「ドメスティック」の意味とは?使い方の例文や対義語・複合語も

「ドメスティック」という言葉は、複合語「ドメスティック・バイオレンス」の印象が強いですが、空港のインフォメーションや「ドメスティック・ブランド」などのファッション用語でも使われる言葉です。

ドメスティックには二つの意味があります。この記事ではそれぞれの意味と、使い方の例文や対義語を解説します。あわせて「ドメスティック」と他の言葉を組み合わせた複合語についても紹介します。

「ドメスティック」の意味や語源とは?

「ドメスティック」の意味①”家庭的・家族的”

「ドメスティック」の意味は、“家庭的・家族的”です。家庭的な関係性のことを「ドメスティックな関係性」と言ったり、家庭内暴力を「ドメスティック・バイオレンス」と呼びます。複合語についてはのちほど詳しく解説します。

「ドメスティック」の意味②”国内の・国産の”

「ドメスティック」の二つ目の意味は、“国内の・国産の”です。国産のブランドという意味で「ドメスティック」を単体で使ったり、国産品のことを「ドメスティック・プロダクツ」と呼んだりします。

「ドメスティック」は英語”domestic”が語源

「ドメスティック」は英語“domestic”が語源です。「domestic」はラテン語で「家族の」という意味の「domesticus」を語源とします。語源の英語と同じ意味でカタカナ語のドメスティックは使われています。

国内の、自国の、国産のという意味の「domestic」の反対語は「foreign(外国の・外国産の)」です。

「ドメスティック」の使い方・例文とは?

「家族的」の意味で”ドメスティック”を使う例文

「家族的」の意味で”ドメスティック”を使った例文をご紹介しましょう。

  • 日本の企業社会は人間関係の基本にドメスティックな関係性を求める傾向が強い。
  • 『巨人の星』で星飛雄馬の父がちゃぶ台返しをするのは、昭和のドメスティックな暴力の典型だとも言える。
  • ドメスティックな問題は社会問題化させることで解決の糸口をつかむことができる。

「国内の」の意味で”ドメスティック”を使う例文

「国内の」の意味で”ドメスティック”を使った例文をご紹介しましょう。

  • このレストランはドメスティックな料理とインターナショナルなビールが売り物だ。
  • 故郷ドイツから出ることなく生涯を送ったバッハはドメスティックな巨匠である。
  • 在日外国人が増える中、従来のドメスティックな思考から抜け出すことが日本人の課題だ。

「ドメスティック」の対義語とは?

「ドメスティック(家庭の)」の対義語は”ソーシャル(社会の)”

「家庭の」の意味の「ドメスティック」の反対語には”社会の”という意味の「ソーシャル」があります。家庭内の問題を社会問題として対比させて考えることにより、解決策を考えることができます。

「ドメスティック(国内の)」の対義語は”インターナショナル(国際の)”

「国内の」の意味の「ドメスティック」の対義語には”国際の”という意味の「インターナショナル」があります。国内で流通する「ドメスティック・ブランド」に対して、国際的に流通するブランドを「インターナショナル・ブランド」と呼びます。

「ドメスティック」の複合語とは?

親密な関係のある人に暴力をふるう「ドメスティック・バイオレンス(DV)」

「ドメスティック・バイオレンス」とは、英語「domestic violence」が語源の外来語で、頭文字をとって「DV(ディーブイ)」とも呼ばれます。

「配偶者間・夫婦間(ドメスティック)」の「暴力(バイオレンス)」という意味ですが、近年は婚姻の有無を問わず、恋人など親密な関係にある人の間に起こる暴力全般を指して使われています。

「DV」という言葉は、家庭内暴力の増加が問題となったことで2001年に「DV防止法(通称)」が施行された頃から広く認知されたもので、比較的新しい言葉です。

「ドメスティック・バイオレンス」の語が急速に広まったことから、ドメスティックの語自体にネガティブな意味があると感じる人もいるようです。

「国内線」という意味で空港で使われる「ドメスティック」

航空業界では、国内線を「ドメスティック」と呼びます。正しくは「ドメスティック・フライト(domestic flight)」あるいは「ドメスティック・ライン(domestic line)」ですが、略して使われています。

空港では「domestic arrivals(国内線到着)」や「domestic departures(国内線乗り場)」などの表示もされます。国際線は「インターナショナル(international)」です。

日本で生まれたブランドという意味の「ドメスティック・ブランド」

ファッション業界などでは、日本で生まれたブランド、つまり「国内ブランド」のことを「ドメスティック・ブランド」と呼びます。世界に活躍の場を広げたドメスティック・ブランドは、「インターナショナル・ブランド」と呼ばれます。

また、「インポート(輸入(品))」に対する言葉として「ドメスティック(国産(品))」と表示されることもあります。

同性間カップルの呼称「ドメスティック・パートナー」

アメリカでは、同性間カップルの法的保護の制度化において、同性間カップルを「ドメスティック・パートナー」と呼称しています。

同性愛者の二人の女性が、異性間の婚姻と同じ権利を獲得する過程を描いた2015年公開のアメリカ映画『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』では、婚姻制度に準じる制度である「ドメスティック・パートナー法」を申請するエピソードが登場します。

「GDP(国内総生産)」はドメスティックの複合語

一定期間に国内で生み出された付加価値の総額を意味する「GDP(国内総生産)」は、英語「Gross Domestic Product」の頭文字をとった言葉です。「GDP」の「D」がドメスティックの頭文字だということはあまり意識していないかもしれません。

まとめ

「ドメスティック」の語は、社会問題を語るときは「家庭的・家族的」の意味として使われることが多く、ファッションや航空分野では「国内の」という意味で使われます。

複数の意味がある外来語は便利に使いながらも、そもそもの意味がぼんやりしてしまう傾向があります。疑問に感じたときは改めて語源となった言葉の意味や、関連語の意味を確認すると、正確な語彙力が広がります。