが、上司や取引先に対しての結びのことばが「ご報告まで」と言い切りになってしまうと不躾な印象となります。

取引先や上司には使わない

おさまりのよい慣用句で耳に残るため、つい使ってしまいがちですが、「取り急ぎご報告まで」や「ご報告まで」のことばで文面を結ぶのは控えた方がよいでしょう。急いで一報を入れた、という気持ちは伝わるかもしれませんが、取引先や上司の気持ちを害してしまう可能性があります。

「ご報告まで」の別の言い方

ひとまずの報告をしたい場合は、「まずはご報告申し上げます」と丁寧なことばを使いましょう。詳細はまとまり次第お知らせすることを付け加えるとさらに丁寧になります。「まずは取り急ぎのご報告までさせていただき、詳細は追ってお知らせいたします」などとします。

「ご報告」を使った言い回し

状況別に、「ご報告」を使った言い回しをまとめて紹介します。

自分が報告するとき

  • ご報告させていただきます
  • ご報告申し上げます
  • ご報告差し上げます

上司に報告することを取引先に伝えるとき

  • 上司の〇〇に報告させていただきます

「ご報告まで」を使いたい時のメール例文

  • まずは結果のご報告のみ失礼いたします。詳細は改めてとなりますので、恐れ入りますが少々お待ちください。
  • 以上取り急ぎご報告させていただきます。詳細は追ってメールさせていただきます。

「ご報告」の英語メールと件名は?

英語メールの文例

英語でメールを書く場合の文例を紹介します。

  • ~についてご報告します。 ⇒ I report about / of / on ___ .
  • 詳細は追ってメールでご報告します。 ⇒ I will report the details to you later by email.

英語メールの件名の書き方

「~についての報告」というメールの件名は次のように書きます。

  • ~の報告:Report about ___
  • ~に関する報告:Report of ___ / Report on ___

まとめ

相手に対する尊敬の意を表す場合と、相手に対する自分の動作をけんそんする場合のどちらも「ご報告」が使えます。しかし「ご」がついているからといって「ご報告まで。」という言い切りのことばは、ビジネスシーンでは失礼になることが多いため、別のことばに言い換えて使うようにしましょう。よく聞く慣用句でも誤った使い方がされている場合があります。違和感や疑問を持った場合はすぐに調べて、正しい敬語が使える社会人を目指しましょう。