「モルタル」と「コンクリート」の違いとは?強度や使い分けを解説

「モルタル」と「コンクリート」のどちらも住宅の工事現場等で資材のひとつとしてよく見られますが、どちらも見た目はよく似ています。ところがそれぞれ特徴があり、使用方法も違います。

今回は「モルタル」と「コンクリート」の原料から強度、価格、使い分け方と見た目から比較して解説します。

「モルタル」と「コンクリート」の違いとは?

強度・使い分け・原料・値段が違う

「モルタル」と「コンクリート」は、“強度・使い分け・原料・値段”の点において違いがあります。原料が異なるため、強度だけでなく仕上がりや使用目的も変わります。それぞれの違いを見てみましょう。

「モルタル」の方が価格は高い

「モルタル」と「コンクリート」の同量分の値段を比較すると、「モルタル」の方が価格は高くなります。その理由は、原料のセメントは砂や砂利よりも価格が高く、モルタルのセメントの配合量がコンクリートよりも多くなるからです。

「モルタル」と「コンクリート」の強度の違いとは?

強度は「モルタル」の方が「コンクリート」より高い

「モルタル」と「コンクリート」では、強度はモルタルの方が高いです。なぜならモルタルの方がセメントの比率が高い上に、コンクリートのように砂利が入っていないためです。

「モルタル」にはひび割れしやすいというデメリットがある

強度だけで見れば「モルタル」の方が「コンクリート」よりも強度が高いのですが、モルタルに、ひび割れをしやすいというデメリットがあります。

ひび割れしやすい材料は柱や梁などといった建物の基礎部分には致命的となるだけでなく、コンクリートよりも価格が高いため、建物のような大きなものの基礎にはモルタルは使われません。

「コンクリート」は圧縮力に強いが引張力は弱い

コンクリートはモルタルよりは強度が低いとはいえ、建物の基礎に使われるだけの強度はあります。またひび割れしにくいという特徴も、大きなものを作るのに適した材料と言えます。

コンクリートのさらなる特徴として、圧縮される力に強いのですが引っ張られる力には弱いことが挙げられます。十分に固まったコンクリートはあらゆる方向から中心部で押される力に強く強固になる一方で、上下などの外へ引っ張られる力に弱いので、引張力がかかるとひびなどが入り壊れやすくなります。

「モルタル」と「コンクリート」の使い分け方とは?

「モルタル」は目地やコンクリートの仕上げに使用

「モルタル」はブロックやレンガなどの継ぎ目となる目地に接着剤として使われます。

またモルタルはやわらかい素材の上、表面にざらつきのないツルっとした仕上がりのためコンクリートの仕上げ材として、さらに外壁の下地や、壁や床の上塗りなどにも使われます。

もしも家の基礎部分の仕上げとして使われたモルタルにひびが入ったとしても、内部のコンクリートがしっかりとしているので、見た目は悪いもののコンクリートの強度が弱まるようなことはありません。

「コンクリート」は家の基礎や鉄筋コンクリートとして使用

「コンクリート」の持つ強度と固まりやすさ、更にモルタルと比べたときの価格の安さから、壁や柱、梁などの建物の基礎部分に使われます。さらにコンクリートを強化するために、鉄筋を中に入れた鉄筋コンクリートもよく使用されます。

「モルタル」はつるつるで「コンクリート」はざらざら

「モルタル」は乾いたときにきめが細かく、つるっとした仕上がりになります。一方「コンクリート」は原料に砂利などが入っているためざらっとした粗さが目立ちます。

この違いは見た目以上に触れてみるとわかりやすく、「モルタル」を触るとつるつるしているのに対して、「コンクリート」はざらざらした触感です。

「モルタル」と「コンクリート」の原料の違いとは?

「モルタル」とは”セメント+水+砂”

「モルタル」とは、”セメント”と”細骨材(さいこつざい)”と呼ばれる砂を31の割合で混ぜて水を加えて練ったものです。細骨材の砂の直径は5mm以下で、モルタルは材料を混ぜ合わせるときには粘りがあり、乾くと固まるという性質があります。

「コンクリート」とは”セメント+水+砂+砂利”

「コンクリート」とは、セメント:砂:砂利を1:3:6の割合で調合して水を加えて練り合せたものです。

コンクリートに使用される砂利の直径は5㎜以上で「粗骨材」と呼ばれています。混ぜるだけでも重労働となり、見た目にも荒さがわかります。

原料が混ぜ合わされた状態のコンクリートには、「生コンクリート」または「フレッシュコンクリート」という別称があります。

モルタルもコンクリートも「セメント」が主な原料

「モルタル」と「コンクリート」の両方に使われている原料が“セメント”です。

「セメント」とは、石灰石を主成分として、粘土、けい石、酸化鉄、石膏(せっこう)が使われています。これらの成分を細かく砕き、焼いて粉末にした粉状です。この粉は水を加えて練ることで化学反応が起こり固まる性質があります。

セメントは他の原料同士の結合剤として使われ、他に混ぜる原料の違いによって「モルタル」や「コンクリート」が作られます。

まとめ

「モルタル」と「コンクリート」は共通の原材料としてセメントが使われていますが、それ以外の成分として、モルタルには水と砂、コンクリートはモルタルの材料に加えて砂利も加わります。コンクリートは建築物の基礎部分に使用されるのに対して、モルタルはブロックの目地や仕上げ材として使われます。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。