視覚でものごとを捉えることを意味する「見る」と「観る」ですが、違いがあることを知っていますか?「テレビやアニメ、映画やスポーツはどっちを使うのか?」という方に向けて、「見る」「観る」の違いと使い分け方を解説します。加えて、「みる」と表す他の漢字も紹介していきます。
「見る」と「観る」の違いと意味とは?
「見る」と「観る」の違いは”意識の問題”
「見る」と「観る」の違いは、“視界に入れるときの意識”の違いにあります。
- 「見る」:「意識せずとも、色や形が視界に入った」状況で使える
- 「観る」:「意識して視界に入れた」状況で使える
ドラマで例えてみましょう。勉強をしながらドラマをみる状況では、ドラマの内容を意識して目で追うことは難しくなっています。途中で画面から目を離したり、勉強に意識が向いたりしてしまうため、上記の状況では「ドラマを見る」が適しています。
一方で、意識を他のものに向けずじっくりとドラマをみている状況では、「ドラマを観る」が適しています。「視界に入れたときの状況」から、「見る」と「観る」を使い分けましょう。
「見る」の意味は”目でとらえる”
「見る」とは“目で形や色をとらえる”という意味です。他にも「判断する・鑑定する・経験する」などいくつかの意味をもつ言葉です。「みよう」という意思に関係なく、視覚を通して情報が入ってきている状況で「見る」が使われます。
たとえば、「先輩が悪事を働いている姿など、見たくはなかった」という例文。上記の例文だと、「みよう」という意思に関係なく目でとらえた様子を表しています。一方で、「雨がやんでいるか見てみよう」という例文だと、「雨がやんでいるか」を判断するために意図して「みる」ことを表しています。
「観る」の意味は”意識して目で追う”
「観る」とは“意識して目で追う”ことを意味する言葉です。「観察」や「鑑賞」などの単語に「観」が使われていることから、本人の意思でみている状況で使われます。たとえば、「動物園にいってキリンを観た」という例文。
上記の例文のように、「たまたま視界に入った」のではなく「意図して視界に入れた」状況で使いましょう。
「見る」と「観る」の使い方とは?
テレビやアニメは「見る」「観る」両方使える
テレビやアニメをみる状況では「見る」「観る」両方が使えます。「テレビを見る」でも「テレビを観る」でも、間違いではありません。ただ、「テレビを見る」と「テレビを観る」では、どのようにしてテレビをみていたのか、受け手に与える印象が異なります。
「テレビを流していただけ」「内容はあまり覚えていない」=「テレビを見る」
「意図的にみていた」「じっくりとみていた」=「テレビを観る」
映画やスポーツは「観る」を使うことが多い
映画やスポーツをみる状況では、主に「観る」が使われます。映画をみるために映画館にいったり、スポーツをみるために会場へいったり、意図的に「みる」ための行動を起こしています。
ただ、「家で作業をしながら映画をみた」「たまたまスポーツをしているところを通りかかった」という状況では、「見る」が適しているため状況によって使い分けが重要です。
「見る」「観る」で迷ったときは”見る”を使う
「見る」と「観る」どちらを使うか迷った場合は、「見る」を使いましょう。「見る」は「視覚でとらえること」という意味で幅広く使用され、「観る」の代わりに使うこともできます。「みている」状況がわからない場合や、「見る」「観る」どちらが適切か分からない場合は、「見る」と表しましょう。
公用文では常用漢字の「見る」を使う
公用文や新聞には「観る」ではなく「見る」が使われます。「見る」は常用漢字に当てはまりますが、「観る」は常用漢字でありません。公用文や新聞には常用漢字を使用することが決められているため、「見る」のみが使用されるのです。
「見る」「観る」以外で「みる」を表す漢字とは?
「診る」「看る」も”みる”を表す
「みる」と読む漢字には「見る」「観る」以外に、「診る」「看る」などがあります。「診る」は「診察する」を意味し、「看る」は「世話をする」という意味があります。「見る」「観る」と比べて「診る」「看る」の使用頻度は低く、使用できるシーンが限られています。
たとえば、「病人を診た」という例文。上記の例文だと「病人を診察した」という意味になりますが、「病人を看た」だと「病人の世話をした」という意味になります。
「見る」と「観る」の英語表現とは?
「見る」は英語で”See”、「観る」は”Watch”
「見る」は英語で“See”、「観る」は“Watch”と表します。どちらも「みる」を意味する単語ですが、「See」は意識してみるのではなく「視界に入ってきた」状況で使われます。対して、「Watch」は「動いているものを注意してみる」状況で使われるため、「See」と「Watch」では使い分けが重要です。
また、「みる」の英語表現には「Look」も含まれ、「Look」は「止まっているものを注意してみる」「対象に視線を動かす」状況で使われます。
まとめ
どちらも「みる」を意味する「見る」と「観る」ですが、「見る」は「目でとらえる」状況で、「観る」は「意識して目で追う」状況で使われます。「見る」「観る」以外にも、「診る」や「看る」がありますが、どれを使うか迷った状況では「見る」を使用しましょう。