「始め」と「初め」の意味の違いを知っていますか?「(人や物)をはじめとする」や「はじめは○○を、次に○○を」などの使い方をする「はじめ」ですが、状況に応じて「始め」「初め」を使い分ける必要があります。「始め」「初め」の違いや、公用文・論文での使い方を例文とあわせて解説します。
「始め」と「初め」の違いと意味とは?
「始め」と「初め」の違いは”開始か最初か”
「始め」と「初め」の違いは、「はじめ」が“「開始」を表しているのか、「最初」を表しているのか”にあります。”開始”を表している場合は「始め」を、”最初”を表している場合は「初め」を使い分けましょう。
ただ、「始め」と「初め」の意味に違いがあり、使い分けがされているものの「はじめと終わり」のように「始め」と「初め」両方が使用されることもあります。「始めと終わり」だと「開始から終了」までを意味し、「初めと終わり」だと「最初から最後」を意味することになります。
「始め」の意味は”開始すること”
「始め」とは“開始すること・物事のはじまり”を意味する言葉です。物事がはじまった状況や、新しい行動を起す状況で使用しましょう。たとえば、「勉強をはじめる」という例文だと、「勉強を開始する」という意味が当てはまるため、「始める」が適しています。
「初め」の意味は”順序の1番目”
「初め」とは“順序の1番目・物事の早い段階”を意味する言葉です。物事の1番目をさす状況や、物事の最初の段階をさす状況で使用しましょう。たとえば、「海外へ行くのは、はじめてだ」という例文。
上記の例文だと、「人生で1回目の海外」を意味しているため、「初めて」が適しています。また、「月初め」や「年の初め」など時間や時期に関係することがらには、「初め」が使われます。
「始め」と「初め」の使い方の違いとは?
公用文や論文の「○○をはじめとする」は”始め”が適切
公用文や論文などに使われる「○○をはじめとする」という言い回しには、「始め」が使われます。「○○をはじめとする」は、「いくつかの選択肢があるなかで、特定の人やものを目立たせたい」状況で使用されます。
「○○」の部分には「○○さん」や「○○先輩」などの人名や、「○○会社」などの会社名を入れて使用しましょう。たとえば、「社長を始め、多くの方に支えられました」という例文。上記の例文だと、「多くの人に支えられた」なかでも特に「社長」を目立たせるために「○○をはじめとする」が使用されています。
公用文や論文でも使用される硬い表現であるため、ビジネスシーンなどのかしこまったシーンでも使用可能です。
「稽古はじめ」「仕事はじめ」には”始め”を使う
「稽古はじめ」や「仕事はじめ」には「始め」が使用されます。「1年の中での最初の稽古」「1年の中での最初の仕事」を意味するのであれば、「稽古初め」「仕事初め」が適しています。しかし、「1年間の稽古の始まり」「1年間の仕事の始まり」をそれぞれ意味しているため、「初め」ではなく「始め」が適しているのです。
「はじめに○○を、次に○○を」は1番目の”初め”で表す
「はじめに○○を、次に○○を」という言い回しでは、「初め」が使われます。「はじめに○○を、次に○○を」という言い回しは、「順序があるなかの1番目に○○を、次に○○を」を表しています。
「初め」は「順序の1番目」を意味する言葉であるため、「初め」が適しているのです。たとえば、「初めに電源ボタンを押し、次に専用アプリを開いてください」のような使い方ができます。
「はじめはできなかった」「文のはじめ」には”初め”を使う
「はじめはできなかった」や「文のはじめ」には「初め」が使用されます。「はじめはできなかった」とは、「最初はできなかったこと」を表しているため「初め」が適しているのです。また、「文のはじめ」は「文章の最初の部分」を指しているため、「初め」が適しています。
「始め」と「初め」を使った例文とは?
「始め」を使った例文
「始め」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 新しい本を読み始めたが、あまり面白そうではない
- 書籍を始め、様々なものが電子化されるのを見て時代の変化を感じる
- 明日の稽古始めのために今日は早く寝る
- 社長を始めとする様々な人に、昇進祝いをしていただいた
「初め」を使った例文
「初め」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 初めはサラダを、次にスープをいただいた
- 初めはできなかったことでも、今では当たり前のようにできる
- 月初めは決まって忙しいため、出勤が憂鬱だ
- 大会の決勝戦では、人生で初めての高揚感を味わった
まとめ
「始め」と「初め」の違いは「開始」なのか「最初」なのかにあります。「開始」を意味する場合は「始め」を、「最初」を意味する場合は「初め」を使用しましょう。また、「初め」は「月初め」や「年初め」など、時間に関係する事柄に使われるという特徴があります。
「始め」と「初め」どちらを使用するか迷った場合は、漢字ではなく平仮名で表記しましょう。