「省略」の意味や使い方の例文は?「割愛」との違いや類語も解説

「省略」は日常会話からビジネスシーン、また書籍やSNSなど幅広い場面で使われている使用頻度の高い言葉です。伝えたい内容を手短に話すときなどによく用いられています。

「省略」は「割愛」と混同されがちです。今回はこの2つの言葉の違いも含め、「省略」の意味や使い方の例文などを解説していきます。類語や英文表現もあわせて紹介します。

「省略」とは?

「省略」の意味は”一部分を取り除き簡単にすること”

「省略」の意味は、“物事の一部分を取り除くことで簡単にすること”です。「省略」を構成する2つの言葉には「はぶく」という意味が含まれているため、取り除くことは“不要なもの”であることがほとんどです。

「省略」は「せいりゃく」とも読みますが、古い表現なため現在はあまり使いません。

  • 省(しょう)
    →はぶく、振り返りよく考えてみる、安否をたずねる
  • 略(りゃく)
    →はぶく、たくらみ、奪い取る、はかりごと
  • 省く(はぶく)
    →不要なものを取り除く、全体から一部分を取り除く、分け与える

「割愛」との違い

「省略」と混同されやすい言葉に「割愛(かつあい)」があります。

「省略」と「割愛」の意味

  • 省略(しょうりゃく)
    →物事の一部分を取り除くことで簡単にする
  • 割愛(かつあい)
    →愛着のあるものや思い出深いものを手放すこと、心惹かれる想いを断ち切ること

意味からわかるように、2つの言葉は“ある部分をなくす”という点では同じです。しかし、「割愛」には「省略」にはない“なくす部分を惜しむ気持ち”が含まれています。「省略」は“不要なものは取り除く”と事務的なため、2つが与える言葉の印象はまったく違うものになります。

「省力」との違い

「省力(しょうりょく)」も「省略」と似た言葉ですが、以下のような違いがあります。

「省略」と「省力」の意味

  •  省略(しょうりゃく)
    →物事の一部分を取り除くことで簡単にする
  •  省力(しょうりょく)
    →機械化や協力し合うことで労力や作業の手間を省くこと

この2つの言葉は、“ある部分を省き簡単にする”という点では同じです。しかし「省力」は“何かしらの力が働くことである部分が省かれる”という意味があるため、「省略」よりも限定されたシーンで使われます。

「省略」の関連語とは?

「ry」とは”省略”を表すネット用語

「ry」は「以下省略」を意味するネット用語です。基本的に文末に使い、言いにくいことやこれ以上言う必要がないことを省略するときにも用いられます。「(ry」と表記されることもあります。

「ry」の語源
このような経緯で簡略化されたと言われています。
「以下省略」→「以下略」→「りゃく」→「ryaku」→「ry」または「(ry」

「省略語」とは”略語”や”短縮語”とも言われる

「省略語(しょうりゃくご)」とは、意味はそのまま、しかし一部分は取り除かれた言葉を指します。「略語(りゃくご)」や「短縮語(たんしゅくご)」と言われることもあります。

具体的な例
 

  • スマートフォン→スマホ
  • エアーコンディショナー→エアコン
  • ゼネラル・コントラクター→ゼネコン

「省略記号」とは省略時に用いる記号

「省略記号(しょうりゃくきごう)」とは、対象となるものを文字や図を使って省略するときに用いられる記号を意味します。

省略記号の具体例

  • 通貨の省略記号
    →「$/ドル」、「¥/円」
  • 学術的な省略記号
    →「cm/センチメートル」、「ml/ミリリットル」
  • 日本特有の省略記号
    →「〃(ノノ字)/同じであることを表す」、「〜(波ダッシュ)/〇〇から〇〇までを表す」

「省略波線」とはグラフに用いる二重線

「省略波線(しょうりゃくなみせん)」は省略記号の1つで、棒グラフや線グラフの数値を省略するときに使います。省略波線の記号は二重に描かれた波線です。

「省略」の使い方と例文とは?

「省略」は用途に合わせ動詞的・名詞的に使う

「省略」を口語的に使う場合、また文中に使う場合は「省略する」と動詞的に使うことがほとんどです。ビジネス文書やレポートには、「省略」と名詞的に使われることもあります。用途に合わせて使い分けましょう。

「省略」を使った例文

「省略」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「論文内で固有名詞を省略しても問題ないだろうか?」
  • 「ここは昨日教えたところなので省略します」
  • 「手短な説明は助かるが、肝心な部分まで省略するのはやめてほしい」
  • 「時間制限があるから、重要な部分以外は省略しよう」
  • 「〜である。以下省略」

「省略」の類語・同義語とは?

「略す」「省約」は同義語

「略す(りゃくす)」の意味は「省略」と同じで、同義語として使えます。「省略」よりも口語的なため、日常会話などに向いています。

また「省約(せいやく)」も、「略す」と同じく「省略」の同義語です。「省約」は「省略」よりもフォーマルな印象が強いため、ビジネスシーンなどかしこまった場面で使うといいでしょう。

「切り捨てる」は”基準以下は無視する”

「切り捨てる(きりすてる)」の意味は、「定めた基準よりも下回るものは無視する」です。「省略」の“不要なものを取り除く行為”と似ているため類語と言えます。ただ「切り捨てる」には”一部分“といったニュアンスはありません。

「かいつまむ」は”内容の概要や要約をとらえる”

「かいつまむ」の意味は、「話や物語の概要や要約をとらえること」です。“不要な部分は無視する”という点が「切り捨てる」と同じく似ています。「かいつまむ」の場合、“取り除く”ではなく“拾いあげる”といったニュアンスがあります。

「省略」の英語表現とは?

「省略」の英語表現は”omission”や”ellipsis”など

「省略」を英語表現したい場合は、名詞「omission」や「ellipsis」、「abbreviation」、「abridgment」などを使うといいでしょう。この4つの名詞はフォマールな表現なため、ビジネスシーンで使っても問題ありません。

「省略」を表現する4つの名詞

  • 「omission」・・・【名】省略、省略されたもの、脱落(部分)
  • 「ellipsis」・・・【名】省略、省略記号
  • 「abbreviation」・・・【名】省略、短縮、略語、略字
  • 「abridgment」・・・【名】省略、短縮、簡約、要約したもの


「省略する」なら”omit”や”abbreviate”など

「省略する」を英語する場合、動詞「omit」「abbreviate」「abridge」などを使うことで日本語に近い意味を表現できます。

「省略する」を表現する3つの動詞

  • 「omit」・・・【動】省略する、省く、怠る、抜かす
  • 「abbreviate」・・・【動】(一部分を残して)略して書く、(語や句を)短縮する
  • 「abridge」・・・【動】要約する、(書物や話などを)短縮する


まとめ

「省略」は、不要とされる部分を取り除き簡単にすることを意味する言葉です。よく「割愛」と混同されますが、意味やニュアンスに違いがあるので使い分けられるようそれぞれの意味を確認しておきましょう。

「省略」は関連語も含め、あらゆる場面に使われることの多い言葉です。ビジネスシーンにもよく登場するので、自由に使いこなせるようになっておくととても便利です。