「お話ください」は敬語?正しい使い方と英語表現も

「お話ください」は日常的にもビジネスでもよく聞かれるフレーズが、「お話」と「お話し」のどちらを書くのか迷ったことはありませんか。また敬語としても正しいのでしょうか。そこで「お話ください」の正しい書き方や敬語表現を考察して、また「OK Google」やキャンセル時のキーフレーズになる「お話ください」も解説します。

「お話ください」の意味と正しい書き方

「お話ください」は「話をしてくれるように促す」表現

「お話ください」は目上の方や上司などに対して、話をしてくれるように促すときに使う表現です。例文は次のようになります。

  • 「先日の旅行についてお話ください」
  • 「キャンセル理由をお話ください」

正しい書き方は「お話しください」

「お話ください」の「お話」は動詞として使われているので、「お話し」と表記されるのが正しい書き方です。「お話」のように送り仮名の「し」が書かれない時は、名詞として「御話」が使われているときです。

そのため正しい表記の仕方は「お話しください」になるのですが、「お話ください」のように「し」抜けで表記されることも一般化されているのが現状です。

「お話ください」の敬語表現は正しい?

「お話ください」は「お話しくださる」の命令形です。命令形と言っても、「くださる」は「与える」の尊敬語ですので、「お話ください」と使っても尊敬表現になります。ですから目上の人や上司に使える表現です。

「お話ください」は敬語表現として正しい

「お~ください」という形式が二重敬語になり間違った尊敬語ではないかと疑われることがありますが、「お話ください」の場合、二重敬語ではなくて敬語連結ですので間違った尊敬表現ではありません。

「お話ください」は、「お話しになってください」の省略形です。動詞である「お話になる」に尊敬語である「くださる」が「て」で連結されています。敬語が連結されている場合は二重敬語とは違い正しい尊敬表現ですから、元来「お話しになってください」だった「お話ください」は正しい尊敬表現といえます。

「お話ください」と「お話くださいました」との違い

「お話ください」は目下の人が目上の人に話をしてくれるように促すのに対して、「お話くださいました」は目上にあたる人が話をしたという事実を伝えるときに使います。

どちらも尊敬表現で、「ください」と「くださいました」の両方とも尊敬語の活用形です。「ください」が命令形なのに対して、「くださいました」は「くださる」の連用形に助動詞の「ます」がついている形で、元は「くださりました」でした。それが時が経つにつれて「くださいました」と変化していきました。(音便)

「お話ししてください」は文法的に誤り

相手にお願いしたい気持ちが強く出ると「お話ししてください」と言ってしまうことがありますが、文法的には間違った表現です。「お話しする」という動詞に、さらに「する」の連用形である「して」が連結されて動詞が2つ続くので、これは間違った表現です。

また「ください」ですでに「してほしい」という欲求の気持ちが含まれていますので、「お話ください」というフレーズで相手に「話しをしてほしい」という気持ちが伝わります。

「お話ください」を英語ではどう言う?

「お話ください」は「please talk me」など

「お話ください」を「話してください」と言い換えて、これを英語に置き換えるというのが、「お話ください」のニュアンスに最も近い英語訳でしょう。

  • Please talk to/tell me… .
  • Could you please tell me….

などの表現が使えます。

「お話ください」の「私」を主語にして言い換えた英訳

「お話ください」と話しかける状況から考えると、聞き手は「自分は相手の話を聞きたい」ということになりますよね。そのように言うことで、「お話ください」という意味が伝わります。その英語表現例文は次の通りです。

  • I would like to hear about your experience.
    あなたの経験を聞きたい。
  • I would like to hear what you have done.
    あなたのしたことを聞きたい。

「お話ください」は電話口なら「Go ahead」もあり

口頭ではなくて電話口で、さらに相手が親しい関係なら、「Go ahead」と言って相手に話をするように促すこともできます。

「お話ください」が使われる意外な場面

「OK,Google!」で画面に表示される「お話ください」

アンドロイド端末を音声で操作できる「音声入力」があるのをご存知でしたか。「OK Google」という機能で、「オーケーグーグル」と話しかけるとその機能が起動して、音声操作ができるようになります。最近では、Google Homeなど家庭用スピーカーが発売されて、認知度も上がってきているかもしれません。

実は、アンドロイド端末で、音声操作を行う際、「OK,Google」と呼びかけると、「お話しください」を表示されます。(Googleは「お話し」と表記しています。)

「OK Google」の便利なところは、何かを検索するときに字を打ち込む代わりに、音声で検索をはじめてくれることです。「今日の天気」と端末に話しかければ天気予報が表示されたり、スケジュールの作成やリマインダー設定、GoogleKeepのようなメモアプリにメモも取ることができます。

時期に日本語表現も、Googleに正しい使い方を教えてもらう日がくるのでしょうか?

「キャンセル」をする際に使われる「お話ください」

ビジネスはもちろんのこと、レストランの席や病院などあらゆる場で何かを予約した場合、どうしてもキャンセルをしなければならないこともあります。キャンセル時に相手から「理由をお話ください。」「お話いただけますでしょうか?」という形で使われる場合があります。

サービス提供者としても、キャンセルは不利益につながる場合があるため避けたいもの。できる限りキャンセルしないようにしたいですが、どうしてもキャンセルしなければならない場合には、「お話ください」と言われる前に、理由を伝えてあげるのも良いかもしれません。

まとめ

「お話ください」という使い慣れているフレーズも改めて考察すると、どのように表記すべきなのかとか、尊敬表現として使っても大丈夫なのかなど気になることが出てきます。「お話ください」は尊敬表現で、書き言葉としては「お話し」とすべきだけれど「お話」も使われているという事実をしれば知識となり役立つこともあるでしょう。

 

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。