「エンドユーザー」の意味とは?類語・対義語や関連用語も解説

「エンドユーザー」とは、意味を正しく理解しておくべき基本のビジネス用語のひとつです。今回は「エンドユーザー」の意味を、ITや不動産など各業界における具体的な例も含めて詳しく解説します。また、「エンドユーザーライセンス」など「エンドユーザー」を使った用語や、対義語・英語での表現についても紹介します。

「エンドユーザー」とは?

「エンドユーザー」の意味は”実際に商品を利用する人”

「エンドユーザー」の意味は、“実際に商品やサービスを利用する人”です。「商品やサービスを購入する人」ではなく、「実際に商品を使う人」を指す言葉とであるのは、商品の流通経路が関係しています。

たとえば、電化製品を購入する場合には、メーカーから商品を直接購入するのではなく、量販店など小売店を訪れて購入することが一般的。メーカーから直接商品を購入するのは卸売業者で、卸売業者からは小売店が商品を購入して販売します。したがって「エンドユーザー」は、最終的に自宅で電化製品を使用する人をさしています。

「消費者」「顧客」とは意味が異なる場合もある

「消費者」とは、「購入する人」を意味する言葉。たとえば、商品を購入してプレゼントをする人は実際に商品を使わないことから、「エンドユーザー」と「消費者」は同じでない場合があります。

一方、「顧客」(こきゃく)とは、「自社の製品やサービスを使用している人」を意味しています。「顧客」には「リピーター」の意味も含まれる点や、これから購入の可能性がある人に対しても使うと言う点が、「エンドユーザー」とは異なります。

「エンドユーザー」の略語は”EU”

「エンドユーザー」の言葉は、省略すると「EU」。しかし「EU」と言う言葉は、「欧州連合」の略語として一般的に使われている言葉です。また、企業によっては略語を使わない場合もあるため、はじめての取引先との会話やメール・提出する書類などにおいては、使うことを避けるのがよいでしょう。

「エンドユーザー」の英訳は”end user”

「エンドユーザー」を英語に訳すると、「end user」となります。日本語のカタカナ表現である「エンドユーザー」と同じ定義・同じ意味の言葉として使います。

「エンドユーザー」の類語とは?

「末端利用者」は”エンドユーザー”と同じ意味の日本語

「末端利用者」(まったんしょうひしゃ)とは、「エンドユーザー」と同じ意味を持つ日本語表現です。流通における「末端」の「利用者」であることを表しています。

「ユーザー」は”エンドユーザー”より対象範囲が広い

「ユーザー」と「エンドユーザー」は似た言葉ですが、対象とする範囲が違うため区別して使うことが必要です。「ユーザー」は、「実際に商品を利用する人」である「エンドユーザー」以外も含みます。たとえば、製造業における卸売業者・小売業者や、建築業におけるビルのオーナーなど、商品を購入するが実際に使わない人も「ユーザー」には含まれた、幅広くを対象とした言葉となります。

なお、「サブユーザー」と言う言葉は、製品を利用する「エンドユーザー」とは異なる意味を持っています。たとえばガス会社においては、「エンドユーザー」は自宅で実際にガスを使う人で、「サブユーザー」とは、ハウスメーカーやリフォーム店をさしています。

「エンドユーザー」の対義語とは?

「エンドユーザー」の対義語は”製造者”や”メーカー”

商品を実際に使用する「エンドユーザー」に対して、「製造者」や「メーカー」は商品を作り提供する反対の立場にいます。「エンドユーザー」の反対に位置する立場であることから「製造者」や「メーカー」を対義語と見なすことができます。

各業界における「エンドユーザー」とは?

IT業界においては「ソフトの利用者」

IT業界における「エンドユーザー」とは、「最終的にソフトを購入して利用する人」を意味しています。システム開発にとっては、発注の依頼元となる会社ではなく、実際にソフトやアプリを使用する人が「エンドユーザー」となります。

不動産業界においては「住宅に実際に住む人」

不動産業界においては、「エンドユーザー」と言う言葉は、戸建てやマンションなどの「住宅を購入して実際に住む人」の意味として使います。投資のためなどオーナーとして購入する人や、仲介の業者などは「エンドユーザー」とは呼びません。

建築業界においては「建物を利用する人」

建築業界においては、実際にその建物を「利用する人」を「エンドユーザー」と呼びます。デパートやスーパーなどの商業施設やオフィスビルの場合は、施設やビルのオーナーではなく、賃貸契約をして入居するテナントの人が「エンドユーザー」となります。

製造業においては「商品を使用する人」

先の説明で電化製品を事例とした通り、製造業においては「実際に商品を使用する人」を「エンドユーザー」と呼びます。メーカーにとって、卸業者や小売業者は、後ほどご説明する類語の「ユーザー」に当たります。

「エンドユーザー」の関連用語とは?

「エンドユーザーコンピューティング」

「エンドユーザーコンピューティング」とは、システムを実際に使う部門が中心となって、システムの構築や開発・運用を行うことを意味しています。社内の情報システム部門やシステム会社に外注するのでなく、「エンドユーザー」である部門担当者自身が、開発や運用を行うことを表しています。

なお、エンドユーザーコンピューティングの英語表現は「End User Computing」。したがって、「EUC」と省略される場合もあります。

「エンドユーザーライセンス契約」

「エンドユーザーライセンス契約」とは、ソフトをパソコンで使うことを許可する契約のこと。ソフトのインストールや、appleやhuaweiなどスマートフォンのセットアップなどにおいて、エンドユーザーライセンス契約への同意が必要となります。

「エンドユーザー使用許諾契約」

「エンドユーザー使用許諾契約」とは、「エンドユーザーライセンス契約」を記載したもの。ソフトのインストールを開始した時などに、契約に同意を求める画面が表示されます。「エンドユーザーライセンス契約って何?」と怪しく思う方もいるかもしれませんが、同意しないとソフトのインストールを行うことができません。

「エンドユーザーランタイム」

「エンドユーザーランタイム」とは、「DirextXエンドユーザーランタイム」のこと。Windowsのパソコンにおいてゲームソフトなどを動かす際に、必要となるプログラムを指した言葉です。ソフトを立ち上げた際「エンドユーザーランタイムがありません」とメッセージが出た場合は、エンドユーザーランタイムをダウンロードしてパソコンにインストールを行います。

まとめ

「エンドユーザー」とは、商品やサービスを「最終的に利用する人」を意味する言葉。製造業における卸業者・小売業者や、建築業界におけるビルオーナーなどの商品を「購入する人」ではなく、「商品を実際に使う人」「建物を実際に利用する人」を表しています。