「アウェイな状態」や「アウェイ感がある」などといった言い回しで「アウェイ」の語が使われています。外来語「アウェイ」の意味は、そもそもどのようなものなのでしょうか?
この記事では、「アウェイ」の意味と語源の英語の意味とをあわせて解説します。加えて使い方と例文や類語についても紹介します。
「アウェイ」の意味とは?
スポーツ用語の「アウェイ」の意味は”遠征地での”
「アウェイ」の意味は、“遠征地での”です。主にサッカーやラグビーの遠征地での(試合)のことを英語で「away(アウェイ/アウェー)」と表現します。日本でサッカーの試合解説が行われるようになった際にこの表現が輸入され、カタカナ語として定着しました。
「遠征地」は「敵地」でもあるため、「敵地」の文脈で使われることもあります。
俗語としての「アウェイ」の意味は”不利な立場にある状況”
「アウェイ」の意味は、“不利な立場にある状況”のことです。スポーツ用語として輸入された「アウェイ」は、2000年代初頭から違う意味に転じて使われるようになり、俗語として定着しました。
一般的な言葉としての「アウェイ」は、「敵地」が転じて「悪条件や不利な立場にあること」「自分にとって場違いな場所や居心地の悪い場所」、あるいは「周囲を敵に囲まれたような状況」を表現する便利な言葉としてさまざまな状況で使われています。
語源の英語「away」の意味とは?
一般的な意味は「遠くへ・去って」
一般的な意味では「遠くへ・去って」という意味があります。「持ち帰り」の「takeout」は「takeaway」とも言います。「Go away!」は「あっちへ行け!」という意味です。
いずれにしても「不利な立場にある状況」などの意味の俗語として使われているカタカナ語の「アウェイ」は、日本独自の使い方です。
野球用語「アウト」の意味もある
「アウェイ」の語源である英語の「away」は、「遠征地での(試合)」という意味があることを先に説明しましたが、野球用語では「アウト(になった)」という意味もあります。
スポーツ用語「away」の反対語は「home」
スポーツ用語としての「away(アウェイ)」の反対語は「home(ホーム)」です。「遠征地の試合」の反対である「本拠地の試合」という意味があります。
2つのチームがそれぞれの本拠地で1回ずつ対戦する方式のことを「ホーム・アンド・アウェイ」と呼びます。
「アウェイ」の使い方と例文とは?
「アウェイ感」とは”居心地が悪い感じ”という意味で使う
その場所や雰囲気が、自分にとって居心地が悪い感じを表わす表現に「アウェイ感」があります。「孤独感」「疎外感」といったような「〇〇感」の言い回し方を「アウェイ」に用いて俗に用いられる表現です。「いたたまれない感じ」のニュアンスで使われます。
「完全アウェイ」とは”周囲が敵だらけ”の意味で使う
周囲が敵だらけだと感じるほどに居心地が悪い、あるいは不利な立場にいることを表現するのに「完全アウェイ」があります。「アウェイ」の感覚が非常に強いことを一言で表現するのに用いられます。
ビジネスにも使える「アウェイ」の例文
<不利な立場にあること・場違いな場所という意味で使う例文>
- アウェイの状態で力を発揮できる人が、グローバルに活躍できる人材だ。
- 異業種からの参入は完全アウェイの状況だった。
- アウェイとも言える場違いな環境の中で孤軍奮闘して出世の道をつかんだ。
<居心地の悪い場所という意味で使う例文>
- 定年後は、男性よりも女性の方がアウェイな環境に適応する力が強いと言われている。
- 初めての営業訪問先はアウェイで不安だが人間関係を構築することが大切だ。
- 学生には、社会人になる前に自分の慣れ親しんだ場所を離れる「アウェイ体験」をお勧めする。
「アウェイ」の類語や言い換え方とは?
自分にとって不利な状況は「最悪のポジション」
俗語としての「アウェイ」はさまざまな状況で使われますが、おおまかに捉えると「自分にとって不利な状況」であることを表わす言葉です。
日本語では、「最悪のポジション」「最悪のシチュエーション」「不利な環境」「不都合な事態」などに言い換えることができます。
「アウェイ」は「四面楚歌」な状況でもある
「周囲を敵に囲まれた状態」という意味での「アウェイ」は、四字熟語では「四面楚歌(しめんそか)」と言い換えることができます。「四面楚歌」とは、まわりが敵や反対者ばかりで助けがいないことという意味です。
「アウェイ」な状況で戦うのは「孤軍奮闘」
例文でも紹介した、あえてアウェイな環境に身を置いて経験を積むことは「孤軍奮闘(こぐんふんとう)」の四字熟語で言い表すことができます。「孤軍奮闘」とは、味方などの支援がない状態で、ひとりで懸命に戦うという意味です。
まとめ
本来のスポーツ用語を離れ、一般的な俗語として使われている「アウェイ」は、大きくまとめると「不利な立場にある状況」という意味を含んでさまざまな状況で使われています。自分にとってのネガティブな状況を表現するときは、日本語で伝えるよりも、スポーツで使うカタカナ語を用いることでニュアンスをソフトに伝える利点があるかもしれません。
ある高学歴のアイドルが、「場違い」といった意味を含めて「どの仕事も若干アウェイ」とインタビューで語っていました。「アウェイ」に「若干」を付け加えることで「それほど深刻なわけでもないのですが」という軽い印象も加わり、ネガティブなことを明るく伝える効果が出るようです。
「アウェイ」もそうであるように、本来の意味とは違う意味に発展し、独自の日本語となって使われるカタカナ語が多いことも認識しておきましょう。